137.5 孫四郎のいない日常 ①女子力が高い蘭丸君
本編はここから段々暗くなっていくので裏話ではほっこりする話をしばらく投稿していこうと思います。
時は清州会議が終わった直後まで遡る。
荒子城
「というわけで、皆には府中城でしばらく住んでもらいます。」
「え~!またお引越しですか?」
「ごめんね、永。ここは信雄様が治める土地になっちゃうから…。」
「また、孫四郎様と会えないなんて…。」
「本当にごめんね。」
「…必ず帰ってきてくれるなら許してあげます。」
「…約束します。」
「孫四郎様も永姫様には弱いですね。」
「…永だけじゃないよ。桜にも弱いし…。」
「梅さんにも弱いでしょ。」
「徳姉様にもいつも機嫌を伺っているし~。」
「…もうちょっと強くなれるように頑張ります。」
「それで、今回も蘭丸が皆様を守りながら向かう感じですか?」
「いや、父上も一緒に行くからそこまで気を張らなくて大丈夫だよ。」
「…戦が終わったら茶々姉様たちも一緒に暮らせるようになるのですね。」
「多分、そうだと思う。…というか、そうせざるを得ないんだよね。」
「…?」
「あ、何でもない。」
「変な孫四郎様。」
~蘭丸視点~
そして、年末を迎えることになったのですが…寒いです。こんな寒い場所でしばらく暮らさなくちゃいけないなんて…。
「…蘭丸?」
永姫様の声だ。
「は、はい!蘭丸でございます。…どうかしましたか?」
「髪を結んで欲しいんだけど任せてもいい?なんて言っても蘭丸は男の子だし―」
「…どんな感じがいいでしょうか?」
「…いいの?無茶ぶりだったんだけど。」
「昔、孫四郎様に可愛がってもらった時に桜様の結び方をたまたま見たことがあって、その時に覚えた結び方なら何でも出来ると思いますよ。」
「…桜姉様の結び方を?」
「はい。…桜様の方が綺麗に結べると思いますが―」
「じゃあ、お任せで。」
「お、お任せですか。…信長様そっくりですね。」
「何か言った?」
「い、いえ…こんな感じでいかがでしょうか?」
「そんな早く出来るの!…しかも可愛いよ。」
「喜んでもらえてよかったです。」
「…だから蘭丸は孫四郎様に気に入られるんだね。」
「…え?」
「何でもな~い。」
最後に話した言葉が気になりますが…さて、仕事の続きをしますか。
蘭丸は意外に女子力が高いという設定を加えたかったのですが、本編ではそのような機会が多分ないだろうなと思ったので裏話で投稿させていただきました。