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Return To Highschool?

作者: 変な鯛

―県立◯◯高等学校 入学式―


ふぁ!?

これ、母校……だよな。

校舎といい、着ている制服といい、間違いない。


いや、しかし……20年以上前に卒業したはずだぞ。


俺はもうアラフォーのオッサンなワケで。


現在の西暦を確認しようとポケットのスマホを探す…が、無い。

腕には入学祝いで買って貰った(記憶のある)Gショックが。

日付はあるが年までは表示されてない。


そりゃそうか。

当時はスマホはおろかガラケーだってまだ出回る前の話だしなぁ。


仕方ないので体育館前に掲示してあるクラス割りを見て、自分のクラスを確認する。


うん、1年5組だ。間違いない。


持ってきた上履きに履き替えて、体育館に入り自分のクラスが割当てられている席に向かう。

記憶の中にあるクラスメイトだ。


そして、その中でも同じ中学出身の奴が……いたので声をかける。


「よぉ」

「おぉ、同じクラスか」

「みたいだな。宜しくな」


俺にとっては懐かしい顔ぶれだが、みんなは殆どが初顔合わせになる。

チラチラ、キョロキョロしているのが見える。



◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯


入学式も終わり、それぞれのクラスで担任教師の自己紹介とクラスメイト全員の自己紹介タイム。


次は俺の番だ。

「高橋タケシです。◯◯中学出身です、宜しくお願いします」

どいつもこいつも同じ事しか言わないので、当然の事ながら自分も同じ事のみ。


今後の予定は数日後にウォークラリーがある。

早い話がクラス単位での親睦を深めろという事だな。


ウォークラリーの時点でカップルは誕生していたので、手が早い奴は相当なモノだと今更ながら感じた。


まだ授業がないので放課後(と呼べるかは微妙だが)、席が近い奴等で雑談をする。

隣の席、同じ中学の奴など知り合いを見つけて話している。


「ウォークラリー、ダルくね?」

「まぁね。ただデメリットだけじゃないだろ。女子と仲良くなって、上手くいけば彼女出来るかもよ?」

「「だよな~」」

「そこは腕次第ってとこかな(笑)」

「「ですよね~」」

当時と同じ様に数人のグループが出来ていた。


俺と同じ中学のシンゴ、別の中学出身のシンゴ、また別の中学のワタルといった名前&席が近いグループ。

相変わらず、シンゴはいつの間にか話題の中心になってる事が多い。


そして、謎の流行りが生まれる。

テニスボールサッカーだ。

どこから調達したのかは知らないが、廊下で硬式テニスボールを使ってサッカーをする、だけ。

実に下らないのだが、何故か楽しい。

肉体が若返ると精神も釣られて若くなるのだろうか?

戻った時代でもガラスを割る前に担任に怒られて流行りが終わった。


ウォークラリーは疲れた。

ひたすら歩くだけだしな。

同じ班の女子とは仲良くなれたが、特に進展は無い。

逆にあったら怖いわ。

戻る前もそうだったが、初めて女子と回し飲みを体験。

当時は凄いドキドキしたが、中身がアラフォーだと違う意味でドキドキした。

結論としてお巡りさんは山中にまでは来なかった事を報告する。


ウォークラリーが終わった翌週、いきなりの実力テスト。

あ、先に言っておこう。うちの学校はバカだ。

偏差値だと46程度しかない。

俺?

あまり勉強が好きではなかったので、こんなもんだ。

周りはヤンキーだらけ。流石にリーゼントはいないがドレッド、アフロ、パンチと多種多様でまるで見本市かのようだ。

結果は当然ながら撃沈。

良いんだ、四則演算と電卓が出来れば生活には困らんよ。

って言うと、また数学教師に怒られるんだがな(笑)


赤点取っても補習とプリント提出だから、多少は時間かかるかもしれないが留年はしない。

まぁ、取らないにこした事はないんだけどさ。


実力テストの数日後にスポーツテスト。

各種のタイムや距離を計測する。

持久走とかキライだ。ただの拷問じゃい。

クラス平均値辺りを行ったり来たりの成績だった。


この頃から部活の勧誘が始まる。

当時、在籍していたのは『管弦楽部』だった。

『吹奏楽』ではなく『管弦楽』。

違いはサックスやトランペットなどの管楽器メインが『吹奏楽』でバイオリンやビオラなど弦楽器メインが『管弦楽』。

体形から何故かウッドベースにさせられたが、未だに解せぬ。


ここで『姫』と出逢う。

サカノ先輩だ。

女優でもおかしくないのでは?と当時思っていたが、やはりそれに間違いは無かった。

一目惚れして入部した。

で、更にもう一人『姫』がいた。

アカネ先輩だ。

若い頃の持田真樹のような感じとでも言うか…とにかく『可憐』とはこの事なんだと思った記憶がある。

そのサカノ先輩に釣られて未経験のクラスメイト(男子)数名とフルートを担当していた女子も一緒に仮入部した。

ちなみにサカノ先輩は当時彼氏がいたので告白前に撃沈し、アカネ先輩にもフラれている。

どちらにしても脈は無い。


なので『今回』は仮入部期間で終わらせようと思っている。

理由は『譜面が読めない』事だ。

ト音記号ならまだしもヘ音記号だと瞬時に読めないので困る。

俺には音楽の才能は無かったんだと痛感したよ。

なので部活ではなくバイトに精を出す。

友達付き合いでカネもかかるし、貯金しておいて損はないし。


バイト先は近くのガソリンスタンドにする予定。

ここは高校卒業後にバイトで入り、10年程働いていたからだ。

人は違うが内容は理解しているつもりなので、他の仕事よりはやり易いと感じている。

もう応募の電話はしたので面接を数日後に控えている状態だ。


面接を終え、数日後。

電話があり採用との事。

第一関門クリア。

さぁどうなる事やら。


学校を終え、一度帰宅して17時に初出勤。

まずは制服を渡され着替える。

色んな設備を説明され、一連の流れを見学する。

……いや、まぁ経験者なので知ってはいますけど、ねぇ。

給油口の位置と燃料の種類(ハイオク、レギュラー、軽油)と満タンなのか、指定(リッター、金額)かどうかさえ間違えなければ問題はない。

他には洗車のメニューかな。オイル交換は作業担当が聞きに行くし。

誘導する時は轢かれない様に正面にはいない事、ノンスペ(ノンスペース:上から吊るしてある給油ホース)に車の屋根をぶつけない事か。

この頃スタンドでは「水抜き剤」をやたら販売していたが、月間60本売ったら夢の国ペアチケットが貰えるというニンジンがあったせいだ。

原価は100円なのに600円~で販売していたのでボロ儲けだったと思う。


それはさておき。

初日は大した仕事も無く、残りは次回の出勤日と今後の希望シフトを聞かれる程度だった。


バイトは週4の火水木日にした。

時給700円×5H×4日=14000円。

最低賃金が低いので週6で働かないと引っかからない額だ。

そこまで必死に働くつもりは無いけどね。


バイトを始めたので、当然ながら部活をやる時間は無くなる。

顧問に『何故部活に来ない?』と聞かれたが『譜面が読めないので続けられません』と返事をした。

ガックリしてたがね。

ゴメンね先生。俺には向いてなかったんだよ。

前は顧問が自腹で音大生を呼んで教えてくれていたが、結局効果がなかったので無駄な出費も避けられたし、ねぇ。



夏になる少し前、バイトが無い土曜の昼に用事で残っていて腹が減ったので学校の目の前にある店に買い物へ行こうとしたら校門の所で手紙を渡された。

その時に買った弁当の味はよく分からなかった。


『前』はアカネ先輩が大好きすぎて周りが見えていなかった、と思う。

思い返せば、やはり校門で話しかけようとしていた…女子がいた…?位にしか思っていなかった。


手紙を渡された後、ダッシュで帰っていったからなぁ。追いかける事も出来なかったし。


で、内容は『笑顔がとても素敵です。お付き合いして下さい。田中ハルカ』という事だった。


俺で良いなら喜んで♪


笑顔ねぇ…いや、好かれるに越したことはないし。

バイトも始めたから多少は余裕もあるし。

連絡用として自分で払うのでポケベルを所持させてくれと頼み、電話もプッシュ式に変更してもらった。

当然子機有りのコードレスですわ。

また※2※2やるのか~とか思いながら、ワクワクしていた。

最初は久しぶり過ぎて思い出せず、間違えだらけだったが慣れるとブラインドタッチが出来た。


―夏休み―

課題は一緒にさっさと終わらせた。怒られるよりは良いし、口実に長く一緒に居られるから。

バイトが無い日、最低でも週2回は逢っていた。酷い時は毎日。

それだけ逢う時間が長ければ、男女の関係も進むワケで。

その週は休ませて貰った。帰省するとか言って。

で、家族には『友達の所に泊まりで遊びに行く』と。

間違ってはいない。

ただ『女の』と最初に付けなかっただけだが。

彼女も「友達の家へ泊りで行ってくる」と(以下略)。


初の『お泊り』です。

どちらの家にも泊まれないのでラブホに泊まった。

ビックリしたのは回転ベッドがあった事。

20年以上先を知ってるからなのか、覚めて見ていたような気もする。

スイッチやBGMの操作パネルはほぼ変化無しだった。

とりあえず何回出来るか分からないが、箱で近藤さんを購入しておいた。

興味本位でスイッチを弄りまわしていたら、TVの電源だったようでいきなりAVの絡んでる場面だった。

……コンチータ師匠、お久しぶりです。

つーかモザイク濃過ぎで目を細めても全く判らんわ(笑)

「ちょっとタケシ……?」

あんまりにも凝視していたせいか枕で叩かれた。解せぬ。

アタマ来た(ふり)んで、そのままハグしてからの………(自主規制)




朝チュンですかね、これ。

予算は豊富にあったのでバラエティ自販機なるモノがあったので全部使ってみたらとんでもない事になった。

もう出ませんわ……………。

近藤さんも品切れ。

いやね、あんまり薄くないんでイマイチなんですよね~と。

それはともかく、腰が痛い。ナニが痛い。腕が痛い。身体中が痛い。とにかく痛い。

特に致命的なのが腰とナニですかね。酷使するもんで(笑)


向こうは内股気味なのは置いておいて、それ以外はツヤツヤ、テカテカって感じ。

そんなにタンパク質ってお肌にいいのかしら?(笑)



―8月最初の土曜―

大きな川を挟んで大きな花火大会がある。

浴衣を着て行きたいって聞いてから、必死で着付けを習得した。

これでどんな状況になろうが問題なし。

着付けにばかり気にしていたら、終了直後の土砂降りにやられた。

もう雷ピカピカですよ。河川敷だから怖くてチャリも乗れやしない。

仕方ないので濡れ鼠になりながら彼女を自宅まで送ったら泊まれと言われた。

まぁこの状態で帰ると間違いなく風邪を引くだろうし……いや、もう手遅れかも。

家に電話してハルカの親に変わって説明して、仕方なく許可して貰えた。

まずはハルカが風呂に入って、で俺が次に風呂に入る。

脱衣場には何故かは知らないが俺にピッタリサイズの下着と寝間着がある。

……あまり深くは聞かない様にしよう。

客間は無いのでハルカの部屋で一緒に(ベッドと布団の違いはあるが)寝る。

人混みで疲れたのか、いつの間にか寝ていた。


翌朝、朝食もご馳走になったが体調が悪化してきたのを悟られないように早々に帰宅。

部屋に入ると同時にダウンした。

汗で体がべたつき不快で起きるも夕方になっていた。

頭はクラクラ、ノドはガラガラ。典型的なカゼだろう。

揺れる視界のなか、バイト先に翌日の休みの連絡をする。

夏風邪はこじらすかもしれないから念のため1週間休んでろと言われる。


結局、完治するのに1週間かかった。


電話はできなくてもベルで連絡をとる事は出来たので、まぁ大丈夫だと思う。

もの凄く申し訳なさそうにしてたからなぁ。

気にしなくても良いんだけど。




―2学期―

夏休み明けの実力テスト。

結果はクラス10位以内。

数学さえなければもっと上に行けたんだがね。総合点で下がってしまったようだ。


―文化祭―

『前』は管弦楽部でコンサートやってたからクラスのは全く参加出来なかった。

何やってたかさえ覚えていない。

え?やる気のない駄菓子屋?(笑)

やらなきゃええやん(笑)

あ、各クラスは何かしらやらにゃイカンのか。

好きにせい。俺はフラフラしてるから。


―後夜祭―

グラウンドで盛大なキャンプファイヤー。

マイムマイムやオクラホマミキサーを踊る。

もちろんハルカと。


―体育祭―

障害物競走に参加。

メインは俺向きではない。

ネタに走っている障害物・借り物競走が俺を呼んでいる気がしたのでね。


アンパンをかじって、粉の中の『超酸っぱい(たまに激辛)』飴玉を探し粉だらけでネットを潜り、フラフープを腰で回しながら走り、テーブルに用意されたお題を探してゴールに持ってくるという競技だ。

フラフープって必要だったのかと小一時間問い詰めたい。

俺のお題は『メガホン』だったので近くにいる先生から借りた。

あとから聞いたが『ヅラ』とか『お姫様』とか困るレベルのお題も用意してあったとか。

うちのクラスが優勝したのですたみな太郎で打ち上げした。

1人偏食なヤツがいて、いきなりパイナップルを焼き始めた時は殺意が芽生えた。

そいつ空気読めないヤツだったからなぁ~。



―中間試験―


特に問題なし。

段々と成績は上がってきてるな。

ハルカ様々ですわ。


誕生日を迎えたので中型免許(二輪)を取りに行く。

費用はもちろん自分で出す。



―期末試験―

これまた特に問題無し。




―クリスマス―


サプライズで誕生石付きのネックレスを考えている。

さて、喜んでくれるかな?

泣くほど喜んで貰えた。

彼氏冥利に尽きるね。

ハルカが用意したのも同じネックレスだった。

考える事は同じなんだな。

いや、似てきたと言えるのかも。

まぁ学校では『恋人』ではなく『夫婦』と呼ばれているし(笑)

流石に泊まりは出来なかったが仕方ないだろう。

家族の許しがあっての付き合いだから。


―正月―

『あけおめ』とメッセージを送った後、迎えに行く旨を伝えひとまず寝る。

アラームで起き、支度をして出かける。

家を出る時、電車に乗る前、最寄り駅に到着した時にそれぞれメッセージを送る。

まだガラケーすらないので連絡手段が少ない為、まめに現在地を伝えないとすれ違いになるからだ。

いや、別に悪いと言っているのではない。


そんなこんなで到着しインターホンを鳴らすとすぐに出てきた。

それだけ待ち遠しかったのか。

振袖を着ていたハルカは、いつもと違って輝いて見えた。

赤い生地に花柄がたくさんあって、とても華やかなイメージだ。

帯も艶やかで……こう、グっとくるものがある。


ん~、既視感があったのはTVで地方の早い成人式のニュースを観たせいかなぁ。

もしくは、中身がアラフォーだから娘の成人式とか…そんなイメージ?

いや、同い年だからね?


そんな脳内での葛藤やらをしていると、反応が無いと思った彼女が訊いてきた。

「…どう?変じゃない?」

「んにゃ、全く問題なし。逆に神々し過ぎて固まってたわ」

素直に言ったらグーでポカポカと叩かれた。解せぬ。

「さ、ここにいても初詣が出来ないから行くけど……どこに行く?」

「う~ん、どうしよ」

「2つ有名なのあるけど」

「やっぱり氷川神社じゃない?」

調つきのみや神社も捨てがたい」

このあたりで有名なのはこの2つだろうか。

片方は総本山でもう片方は『狛犬』ならぬ『狛兎』があり、鳥居が無い珍しい神社だ。

「よし、両方行こうか。ただし、今日と明日でそれぞれ行くってカタチ」

「え?初詣って2回行っても良いの?」

「さぁ?(笑)参拝するんだから別にバチは当たらないと思うけど」

「それなら良いや(笑)」

「今日はどっちにする?近い方にしとくか?」

「そうだね~じゃあ調神社にしよう」

「はいよ。すみません、では行ってきます」

後半は一緒にいたお母さんに向けて。


―電車の中―

「しかしまぁ、綺麗な振袖だな」

「うん、成人式にも着るつもりなんだ」

「そっか……体形維持、頑張れよ?」

「え゛?」

「俺はアドバイスしか出来ないが、あんまり太ると着られなくなるから気を付けてな。いくら代謝が良くても限度はあるから」

ちょっとオジサンっぽくなってしまったか。

「……たぶん大丈夫……(´・ω・`)」

暫くの間、落ち込んでしまったのでフォローが大変だった。


―調神社―

神社に入る前からの行列に並び、雑談をする。

「ほぇ~、ホントに兎なんだね」

「言ったろ?『つき』にかけて兎なんだって」

「あとオジサンがやたら多いのは?」

「…それも『つき』……この場合は『運』の方だな。そのツキにあやかってギャンブル運を良くしたいんだろうな」

競輪、競馬(現時点では地方競馬)、オートレース、ボートレースの公営ギャンブル場が揃ってるからなぁ我が県は。

「なんで鳥居がないの?」

「日本史で『租庸調』って習ったろ?アレの『調』と同じ字なんだが……」

「壊した?」

「違う(笑)」

「邪魔だった?」

「お、正解」

「やった~♪」

「一説によると貢物の運搬の際に邪魔になるから取ったという話だそうだ」


手水所で清めて、ようやく参拝。

今年も健康で、ハルカとも仲良くやっていけますように………。

「何をお願いしたの?」

「それ聞いちゃう?健康で彼女と仲良くヤっていけます様にと」

「なんか『ヤって』の部分が違く聞こえたのは気のせい?」

「いいえ、その通りでございます(笑)」

「もぅ」

「仲良く『ヤって』いるのは間違いないだろ?」

「………ぅ、まぁ、そうなんだけど、さ…」

ヤバイ、完全にセクハラオヤジだ俺(笑)

「で、そっちはどんなお願い?」

「え~っ?そこで戻る?」

わざと肩をすくめて惚ける。

「はぁ~。タケシと一緒だよ。ずっと仲良くいたいって」

「……そっか」

「どうしたのタケシ?気持ち悪い位にニヤケてるけど…?」

「え゛?そんな顔してる?」

「……うん。かなりヤバい。彼氏じゃなかったら近づかないと思う」

マジか………(´・ω・`)


おみくじを引く。

『並』だそうです。

大吉~凶じゃないの?

なんか普通のあたりのさわり無い事が書いてある。

例えば、賭け事:勝つ事もあれば負ける事もある。

健康:悪くない。

待ち人:既にいるが失わないように。

……何か100円損した気分だ。

「タケシのは……な、並って(笑)」

5分程笑いっぱなしで呼吸困難になりかけていた。割とマジな話で。

ようやく呼吸も整ったようなので結果も聞いてみる。

「アタシ?うん……中吉」

申し訳なさそうに見せてくる。

「まぁいいや別に。気にしないも~ん(棒読み)」


「参拝も終わったから帰るか」

「そうだね、まだ混んでるから大変だよ」


―電車の中―

「明日はどうする?」

「う~ん、着物はもういいや。疲れるし動き難いし」

「そっか。また家まで迎え行こうか?」

「ううん、途中の乗り換え駅で待ち合わせで良いんじゃない?そっちの方が時間かからないし」

「わかった。それなら〇〇駅のホーム一番後ろにしよか」

「そうだね」


「タケシ君、今日はありがとうね。また明日もお願いしますね」

「あ、はい。わかりました」

「じゃあねタケシ、また明日ね」

「お~、またね」


氷川神社でも似た様な事をして(おみくじは引かなかったが)、駅に向かう途中でムラっときたので正月早々に姫始めを。

寒さ対策としてツバ付き帽子を被っていたので誰かにバレる事は無かった。




―スキー林間―

福島の裏磐梯猫魔スキー場で1泊2日。

事前アンケートで出来る項目にチェックするのがあったが、全部レ点が入った。

基本的な所から応用的な部分まで、全部。

どうやらエキスパートグループらしい。

他の子は初心者だったりするので立って停まる所からの開始。

俺たちは最初からリフトで上まで行く。

グループはインストラクター別で俺を含めて6人。なんか1人怪しいのがいるけど、知らね。

見栄張ったら、ケガするぞ。

上は少し日陰でアイスバーン気味なのでターンする時はちょっとエッジを立て気味に。

以前、軽井沢で圧雪後のアイスバーンで酷い目に遭ったからなぁ。思いっきり吹っ飛んだし。


ハルカはほぼ初心者なので最初からのようだ。

リフトに向かう途中で見つけたら手を振ってくれた。


感覚を取り戻すを為にゆっくり滑り、下に到着する。

悪くないコースだが途中で平坦な場所があり、スケーティングしないといけないのでそこがマイナスポイント。

バタつくからあんまり好きじゃないんだけどね。



またリフトで登る。

インストラクターはある程度まで先に行き、そこまで皆が追い付いたらまた先に行くという形。

うん、別に自由行動でも問題無いレベルのグループなんだけどね。

体裁的には『教えて貰う』というスタンスだし、まぁ仕方ない。

夕食後にナイターあるから、そこで好きに滑ろうかと思う。


3本目。

『好きに滑って良いよ。君達なら大丈夫みたいだし』とのお言葉が。

やった~‼️

エッジを効かせて高速ターンや、ちょっとしたジャンプ台みたいな所でモーグルっぽく攻めてみる。うん、楽しい。

コブは……勢い良く突っ込みすぎて転けた。

って言うか飛んだ(笑)

インストラクターは怪しい動きをしている奴に指導しているようだ。

あんなへっぴり腰でよくもまあ、見栄を切ったもんだ。


4本目。

どうやらこれが食事前ラストのようだ。

やはり『好きに滑って』と言われる。

降りて来て、おもいっきりエッジを効かせて停まったら、効かせ過ぎてコケた。

クラスメイトの目の前だったから、笑われてしまった。

むぅ……うちのクラスでは俺が一番上手い(アンケート上では)んだぞ。


―晩飯―

大きな食堂でクラス毎で食べるようだ。

俺の隣には大きいシンゴ(別の中学出身)が座ってる。

使い捨て燃料で暖める鍋モノと刺身が目の前にある。

福島なのに何故に刺身?とか思ったんだが。

スキー教室の内容が中心に話をしながら食べる。

何故かじゃんけんで負けた奴が罰ゲームとして鍋に刺身とツマを『闇鍋』として食べる事に。

俺がイチ抜けした。

負けたのは大きいシンゴだった。ドンマイ。


―ナイター―

食後の腹ごなしではないが、念願のナイター。

なんと、最近(この時代としては)スノボがレンタルされているようだが、俺は根っからのスキーヤーなので当然スキーを選択。

ホテルで売ってたオレンジのヘアバンドを買って(全員に渡されていた毛糸のキャップはダサかったので)、いざゲレンデへ。

3本滑って風呂の時間が近づいて来たので切り上げた。


部屋は大部屋なので寝る頃になってもガヤガヤしている。

ウノやったり、大富豪やってたり、とっくに寝ていたりと様々。

女子の部屋に行くのは御法度なので、それは最初から選択肢に入ってない。

23時の少し前、隣の部屋から中川君がやって来た。

理由は『ラジオ番組を聴視する為』だ。

戸塚君と仲良くなり、同じラジオを聴いてるという事が判明し、更に中川君もだったという事で放送翌日は大抵はラジオの話で盛り上がっている。

で、福島に来てもラジオは聞こえるのかどうなのかと、実際に番組の時間になって確かめるという事に。

それと、隣の部屋は陽キャ達で居心地が悪かったそうだ。


中川君が来て数分後、担任が見回りに来た。

「さっき中川の姿を見たが…、いや、お前達が良いなら何も言わん」と、理解してくれていたので助かる。

中川君は虐められている訳ではないが、若干浮いている様な感じなので担任としても気にしていたのだろう。


開始1分前から電源を入れ、ノイズだらけのポケットラジオで必死に音声を聞き取る。

戸塚君はあっちこっちと位置と角度を変えながら、ベストな場所を探している。


…ザ~ピポ…ザ~ポーン。皆さザ~こんザ~~です、一週間ザ~お過ごザ~しょうか。


「「「ああっ」」」

みんな寝ているので、かなりボリュームは絞ってある。

…ただでさえノイズで聞き取り難いのに。

本物の雑音リスナーはこんな苦労してんだなぁと。

いや、普段はちゃんと聞こえるんだけどね。


頑張って1時間聴いたよ。

ちょっと集中し過ぎでグッタリしたかも。

中川君の寝る場所が無かったので、押し入れに布団を敷いて『ドラえもん』と同じ状態で寝て貰った。


翌朝、朝食を食べて出発。

そのまま学校まで戻り、解散。

翌日、大きいシンゴが虫垂炎になったと聞いた。

薬で散らしたと言っていたが、まさかあの闇鍋のせいなのか…?

ハルカは『滑ってる姿、カッコ良かったよ♪』と言ってくれた。

スキーは唯一自慢出来る項目だからなぁ。

小さい頃から連れていってくれた親父に感謝だな。



ーバレンタインー

「はい、これあげる♪」

とハルカが教室で小包をくれた。

『彼女』が『チョコ』をくれた。はい、ココ大事ですよ。

「神棚にお供えしても良い?」

「……アホか、食べろ」

神様に感謝しないといけないと思ったから、まずは神棚に奉納するつもりだったが……まずかった?

「お……おぅ」

まずかったようだ。

小包の包装を開け、中身を取り出す。

まるで売り物の様な綺麗な……って、まさか売り物を詰めた……?

「……ハルカ?」

「……ゴメン、作ってはいたんだけど失敗しちゃってさ。そしたら、時間無くなっちゃった。来年はちゃんと作るから……」

思わず抱きしめた。

「ちょ……タケシ?みんな見てるよ?恥ずかしいんだけど」

「おっと、いけねぇや。…失敗したやつで良かったのに。俺はハルカが作ってくれたのを食べたいんだ。ハルカの気持ちがこもったモノが良いんだ」

「タケシ……」



『『『えぇ加減にせぃ、バカップルが‼️』』』



「「うわッ⁉️」」

いけない、自分達の世界に入っていたわ。


この日は放課後になるまで男子からは白い目で、女子からはキラキラした目で見られた。


ーホワイトデーー

この日は、俺の家でハルカに手料理を振る舞った。

とは言っても、タコ焼きとお好み焼きだけど。

趣味で作っていたら『店を開けるレベル』とも言われたが、面倒なのでやらない。

文化祭でバレると絶対にやらされるのが目に見えているから、その手の事は話さなかったし。

熱々のタコ焼きとお好み焼きを振る舞い、ハルカの両親の分も『お土産』として渡した。


ー春休みー

終業式も終わり、通知表を受け取り放課後。

この教室は今日で最後になる。

なんかあっという間だったな。

入学して彼女出来てバイトして、イチャイチャして。


……ん?

なにか、こう…大事なのを忘れているような……。



まぁいっか。

今が幸せだと感じてるし。




思い付きで書いてみました。

反響があれば連載もしてみようと思います。

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