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『園部一樹』の1日

キャラクターシナリオ:『園部一樹』の1日

前話『川辺でBBQ!』の後日談


騒がしい日常が続くなか、久々の休み。

果たして彼は無事に過ごせるのだろうか……。

GW最終日、穏やかな朝の日差しのなか、無料ガチャを引こうとベッドの上で薄目開いてスマホの画面をみた俺は、昨日の夕方にスルーしていた一件の通知メッセージをみて戦慄した。


『あにぃがしっかり生きているか見てこいとママンに言われたから行くね!到着は明日の午前中頃だから! 最愛の妹みなみより』


え?嘘でしょ?みなみがここに……!?

ヤバいヤバい、非常にヤバい……みなみだけならどうとでもなる、むしろ無害!……だが、隣人が……あのクレイジーサイエンティストが加われば相当面倒なことに……!!


スマホを放り投げ、ベッド上で頭を抱えてジタバタしているとガチャリと鍵を開ける音がした。


「おはよう助手君、会いに来たよ」

「頼む、今日だけは……!」


珍しく着ぐるみパジャマではなく、普通のパーカーに短いズボンの桃井さんがそこにはいた。

急いで玄関に走り桃井さんに「今日だけは諸事情で来てほしくない」と伝えようとしたが……。


「あにぃ、この人誰?」

「遅かったかー!!」


小鳥の鳴声と共に俺の波乱の一日が幕を開けたのだった。


ひとまず家に上がらせたのだが……、テーブルを挟んで片方は普段通り堂々と居座り、片方は黒いオーラを纏っていた。


この黒いオーラを纏っている、黒くて長めな癖毛と丸い円らな瞳が特徴的な彼女こそが妹の園部みなみ、妹と言っても血の繋がりは無い母の再婚相手の連れ子で、年は丁度三歳差だ。

普段は人畜無害なかわいい妹なのだが……俺が異性と一緒にいると一変、理由は謎だがこの様にどす黒いオーラを放ち空気を悪くする。


「私は桃井美雨という、助手君……君の兄の隣人で運……」

「桃井さんそれ以上は勘弁してください!」


俺は土下座にも似た姿勢で桃井さんに頼む。


「わかったわかった、助手君顔をあげてくれ」

「桃井さん……」


やはり言えば話が分かる人だ……!

ひとまず、「同じ部活に入っていて、たまたま偶然隣に住んでいて、お互い学生の一人暮らしだし協力出来ることは協力しあっている程度の仲」と言うことを伝えないと……!


「私と君が『結ばれる運命にある存在』だと言うことはご家族には秘密事項なのだろう?」


伝わってるけどそれ口に出しちゃいけないやつ!!と言うか一番ダメなところを物凄い強調して言ってきたのは確信犯なのか!?


「へぇ……あにぃ、この人と付き合っているの……」

「い、いやぁ……ね?みなみ……?これは良くあるジョークで……ほら、兄ちゃんの学校で流行っているんだよ……」

「ふぅん、あぁそう……ならいっかな!」


今にも人を刺してきそうな表情から一変、物凄く明るい笑顔に変わる。

普段から常にこの状態なら良いのだけど……。


「助手君、寝癖が酷いぞ?私が直してやろう」

「あ?何言っているんですかこの女、あにぃの身の回りはみなみがやるって親公認なんですけどー?……ねっ、あにぃっ!」

「寝癖くらい自分で直せるから大丈夫だって……」


洗面所へ向かうが……背後から物凄い気迫のぶつかり合いを感じる。


「偶然隣で金魚の糞のようにあにぃに付きまとい

、何が『結ばれる運命にある存在』ですか、頭沸いてませんか?」

「まぁ、好きに言うといいさ、計算上私と結ばれる可能性は7割を優に越す」

「はぁ?この女ホント頭悪いんですけど、マジであり得ないんですけど!」

「そのような下品なワードしか発言できない人が助手君の身の回りを……?実に不愉快極まりない」


ダメだ……二人きりにすると余計状況が悪化する……。

ひとまず俺はお茶二人に持っていく。

相変わらず二人はバチバチしている。


「あにぃ、この人何なの!?」

「血が繋がっていないとはいえ、助手君の妹とは思えないね」

「と言うか何よさっきから!助手君助手君助手君助手君って!!あにぃはあにぃなの!!」


小さい怪獣二人が目の前でにらみあっているのを少し離れたところで立って見ていると。


「助手君!私とこの妹の皮を被った妖怪とどちらが大切なのだ!しっかりとした答えをいただきたい!」

「それはそうですねぇ……このマッドサイエンティストにしてはいい質問ですね……」

「それはどうも、にしてもあなたの癖毛酷いですね、実験に失敗しましたか?」

「あなたこそその青い髪は何ですか?アニメですか?あり得ないんですけど……」


もはやにらみ合いではなく、互いの額を押し付け合う、まるで任侠もの映画のワンシーンのような状態になっていた。


「まぁまぁ二人とも……」

「「どっちなの!」」

「ん、んん……二人とも大切かな……」


メンチ切りを止めて、ため息をついた二人はこちらを睨み付けるように見てきた。


「毎日お世話しているかわいい隣人が良いだろう?」

「お風呂とかも一緒に入ってる、小さい頃から一緒の私だよね?」

「私は先日助手君に膝枕してもらったぞ!」

「私は抱き枕になったししたし!」

「はあ!?それは何年前の話なのだ!わ、私は助手君から口移しで茶をだな……」


「ちょっ!嘘をつくな!」


これ以上ヒートアップすると確実に取り返しのつかない事態になりそうなので桃井さんにデコピンをして醜い言い競り合いを止めさせた。


「取り敢えず落ち着いてくれって……」

「これが落ち着けるわけ無いでしょ!あにぃに会い来たらこんなちんちくりんいるんだもん!」

「全くこれだからお子さまは、愛する人の言い付けくらい守れないのかな?」

「っぐ……」


今のは桃井さんの圧勝だったようで、なにも言い返せないで悔しそうな顔をするみなみ。

そしてどや顔で年下相手を見下す様にする桃井さん。

さすがに根負けしたのか、視線を外したみなみがなにかを見つけて発狂し出した。


「あにぃ!これはなに!?」

「ん?……それは……」


俺としたことが、いつの日かの桃井さんが部室に持ってきたあの婚姻届を、回収したあと捨てずにそのままカバンに放置してしまっていた。


「て、照れるな……そんなに大切にしておいてくれたとは……入籍はいつでもいいぞ……」

「はあぁぁぁぁぁっ!?こんな紙知らない!!」


ビリビリに破いて丸めてそれを捨てるみなみと、それを見て半狂乱になる桃井さん。

二人ともリアクションが忙しいな……。


「ま、まぁ……あんな紙面上の契約でしかないものより、今の方が大切……」

「何をあにぃのサインもない婚姻届でそんなことを!」

「捨てずに考えていたのだろう!?そうだろう!?」

「違うから!頼むから落ち着いて欲しい……」


起きたのも遅かったせいか時刻は既に昼過ぎ、さすがにおなかがすいた。


「あぁ、腹が減った……」


それを聞いた二人はほぼ同時に立ち上がる。


「助手君!何がたべたい、私が作ろう!」

「はぁ?あにぃの好みはみなみの方が知っているから、私に作ってもらいたいと思うんですけどー?」

「前はそうだったかもしれないが、今では週に3日は私の料理を食べているのだ、既に助手君の好みは私の味だ……」

「たかが1ヶ月程度で良くもまぁ……私はあにぃの妹をかれこれ10年近くやってるんですけど!」


次第にまた距離が近づき、またあの任侠もののワンシーンに……。


「料理は期間ではない、いかに科学的に美味しさを構築していくのかその狂いが少ないほど美味しいものになる!」

「あんたお袋の味って知らないの?家庭の味こそ最強何だから!」


「俺が作るから黙って待つ!騒いだらご飯抜きな!」


叱られた柴犬のようにしゅんとする二人……案外共通の趣味があれば仲良くなれるんじゃないのか……?


昼御飯を用意するために、俺はキッチンに立つ。

まだあのとき宇田川先生が大量に買ってきた肉や野菜があったので炒め物を作ることにした。


ものの十分も持たないだろうと思ったが案外作っている間は静かで驚いた。


料理を作り終え戻った俺は驚きの光景を目の当たりにする。


「私は期間限定だったハシビロコウパジャマを持っているぞ!」

「えっ!?あの限定50着しかないハシビロコウパジャマを……!?」

「まさか、みなみちゃんも着ぐるみパジャマ愛用者だったとは」

「私もびっくり!私以上に着ぐるみパジャマに精通している人がいたなんて……!」


着ぐるみパジャマの話題で持ちきりの二人がいた。

女子は本当に訳がわからない、数分前まで睨み合っていたのに今はなぜか楽しそうに話をしている。


「助手君の妹は良くできているではないか、感心した」

「あにぃの隣人さんが桃井ちゃんなら私も安心出来るよ!」

「あぁ……さようですか……」


昼食を早々に食べ終わらせ二人はそのパジャマが多く売っている店に向かった。


「それでは助手君、ご馳走さま!少し味は濃かったが不味くはなかったぞ!」

「もう少し野菜とらないとぷくぷく太っちゃうよー」


ドアが閉まると同時に、一気に静かになる部屋。

僅かな時間だったが疲れがどっときた。


「……二度寝するか」


ご飯の片付けを終わらせた俺は、スマホアプリのことなどすっかり忘れて二度寝をするのだった。

れぽです(/´△`\)


義理の妹ちゃん!


また次回!

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