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大学祭実行委員会です!  作者: ツバキ ケン
1/1

第1回M はじめわし歩きだした


 ?/??(???)


 ―()()()は走りながら泣いていた― 


 「うぅ…」


 情けない声が漏れる。 

 文字通り、どうしようもなくて涙が止まらない。


 ―ここに至るまで、あと2年と半年―



 4/2(512)


 「キャップ開けてくれない?」


 …急に声をかけられて理解が追いつかない。

 僕、椿健(つばきけん)はこの春、S大学へと進学し、最初のオリエンテーションを512号室で行った後、お昼を1人で食べていた。

 すると隣の男の子が声をかけてきたのである。

 用件は「ペットボトルのキャップを開けてほしい」というものだった。

 力に自信は無いが、驚くほど簡単に開いた。


 「いや、めちゃ緩かったぞ」


 「いやぁ、手が塞がってたから…」


 よく見たらそいつの手にはサンドイッチが。

 え、そんなことで他人を使うか普通?


 (話しかけるきっかけが欲しかった…?)


 そうだとしたら、なんて可愛いんだと思ってしまった。

 これがきっかけで僕はコイツ、たいせいと友達になるのである。



 4/5(7合棟前)


 「バレーボール部、入部募集中でーす!」

 「よさこい、一緒にやりませんか!?」


 「普通、身体検査と新入生歓迎会フェスティバルを同日開催するか?」

 

 先日、大学生活初の友達となったたいせいと僕は喋りながら、構内を見て回っていた。

 実際には2人ではなく、8人くらいの男集団で。

 

 (上手いこと友達は作れたけど、何かしらのサークルには入っておいた方が良さそうだよね…)


 友達が多いに越したことはない。

 正直、勉学に励むことなど微塵も考えず、大学生活をエンジョイしたいだけの自分にとって、友好関係を広げる可能性が大きいサークル選択は重要だった。


 「けんちゃ〜ん、サークルとか決めたぁ?」


 相変わらずのゆるーい調子で訊いてくる。


 「いいや、全く…。履修もまだ組み終わってないし、もう少し考える時間がほしいかなと思うよ」


 「履修」、簡単に言えば高校までの時間割。

 学生になれば分かるが、自由に組めるとは言え実質自由ではない。

 如何に楽な講義を探して、苦にならないよう組み込むかを考えるのが面倒くさい。

 



 同日(食堂A)


 「けんちゃん!これ一緒に行こうよぉ!お菓子貰えるんだって!」


 食堂の机に立ててあった三角チラシを指さしてたいせいが切り出してきた。

 在り来りな誘拐犯の口説き文句を使うサークルもサークルだが、引っかかるコイツもコイツだ。


 「…大学祭実行委員会?の、M(ミーティング)ツアー??これ、今日じゃないぞ?」


 「じゃあ来週の水曜日に一緒に行こうよ!1人だと行きづらいからぁ…」


 「いやまあ、それは全然構わないけど」

 

 こうして、よくわからんサークルのよくわからんイベントに、お菓子目当てで行くことになったのである。

 そして、これが全ての始まりとなるのであった。

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