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『気にくわない!!!』

前回あらすじ

顧問に宇田川先生を迎え一向は無事、部設立の条件を達成した。

埋まらなかった担当教員欄を埋めて生徒会室に提出に向かった。

「園部……どういうことなの」

「そんな事言われても……」


『気にくわない!!!』


ホワイトボードには一言そうかかれていた、もはや、議題でもなんでもないただの感情。


そして、今日の生徒会役員部部室は物凄く静かだ。


理由はひとつしかない。


「何で受理されなかったのよー!!」

「栗島先輩……急に大きな声を出さないでくださる?」


要件を満たしたはずなのに受理されなかったのだ。


「もう!なんなのよ!あの、会長!」


会長が本家会長にご乱心。


これは約一時間前に遡る。


俺達、生徒会役員部は部設立に最低人数の署名と顧問の先生のサインが書かれた申請書を片手に生徒会室に向かっていた。


「これを提出すれば、晴れて部として!」

「そしたら、またファミレスで無駄にドリンクバーだけで時間潰しましょう」

「ファミレス……私と助手君の運命の地だね?」


どことなくみんな嬉しそうだ、部活動になったからと言って特別なにかが変わるわけじゃないけれど、それでも学校に認められているのと、そうでないのとでは心の持ちようも違うだろう。


そして、その運命の時は来た。

丁寧にノックをして返事がしてから戸を開ける栗島先輩、さすがに普段の破天荒さは表に出さない。


「あの、部設立の申請書の提出に来たのですが……」


部屋のなかには女の子が二人いた。

手前の机に座ってスマホをいじる赤い髪のツインテールの子と、奥の生徒会長席に座っている黒髪ロングの大和撫子。


「本郷さん、不備がないか確認をお願いします」

「はいよー、会長ちゃん」


二年生の本郷春恵。生徒会の会計をしていて、常にペロペロキャンディーをなめているのを見かける明るい雰囲気の女の子だ。


「あー、全部書いてあるし規定人数も突破、顧問の先生も捕まえてるし……不備ないよ?」


本郷さんは生徒会長に申請書を渡す。

不備もないことだし、これで晴れて部活動として認められる……!


「そうね、確かにこの申請書には不備はない……」


ここまでの道のりはいろいろあったけれど……ようやく!


「ダメね、こんな部活動は認めることはできません、ご返却させていただきますね」

「……え?」


みんな驚いたが栗島先輩が一番驚いているだろう。

いくら生徒会長とはいえ、不備の無い申請書を一存で全てを切り捨てられるのかと。


生徒会長は続けた。


「確かにこの申請書には不備はないです、ですが活動内容が不透明なこの紙が通ると思いましたか?」


生徒会長は春恵さんに俺達の申請書を渡す。


「前任の先輩方は大変素晴らしかった、そこは認めましょう。お陰で私も楽しい学園生活を送れました」


「ですが!今年の生徒会は去年のように甘くはいきません、自由な校風も確かに良かったでしょう。ですが、私は納得出来ません」


「わたくし、神田四季の生徒会は前年度以前より緩み、乱れ続けた校風を更正し、新たな幸島学園を創ります。なのでお引き取りください」


「という訳でゴメンね、これ受理出来ないっぽいから紙飛行機にでもして遊びなよ。あ、もう一度なんて変な気を起こさないでね?四季ちゃん怒るとマジヤバいから」


こうして、突き返された申請書を持ち、生徒会役員部部室に戻り今に至る。

そのせいで冒頭にもあったように、普段騒がしい部室も静まり返っていた。


「さぁ!少年少女達よ!部設立を祝おうじゃないか!」


事を知らない宇田川先生が入ってきた、当然宇田川先生も設立されただろうと思った様だ。


「何があったかおおよそ判断した、そうとは知らず申し訳ない……」


やはりこういうところは大人の女性だ、読むところの空気は読める。


「大丈夫です、宇田川先生……せっかく顧問になっていただいたのに受理されませんでした」


泣き出しそうな声を出す栗島先輩にみんなも思わず下をむき出す。


それに感づいて、普段のテンションに無理矢理持っていく栗島先輩。


「なに暗くなってるのよ!確かに……受け取ってはもらえなかったけれど……部活じゃなくたって集まれるじゃない!」


生徒会室での四季さんの言葉を思いだし、俺はある提案を思い付く。


「活動内容を変えませんか?」

「どういうこと……?」


確かにあの人は言った


『活動内容が不透明』だと


ならばいっそ内容を変えてしまえば良いのではないか、それが俺の提案だ。


「確かに助手君の言っていることはよく理解できる。確かにそれができれば受理される事もあり得るだろう、だがもう一度来るなとも言われたじゃないか、ならこのまま気づかれぬよう集まるのが得策だとは思うけれど」

「確かに、普通の内容じゃダメだ。ただ、それが生徒会に利益がある内容なら?」

「ほほう、助手君の提案する打開案、聞いてみようじゃないか」


どうせ会長は好きな議題を話したいだけだし、他のみんなはこの場が残ってくれればいいと言う考えだろう。


「俺達の基本的な活動は変わらない上に、あの生徒会にも有益な……そんな内容を思い付きました」

「園部君……果たして、そんなに都合のいい各々のニーズに答えることができる解決策だなんてあるのかしら?」


俺は自信を持ってこの案を提案する。


「生徒会長は言いました、今年の生徒会は去年のように甘くはないと、仮にそうなるのなら生徒は少なからず不満を持つでしょう?」


「不満を持てば誰かに言いたくなる、しかし生徒会には言いにくい内容も中にはあるはず」


「その悩みを一般生徒である俺達が聞き入れ、議題で話し合い、それを生徒会に提案する。こうすれば生徒会にも利益があり、尚且つ栗島先輩の話したい内容も話せる」

「でも、持ち込まれた内容を話し合うんでしょ……?自由じゃないじゃない」


少しむすっとして栗島先輩が俺に聞く。


「時には暗い内容も来るでしょうね」

「それは嫌だ、やっぱり却下」

「俺も嫌です。そういうのが来たら、俺たちの手にはおえません、生徒会や風紀委員に任せましょ?」

「それじゃ、ちょっと身勝手じゃ……」

「だって、俺たちは生徒会役員部でしょ?ルール五つ目『毎日楽しく過ごしましょう』……でしたっけ?なら、そういった楽しくない事は本職の人に任せませんか?」


俺たちは本物の生徒会役員ではないし風紀委員でもない、目の前の栗島先輩が楽しそうだから作った団体なのだ。

正直なところ、俺も関わりたくはない。


「なによそれ……凄い身勝手ね」


少しはにかんで栗島先輩は立ち上がった。


「そうと決まれば修正して再提出ね!急ぎましょ!」


そして再び、生徒会役員部は部設立に向けて再スタートした。

れぽです(/´△`\)


んんん!!!


頑張れ……る!!

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