表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
104/187

たくさん喋った悪役令嬢


恋バナをしてから、殿下達が2日一度はお茶のお誘いをされています。


時々アークお兄様やジャンお兄様、お父様も来て食事をしてくれています。


どうやら、殿下達にライバル視されているようです。


理由も聞いたみたいで、時々殿下達の前でぎゅうぎゅうと抱きしめられています…


殿下達はそれを見て、悔しがっていたそうです。


お父様は殿下達の話を聞いて、


本当はお父様やお兄様達と結婚出来ればいいけど出来ないなら、


似たような方がいいと言ったことに複雑な顔をしていたみたいです。


今日はお庭に新しいお花の種を撒きます。


珍しい色の薔薇です。


白とピンクと赤の薔薇があって、青と黄色の薔薇とマリーゴールドを育てるのです。


以前、かすみ草とコスモスとチューリップを撒いたので好きなお花だらけです。


花壇は色や種類ごとに分かれていて、


いつでも好きなお花をお部屋に飾れるので楽しいです。


時々、お父様に屋敷にいるお母様とお姉様にプレゼントとして持って行ってもらっています。


「メイリン様、そのような事は私達がやりますから!指示だけくださいませ。」


「…そうですか?では、こちらに青い薔薇でこちらは黄色い薔薇でこちらにマリーゴールド…」


「ふふふ。メイリン様はお花が好きなのですね。」


「えぇ、気持ちが明るくなれるもの。」


なかなか外出は出来ないからせめてお花くらいは飾りたいのです。


でも、魔法をかけるからこっそりなのよね。


侍女と護衛と近衛兵の一部だけがある程度の事を知っています。


治癒魔法は本当に数人しか知らないけれど。


「ごきげんですね、メイリン様。」


「ふふっ。新しいお花が咲くと思うと嬉しくて。」


「本当にメイリン様は心まで美しいですわ。」


「そうかしら?そんなことはないわよ?」


「いいえ。そうじゃなければ殿下達がこんなに骨抜きにされませんからね?」


「…大袈裟だわ。」


そう言われると恥ずかしくなってくるわね…


「はぁ…私もメイリン様のような可愛らしい妹が欲しいです。もしくは娘が欲しいです…」


「娘って…」


いくらなんでも、言い過ぎじゃないかしら?


「きっと私みたいな妹は大変じゃないかしら?」


「ミリム様がとても自慢するから羨ましかったのですよ?」


「お姉様とお知り合いなの!?」


「同じ学年でした。当時はミリム様がすごくおモテになっているのに、メイリン様の自慢ばかりしていましたわ。」


「そんな事が…」


「ジャン様やアーク様も自慢ばかりで、メイリン様はその頃から有名人でした。」


お姉様もお兄様達も…


なんだか、知らない所で噂になるのは苦手だわ。


「お姉様達は私の事をとても大事にしてくださるから…」


「本当に。私はひとりっ子だったので、とても羨ましいです。」


「ふふっ、じゃあ私の事を妹だと思ってくれていたのね?」


「まさかっ。恐れ多いです。」


「でも、時々お姉様と同じような事を言っていたわよ?」


「…馴れ馴れしかったですか?」


「私は嬉しいけど…?」


嫌なのかしら?


「そう、言っていただけて嬉しいですっ…」


「メイリン様!そろそろお部屋にお戻りくださいませ!風邪をひいてしまいますわっ!」


「泣かせてしまったの!もう少しだけここにいさせてくださいませ。」


「では、羽織をお持ちします!」


「ふふっ、バイオリンも持ってきてくださる?」


「かしこまりました!」


「メイリン様…お気遣いいただいて申し訳ありません。」


「いいのよ?私もお花達に少し魔法をかけていたし、バイオリンも弾きたくなってしまったの。」


羽織とバイオリンとお茶も用意してくれました。


「ありがとう。」


お茶を少し飲んで、最近気に入った曲を弾きました。


基本的には童謡やクラシックだけれど。


こちらの世界でも、褒めていただけるの。


「メイリン様のバイオリンはとても心地良くて優しい気持ちになれますね。」


「ありがとう、嬉しいわ。」


「あら?うさぎが…」


ふふっ、最近は外に出る事が少なかったから久しぶりね。


「うさぎさん、いらっしゃいませ。」


ぴょんぴょんと近づいてきて、


お花を2本ずつプレゼントしてくれました。


「綺麗なお花をありがとう!とても嬉しいわ。」


お鼻をひくひくさせていてとても可愛い。


「そろそろ中に入ろうと思ったけれど、お礼に一曲演奏するわね。」


いつも耳をピンとたてて聞いてくれるのよ?


「本当に妖精か女神様のようですわ…」


「ふふっ、ありがとう。でも大袈裟よ?」


うさぎさんと同じように侍女達も耳をすませて聞いてくれるの。


しばらく演奏していると、


「メイリン様!コールマン公爵とジャン様がお見えになりました。」


「まあ!それなら支度をしなければ…うさぎさん、明日お天気だったらまた来てくだいね?」


うさぎさん達は時々振り返りながら帰っていきました。


「さぁ、すぐに支度をしましょう?」


「えぇ、お願い。」


部屋に戻ってすぐ支度をしました。


今日はとてもたくさんお話をしている気がするわ。


「ごきげんよう。お父様!ジャンお兄様!」


「メイ!」


「元気そうだな、メイ。」


「はい、お父様とジャンお兄様がいらっしゃるのです。元気に決まっていますわ!」


「私も元気なメイに会えるのはとても嬉しいよ。」


「ジャンお兄様は時々来てくれましたけど、お父様は久しぶりですもの。嬉しいです!」


「あー…やっぱり王家にはもったいない。」


「父上。それはもう諦めてくださいよ。気持ちはとてもわかりますが。」


「ふふっ、でも私は王家に入ってもお父様やお兄様達の近くにいられるもの。」


「そうだけどな…」


「今日はどうされたのですか?」


「父上が最近会いに行けてないというから、連れてきたんだ。」


「最近、またトラブルにあったそうじゃないか。だから心配でね…」


「心配してくださってありがとうございます。」


「あまりにもメイに事件が起こるから心配で仕方ないみたいだよ。」


「申し訳ありません…」


「いや、メイは美しすぎるだけで謝るのは、護れていない護衛や近衛兵、私達だ。」


「それにメイが王家に嫁入りするって決まっているのに、まだ婚約の話を持ってくる者がいるから心配が尽きないんだ。」


「そうですの?私は殿下達のどちらかに嫁ぐと決まっているのに?」


「そうなんだ。それでも諦められないらしい。」


「また事件が起きないかと気が気でなくてね。」


「大丈夫です。離宮からは出ていませんから。」


「この前も狂った司書に襲われたのだろう?」


「そうですね…でも、私にはお兄様達や殿下達がいらっしゃるから大丈夫ですわ?」


「そうですよ、父上。今度こそ私達がメイを必ず守りますから。」


「だが、前より美しくなっているのはどういう事だ。」


「確かに…」


「そうでしょうか?私は変わらないと思うのですけど…?」


「でも、気をつけなければいけないよ?婚約の話を持ってくるという事はどこかで見た可能性があるのだから。」


お庭しか行っていないのに?


「怖い…」


「すまないっ!脅かすつもりじゃなかったんだ。」


「陛下に言って、手練れの護衛と近衛兵を増やそう。心配だ…」


そんなに増やしても…


「それなら、お庭の方を増やしていただけますか?」


「庭?なぜだ?」


「私は離宮から出ていませんし、お部屋から出るのはお庭だけですもの。」


「そうだね。この前も庭の奥だったな。」


「そうなのか?」


「はい、壁に穴を開けて覗いていました。」


「庭だな。わかった。」


「だけど、メイも気をつけるんだよ?メイは優しすぎて危機感が足りないのだから。」


「そんな事はないです。気配に気づいたの私だけですもの。」


「そうだったのか?」


お兄様は周囲の護衛や近衛兵に視線を向けました。


「お兄様、私はたくさん訓練したから気配も気づけたのよ?」


「…護衛も近衛兵も訓練している。」


「お父様…」


お父様とお兄様から視線を向けられて、


護衛や近衛兵達が震えているわ…


「大丈夫よ?今は、お庭に出る前に確認をしてくれていますから。ね?」


『…っ…!』


ん?


「メイ。喋る時に首を傾けると可愛すぎるから控えなさい。」


「またメイに心酔する者が増えてしまう。」


「そうなのですか?特に意識していなかったので気をつけます。」


「はぁ…心配だ…」


禁止事項がまた増えてしまったわ?


「そうです!お父様、お母様とお姉様にお花を持って行ってくださいませ。」


「花?」


「はい。新しいお花を咲かせたのです!」


お父様とお兄様とお庭に出て、花壇へと案内しました。


「お父様、このお花です!」


「これは見事だ…」


「きっと母上もミリムも感動するね。」


「綺麗でしょう?」


「あぁ、とても綺麗だ。」


「じゃあ、花束を作ってもらいますね!少し待っていてください!」


侍女達に花を切ってもらって花束を作ってもらいました。


「はぁ…メイがどんどん美しくなっていく…」


「父上。殿下達に嫁がせるのが嫌なのはわかりますが、殿下達以上の良縁がないのは間違いないです。」


「わかっている。それ以上の男がいないのもわかっているけどな…」


「お父様、お待たせしました!」


「花束を持つメイが美しすぎてつらい…」


「ふふふ、お父様ったら。お母様もお姉様も美しいですわ?」


「わかっているよ。」


「では、父上。帰りましょうか?」


「そうだな。メイ、護衛と近衛兵の人選はすぐにするから気をつけるんだよ?」


「はい、お父様。今度また一緒にお食事しましょう!」


「あぁ、約束だ。おやすみ。」


「メイも早くに寝るんだよ?」


「はい、お兄様。おやすみなさい。」


「おやすみ。またね。」


今日はなんだかたくさんおしゃべりしたわ。


ふふふ。


その後夕食を食べて入浴して就寝しました。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ