30話~必死と誤想と急くと
揺れが激しい最中ガルドは必死でブラットの方へと向かい……。
ここはシャインスプラウト城内。大きな揺れは続いており至る所が破損し始めていた。
そんな中ガルドは、ブラットの方へ向かうため揺れでよろけながらも必死で壁を伝い通路を歩いている。
「クッ……なんて揺れだ。いくらなんでも……揺れが長すぎるだろうが。いや、それだけじゃねぇ……揺れが激しくて前に進むのもやっと」
立ちどまれば更に歩むことが困難と思い歯をくいしばりガルドは、ひたすら歩みを進めた。
♦♤♦♤♦
場所はハングとレオルドが居る部屋に移る。
床に這いつくばりハングとレオルドは揺れのため動けずにいた。
「クソッ! なんなんだよ……俺だって…………子供だろ? どうして――……」
悔しさの余りハングは下唇を噛んだ。揺れのためかキレてしまい血が流れ落ちる。
「親子の関係とは……難しいですね。只、言えることは……最優先を考えて行動したのだと思いますよ」
「……最優先?」
「ええ、ハングのそばには私がいる。ですが……現在ブラットのそばに誰が付き添っているか分からないですので」
床を這いレオルドは、やっとの思いでハングのそばまできた。
「本当に、それだけか? 分からない。でも……分かることは一つある。いきなり現れた俺より、ずっと一緒に居たブラットの方が好きってことなんだよな」
「ずっと……ガルドはブラットのそばに居た訳じゃありませんよ」
「どういう事だ? それにみて来たような言いようだよな」
そう問われレオルドは昔を思い返し語り始める。
「誰かから聞いていますか? 私がスカイネーブルに居て幼いブラットのことをみたという事を」
「ああ……ブラットの城でサアヤから聞いた。でも、なんで小さい時にブラットがスカイネーブルに居たんだ?」
「そこまでは聞いていないのですね」
改めてスカイネーブルであったことをレオルドは話し始めた。
「……よく理解できない。今の話が本当だとして、ブラットは小さい頃から家に一人で居たってことか?」
「そうなるでしょう……そうでなければ、ブラットを容易に攫うことなどできないはず」
「俺も一人とかわらない。だが母代わりの人はいた……」
自分とブラットを比較しハングは胸が苦しくなる。
「自分ばかりが、なんで親に愛されず不幸なんだと思っていた。そうじゃない……親父は俺の存在を知らなかっただけだ。母は……やるべきことがあって……」
「そうなります。それにブラットは自分の母親のことなど聞かされていなかったみたいですので」
「そうか……まだ俺の方が幸せだったのかもな」
感受性が強いのかハングは、ブラットの生い立ちを聞き目から大量の涙を流していた。
♦♤♦♤♦
ここはブラットが眠っている部屋。揺れの激しい中ベッドには、スヤスヤとブラットが寝ている。
そんなブラットの胸に顔を埋めフェリアは目を閉じていた。
すると徐々にフェリアの瞼が開き意識がもどる。
「…………急いでガルドの下に行かなければ……」
ガバッと起き上がりフェリアは揺れの影響を最小限にするためヘッドフレームへと手を伸ばし掴んだ。
ヘッドフレームを掴んだまま片手を頭上に掲げた。
《テレポート!!》
ガルドのことを思い浮かべながらフェリアは唱える。すると頭上にゲートが開き、それを確認するとヘッドフレームから手を離した。
するとフェリアの体は開いたゲートへと吸い込まれる。
その後ゲートは音もなく消えた。
読んで頂きありがとうございます(^_^)/
『今日は雨か?』…byブラット
『……誤魔化さないでください! どう考えても魔法を使わないと部屋の中で雨など降らないですよね?』…byレオルド
『ハハハ……(;^_^A どんな魔法なのか試したかったんだけど……』…byブラット
『知らない魔法を部屋で使うのは禁止です。いえ、そもそも……なぜ私の部屋で……それも私の本を黙って読むなどあり得ません!!』…byレオルド
『Σ(・ω・ノ)ノ!……ε=ε=ε=┏(゜ロ゜;)┛』…byブラット
『『(╬▔皿▔)╯待ちなさい!! 逃がしませんよ<( ‵□′)───C<─___-)||……』』…byレオルド、ブラット
……――その後ブラッドは、レオルドに散々叱られたとさ( *´艸`)
と、いう事で……('◇')ゞ
では次話もよろしくお願いします(^_-)-☆






