115.5 悪戯
孫四郎と万千代の酒を飲みながらの雑談シーンです。
「…美味しいですねえ。」
「もしかして万千代さん、お酒苦手?」
「そんなわけないですよ~。…逆に孫四郎様は酒得意なのですね~。」
「昔は苦手でしたよ。元服の時とか二日酔いしちゃいましたし。」
「…家康様も苦手なんですよ~。」
今、自分の主君のことを狸って言ったよ、この人。それに話が噛みあってないし…。
「…無理しないでくださいね。」
「無理してないです~!」
いや、それを無理しているって言うんですよ。
「…万千代さんはまだ結婚しないの?」
「…話は出てるんですけどね、中々決まらないのです。」
結婚話になると酔いが醒めると。なるほどね。
「例えば?」
「忠勝様の娘様とか殿の娘様とか。」
「忠勝殿か。最近会ってないから会いたいな~。」
「忠勝様も言ってましたよ。『孫四郎に会って訓練させてやるんだ!』って。」
うーん。やっぱり今の話なしで。
「…万千代さんは家康様のどこが好きなの?」
「…。」
あれ?急に黙っちゃった。どうしたんだろう?…寝てる。この間の一益様や長可殿と同じだ。この酒、そんな度数高くないのに…。
そうだ。悪戯しちゃおう。僕は紙にある言葉を書いて万千代さんの背中に貼り付けた後、家康殿の下に万千代さんを送り届けた。
翌朝
~万千代視点~
あれ?さっきまで孫四郎様と話していたはずなのに何で本陣に戻っているんだ?…何で皆私を見て笑っているんだろう?ん?何だか背中に貼ってあるような…何だこれ。
『私はお酒が苦手です。今度、もし酔ったら海老すくいを今度、忠次様と一緒に疲労します。』
え⁉私そんなこと書いた覚えないよ⁉
「万千代、お前、海老すくい出来るのか?」
「え、あ、ちょっとぐらいなら…。」
「じゃあ今度、一緒にやろう。」
「…。」
絶対孫四郎様だ。くそー!やられた。今度会った時は何かし返さないとこのままじゃ舐められちゃうよね…。
万千代君は孫四郎君に悪戯を成功させることが出来るかな?