『校内風紀に関して!』(2)
前回のあらすじ
ファミレスで実験をしていた少女、桃井美雨は隣の住人だった。
それ以来ことある毎に、園部にまとわりつきその現場を生徒会役員部の二人に見られてしまう。
風紀について話しているところへ議題の張本人の桃井が現れて……。
元凶が現れたことにより、ここ生徒会役員部部室はよりいっそう空気が重たくなった。
「あの……桃井さん?そろそろ離れてくれませんかね……二人の視線が怖い」
「良いじゃないか助手君、そもそも何故二人は私が助手君に近づくことにジェラシーを感じているのかさっぱり謎だ、理解出来ない」
椅子に座る俺に後ろから抱きついてくる桃井さん、そして二人の視線が突き刺さる。
「アイツ、あんな小さい子にベタベタされてなにヘラヘラしてるのよ、気持ち悪い」
「今私、道端に落ちたごみを見る目と同じ目で園部さんを見ています……」
なんか始めに比べて印象ガタ落ちじゃないこれ、栗島先輩は包み隠さず嫌悪感丸出しだし、小百合さんはいつも以上にストレートな言い回しでつらい……。
「助手君?もうこのまま二人でどこかへ行かないかい?」
「死ねば良いと思う」
「元より好感度的には中の下、すれ違えば挨拶をする程度でしたが……今は同じ空気も吸いたくありませんね」
桃井さん……これ以上はよしてほしい……俺の平和な学園生活……は既にこの部にいる時点で半壊したけど、これはキツすぎる。
青汁に苦虫を混ぜたものを飲んだ顔をしている俺を横目に、事もあろうことか桃井さんは二人に矛先を向けた。
「要するに、君たち二人も私の助手君……もとい、運命の人に好意を少なからずとも感じていたのだろう?でなければ、今の君たちの反応は非生産的だ」
「は?……な、何を急に」
「あの、いっている意味がよくわかりませんけど?」
「要するにだ」と持っていた鞄からタブレットを出して解説を始める。
「答えは単純、好きでもないどうでも良い相手ならば、こうして目の前でお互いの愛を育む……もとい、イチャつこうが関係はないだろう?」
先ほどより強く抱きしめ顔が近くなる、訳のわからないことを連呼する変人であるのには変わり無いが、女の子特有の柔らかさと甘い香りが脳を駆け巡る。
「つまり、今私が助手君に接吻を迫っても誰も文句は言えないはずだ」
「なっ!……そんなのだめよ!」
「何故かな?君は助手君の彼女なのかい?」
「ち、違うけど……その……えっと……あぁ」
栗島先輩撃沈、ただいまゆでダコ状態で椅子に体育座りをしている。
攻撃の手を緩めず、次は小百合さんへ向けられた。
「さて、君の場合そこで体育座りをして白のパンツを見せびらかしている彼女よりも厄介だ」
何故か俺が「バカ!変態!」と言われて、栗島先輩にペットボトルを顔にぶつけられた。
「左様ですか、先ほども申した通り、元々私は彼に興味は無かったのでちっともいたくありませんが?」
「ほほう……ならば君は助手君に好意はないと?」
「ええ、そうよ?誰がこんな僅かばかり顔が良い量産型のような彼に好意を寄せるなんて」
相変わらず小百合さんのとげは痛い……。
桃井さんは相変わらず爆弾を投下し続ける。
「私は彼の部屋に入った」
「へぇ、それで?」
「彼も私も独り暮らしだ」
「まぁ、この学園の生徒は他の高校に比べて多いようですがそれがなにか?」
「一緒に夕食を取り、同じお風呂に入り、私は彼の布団に寝転がり体全体で彼の香りを堪能した」
「え、えっと……それが?なにか?」
ぷるぷると肩を震わせ何かを堪えている様子……、俺も聞いていて恥ずかしい。
そして彼女は最終兵器をポケットから取り出した。
「この鍵は彼の家のスペアキーだ、つまり……寝静まったところに忍び寄る事が出来る」
「……」
あの小百合さんも撃沈した、もう何も言い返せないのかうつむいて無になっていた。
多分この人が思っているような事は一切起きていない……。
「そして助手君?」
「なんだ……もう離れてくれ」
離すまいとグッと力を込めて耳元でささやいた。
「私の好意は本物だ、いわゆる一目惚れと言うものらしい……私の数式を持ってしても解明出来ないんだ」
その告白は唐突にされ、大きな声でないのに静かな部屋に響いた。
「えっと……あ、私たちが居てはその、えっと……お邪魔ですよね……ここら辺で失礼しますね」
「そうね……小百合ちゃん、行きましょ?」
そう言って立ち上がった栗島先輩の瞳は、今にもこぼれ落ちそうなほどに潤んでいた。
それを見た小百合さんが寄り添い、そのまま出口の方へと……。
栗島先輩を……泣かせてしまった……。
罪悪感に押し潰されそうだ……。
「園部はその子と一緒にいた方が楽しそうね、良かったじゃない……。明日からもう部活は無しね……」
やっと、これからなのに……。
確かに初めは「なんだよ」って思ってたけど今は違う……。
「ごめん、桃井さん。君の好意は嬉しいけど……俺の大切な女の子を泣かせてまで獲るのにはちょっと……いや、かなり軽すぎる!」
二人はぴたりと足を止めて立ち止まった。
「確かに最初はこんな下らない集まりなんてどうでも良いと思った、けど今じゃこの放課後を楽しいと思ってしまっているんだ」
「助手君……」
「やっと部員をあと1人、顧問先生を見つければ堂々と部活出来るところまできたんだ」
俺は今の本音を、二人にも聞こえるように言う。
「今の俺は、桃井さんとこの集まりを天秤にかけるなら……二人の方が圧倒的に重たいよ」
俺は、初めて女の子に告白されて。
「この大切な場所が崩れるなら、ごめんなさい、桃井さんの好意には答えられない」
初めて振った。
れぽです(/´△`\)
ここまで読んでいただきありがとうございます!
なんか今回はギャグ少なめや(´・c_・`)
また次回!




