105.5 勝負!勝負!勝負!勝負!
勝負を一個付け足しただけっていうね…。
「いいの見せてもらったぞ、孫四郎。…せっかくだ。おいらたちともやるか?」
「…え?」
え~現場の孫四郎です。たった今からとんでもない勝負が繰り広げられようとしています。…というのはリポーターの役目か。僕は対決者だもんね。
「…何?おいらたち3人には勝てないのか?」
秀吉様、秀長様、小六殿か。…ムズイ。
「いや、受けて立ちます!何なら3人同時でもいいですよ?」
「言ってくれるな。…だってよ、小一郎、小六殿。」
「…何となく我らが負ける未来が見えた気がします。」
「大丈夫だ!お前たちは正直―」
「始め!」
え、今から?…グダグダじゃないか。でも皆準備できてるもんね。だったらすぐに攻めても文句言わないよね?
「面!」
「え、あ、本当にやられた…。」
秀長様は戦闘向けじゃないもん。もし戦場で1人で立っていたら瞬殺されちゃうだろうね。…次は。
「…俺か。」
「確実に勝つならこれしかないんですよ。」
「後ろががら空きだぞ!」
甘い。それは仕掛けた罠…。
バキッ。
え、竹刀が折れた?マジか、そのまま降りかかって…いや、まだいける。
「覚悟!…何?」
すぐに僕は仰向けになっていた秀長様から竹刀を奪って場内に戻ってきた。まだ、終わらせないよ。
「…あくまで諦めませんよと。」
「…早い。まるで鼠みたい。」
「ね、鼠⁉…それだけは言わないでくれ、ねねにも…。」
何で泣いているんだ?…でも今がチャンスだ。ふくらはぎに力を入れて足を叩く。そうすれば。
「…痛くない。思いっきりやられたのに。」
「何か、可哀想でしたから。って危な!」
小六殿、怖すぎる。まだ勝負は終わってないとはいえいきなり肩を切ろうとしないでよ。
「…全く隙がないですね。」
「…孫四郎は隙を見せてもすぐかわすから勝敗がつかないだろ。」
いや、これは僕の負けです。籠手は無理だし胴も無理。他の場所も…ワンチャンを狙うか。
「高い!高いぞ、孫四郎様!」
「若様…。」
足に全ての力を蓄え高く飛ぶ。これ、2mぐらい普通に飛んでいるんじゃない?
「面!」
「…終わりだな。」
僕は確かに頭を切った。だけどその前に小六殿に胴をうたれた…。その反動でかなり吹っ飛ぶ。
「…痛タタタ。強すぎます、小六殿。」
「まあな。でもお前もなかなかだったぞ。」
強かった。でも、悔しいという感情はない。何でかな。
「…さて、お遊びはここまでですよ。」
官兵衛殿、少しぐらい休ませてくれてもいいじゃないですか。まあいいか。さて、作戦会議を始めますか。