『校内風紀に関して!』
議題を出されて見に覚えのある彼にいったい何があったのか……。
『校内風紀に関して!』
少し苛立った面持ちの栗島先輩がホワイトボードの前に置いた椅子に座っていた。
そして、その横ではニコニコとしている小百合さんがいる。
「園部書記!何か思い当たる節はない……?」
「いやぁ……何の事かさっぱり。と言うか、そういう議題は生徒会がっていうより、風紀委員の仕事のような気が……」
「いいの!ここは!生徒会じゃなくて!生徒会役員部なの!」
いつも以上に騒がしいこの生徒会役員部、俺に思い当たる節が無いわけでもない……。
全ての元凶は我が家の隣人のせいである。
事はあの、歓迎会と言う駄弁り会をしたあの日に遡る。
あのとき、家の前で突然に告白のようなものを受けた俺は、急いでアパートの敷地を出てスーパーへ買い出しへ向かった。
相当動揺していたのだろう、買い物が終わってから家の鍵を閉め忘れていたのに気がついた。何せ初めて会ったかわいい女の子に「運命の人だ」何て言われたら……。
案の定、家の鍵を閉め忘れていた俺は恐る恐るドアを開ける。この短時間で空き巣に入られることなんか無いし、仮に入ったとしても取っていくものなんて無いだろう……。
ただ、一つだけ恐れていることはある……。
「君は無用心だね、家の鍵を閉め忘れるだなんて、とんでもないおっちょこちょいさんだ」
危惧していたことが起きていた。
「晩御飯を作って待っていようと思ったのだが……冷蔵庫には牛乳と申し訳なさそうくらいの野菜だけじゃないか、年頃の男の子なのだからしっかり食べないと精が出ないぞ?」
クレイジーサイエンティスト、桃井美雨が我が家の敷居を跨いでいたのだ。
しかも、我が物顔でキッチンに立ち、晩御飯の用意を進めているときた。
「不法侵入で訴えるぞ……」
「不法侵入だなんて心外な……君は私の運命の人なのだぞ?未来のお嫁さんだぞ!」
「俺はそんな運命信じないぞ」
「おぉ、さすが運命の人だ……私が待っていると見越して、晩御飯の食材を買ってくるとは……」
こいつ……栗島先輩以上に話を聞かない奴だな……。
手に持っていた買い物袋を奪い取り、目の前で中身を確認し出す。
「ふむふむ、察するに……この玉ねぎと豚肉その他食材から加味してズバリ、肉じゃがを作ってほしいのか……実のところ肉じゃがは得意でね」
「違う、カレーだ」
結局その日は、俺の意見を無視して勝手にキッチンを占拠され、肉じゃがを食わされた。
悔しいが甘すぎない、だしとしょうゆベースの味付けで好みの味だった。
それから追い出せないまま、しばらく時間が経って夜10時を過ぎても、クレイジーサイエンティストは俺の部屋に居残っていた。
「男子の独り暮らしにしてはさっぱりとした部屋だな」
「はいはい、そろそろ帰ろうな?」
「綺麗な部屋はプラスポイントだ」
帰る気配無し!
そして、相変わらず話を聞かない……。
控えめに言って、こうしてかわいい女の子が横に……しかも部屋着で居るなんてシチュエーションは最高なのだが……なんか違う。
「これは普段君が使っているベッドか……お邪魔する」
「ちょっ!?」
のそのそと、這うようにして敷布団と掛け布団の間に……。
そのままみのむし状態になって枕に顔を押し付けだした。
「君の匂いがする……異性の匂いとは案外落ち着くものなのだな……少々汗の匂いがするがそれもいい」
「くるまるな!枕の匂い嗅ぐな!寝ようとするな!」
初めて家にあげる女の子は、俺のかわいい彼女(未定)のはずだったのに……。
こんな頭狂った女に……初めてを奪われるなんて……。
お代官様の帯回しのように、くるまった掛け布団から出す。
「お前の家は横だろう……」
「良いではないか、自分で言うのもあれだが顔は少々イケると思うのだけれど……」
否定はしない、否定はしないが言動が全て帳消しにしている。
「あ、留守にしている間に、お風呂お先に入れさせてもらったよ?普段私が使っている入浴剤も入れてある……間違っても私の入った後の残り湯だからといって飲んでは……」
「誰が飲むか!?」
首根っこ掴んで外に放り出しその日は事なきを得た。
その後と言うもの、校内で会うたびくっついてきて、あい変わらず「運命の人だ」だの「同じお風呂に入った仲じゃないか」等と人目を気にせず言ってくるものだからやけに悪目立ちしてしまう。
そして今日、その現場を目の前のお方々に目撃されてしまったのだ。
「園部書記!これは重大なスキャンダル!校内であんなベタベタと!どう思う、小百合会計さん!」
「私も栗島会長先輩には賛成です。こんなどうでも良い好意すら寄せていない、そこら辺によくいそうな、少しばかり型の良い量産型の殿方とはいえ、なんか気に触ります!」
よくもまぁそこまでぽろぽろと……。
この人はモデルの仕事やらなくてある意味正解だ、カメラマンさんとか雑誌のインタビューでトゲが立つ未来しか見えない。
「あの……」
「今日は発言権を認めない!」
さすがに理不尽極まりない……。
あれ、何だか泣けてきそうだ……。
おかしいな……。
その後も二人は今日の議題について語り合っていた。
「やはり校内であんな不埒な発言はだめ!即刻退学にするべき!」
「それより、そう言う発言をする度に、社会的に抹消されるような制度を作るべきだと思います」
この何の生産性もない会話を俺は今日1日聞いていなければならないのか……。
そんな中突然ガラリと戸が開けられる。
「助手君、迎えに来たよ」
そこにはあの日見た、制服の上に白衣姿の青髪の小さな女の子が……今回の元凶が立っていた。
れぽです(/´△`\)
くりえいてぃぶすぺーすちから!
また次回!




