132.5 孫四郎って可愛くてかっこよくて幸せ者だよね
132話で孫四郎が寝てからの久太郎と利家の話です。
実はこの2人が長々と話すのはこれが初めてです。(多分)
~久太郎視点~
「スー。スー。」
寝ちゃったらしい。利家殿の部屋で寝ちゃうなんて…珍しいね。
「…また、無理をしたんだろうな。」
「そうですね。…でも、寝ている孫四郎さんは可愛いですけどね。」
「…皆言うんだ。戦場では怖いのに日常は可愛いって。でも本人は気付いていないんだけどな。」
「孫四郎さんは蘭丸の方が可愛いよっていつも言いますし…。」
「その蘭丸もめでたく孫四郎の家臣か。…久太郎も気をつけろよ。いつか孫四郎に飲み込まれるぞ。
「別に僕はいいですよ。孫四郎さんの与力になっても家臣になっても。」
「…変わってるな。」
「僕の夢は孫四郎さんの夢でもありますから。」
「…お前たちには敵わないな。いっそのこと、俺ら3人で天下を狙うか?」
「流石に無理ですよ。…でも、いつか孫四郎さんは天下を狙う気がしますよ?」
「…何となくわかる。孫四郎のあの喋り方からして藤吉が天下を取ると思うが…その後、きっと天下を取る気がしなくもない。」
「あの子は未来から来た関係なしに天下を取る才能はありますよね。人付き合いが上手いし。…きっと利家殿や秀吉様のことをよく見て、受け継いだんでしょうね。」
「ああ、わかる。あいつ、小さい頃から本当に周りを見て育ったからな。…声は中々低くならないけど。」
「それを言ったら僕もですよ。」
「…そういえばそうだな。でも、久太郎は最初からずっと変わらなかっただろ?でも、孫四郎は―」
「ちょうど低くもなく高くもないところまでは下がったけど、中途半端なところで止まっちゃいましたね。それがかっこよくもありますけど。」
「…一体あいつは誰を受け継いだんだろうな。」
「まあ、一人ではないですよね。半兵衛殿、利家殿、秀吉様、信長様、信忠様、久秀殿…これだけでもたくさんいますね。…利家殿の夢は何ですか?」
「俺の夢か。俺の夢は―」
「…あれ?僕、何を…あ、ごめんなさい!うっかり寝ちゃいました…。」
「信長様じゃないんだからそんなことで怒らんよ。早く風呂入って寝な。」
「はーい。」
そう言って孫四郎さんは寝ぼけながらお風呂に向かっていった。…やっぱり可愛い。横を見ると利家殿も同じように孫四郎さんを見ている。
「…!で、何だったっけ?」
「い、いえ…。僕らもそろそろ寝ましょうか。明日は早いですし。」
「…そうだな。」
そういえば、僕、どこかの土地を任されるって孫四郎さん言ってた気がするけど…まあいいか。明日確認しよう。