第8話 ちょっと無理があった
馬車に乗っていると突然大きな音がして馬車が止まった。するといきなり外から助けを呼ぶ声が聞こえてきた。何事かと3人で外に出てみると武装した男が20人ほど馬車の前を立ち塞がっていた。
その中で馬に乗った大柄のリーダーらしき男が叫んだ。
「抵抗する奴は男でも女でも殺せ!馬も食料も使える物はなんでも持って行くぞ」
「「おおーッ!!!!」」
「まさか、帰り道に盗賊にあうなんて運が悪いわね」
「サトシさん、あなたも戦うんですよ。早く武器を抜いてください」
二人を見てみるともう武器を取り出しいつでも戦える状態になっていた。馬車の中には老人2人と若い女性3人と兄弟であろう少年と少女がいるだけでこの状況で戦える者は武器を持っている自分を含めた目の前にいる少女2人の3人しかいなかった。
リリアに言われたとうり脇に挿していた武器を抜いて盗賊立ちを睨んだ。
「なぁ、リリア。3人でどうやってあの数を倒すんだ?」
「20人ほどいるので1人で7人ほど殺って下さい」
「1人で7人?余裕じゃない。あんな数、私1人でも余裕よ」
「フィオナ、さすがにそれは無理じゃないか・・・てか、人殺してもいいのか?」
「何言ってるんですか、向こうは殺しに来ているんです」
「いや、でも捕まったりとかしないのか?」
「捕まる?誰にですか?何か物を取ったりすれば捕まりますが・・・」
「サトシ、正当な理由があれば人は殺してもいいのよ」
「なんだよそれ・・・」
フィオナに言われたことに困惑していると盗賊達が襲い掛かってきた
「女2人は、戦いなれてる雰囲気だ。まずは、男からやれ!奴はこれが始めてみたいだからな」
盗賊の中からそんな声が聞こえて10人ほど俺のところにやってきた。
「しゃべっている間に来ちゃったわよ。私先に行って倒しちゃっていいかしら?」
「そうですね。では、フィオナさんお願いします。打ちもらした奴は私とサトシさんで相手します」
「わかったわ。それじゃ、お願いね」
そう言ってフィオナはカットラスを引き抜き人間とは思えない速さで向かってくる盗賊に突っ込んでいった。すれ違いに5人ほど切り倒し。
そのままのスピードでフィオナはリーダーらしき男がいるグループへと斬りかかっていった。
「サトシさん!ボーっとしないで下さい。来ますよ!」
フィオナの戦いに見惚れていると、リリアに喝を言われハッとした。もう目の前には3人ほど来ていた。リリアのほうを見てみるとあとの2人と戦っていた。
3人のうち1人が斬りかかってきたので剣で応戦していると向こうは余裕の表情になっていた
「おいおい、これは久々のカモじゃねぇか」
「ああ、そうだな。あの女2人はあぶねぇがこいつは弱いな」
「それに、腕も怪我してるみたいで包帯を巻いていやがる」
剣と剣がぶつかり合うたび腕に痛みが走るが今はそんなことは考えられなかった。フィオナの戦いを見て思ったのが今この状況で俺は3人に襲われている。もしかしたら死ぬかもしれない。いや、絶対に死ぬ。死にたくない。
「守りが甘いぜ、小僧!」
盗賊の1人に言われ横から斬られた。とっさに後ろに下がったが左腕が切られた。幸い切り落とされなかったのが、腕から痛みと大量の血が流れ出た。斬られた痛みで俺の頭の中がプツンと切れた。
「てめぇら、絶対殺してやる!」
「おおう、怖い怖い」
「たった1人で何ができるんだか」
「さっきと同じように斬ってやるからよ暴れんなよ」
そう言って1人が剣を振り下ろしてきたが、俺は右腕の痛みなど気にせずに思いっきり剣を振り上げたら丁度相手の剣とぶつかり相手の剣を弾き飛ばした。相手は一瞬なにが起こったのかわからないでいるところを狙って袈裟切りをした。
斬られた相手は顔を苦痛でゆがめ地面に倒れた。
「次は、おまえら2人だな」
「1人やったからっていいきになるんじゃねぇよ」
「よくも、俺達の仲間を殺してくれたな」
「はっ、盗賊のくせに何言ってやがる」
「「「殺すッ!!」」」
盗賊2人が同時に襲い掛かってきた。右手に持っていたファルシオンを片方に投げ飛ばすと相手の首下に刺さり倒れた。すぐさま、グラディウスを持ち最後の1人と交戦した。
「てめぇ、よくも2人もやってくれたな・・・ゆっくりじわじわと殺してやるよ」
そう言った瞬間相手の首が飛んだ。
「残念でしたね。お仲間の仇が取れなくて」
助けてくれたのはリリアだった。フィオナはもうすでに相手を倒しており体は返り血で真っ赤に染まっていた。
俺は、戦闘が終わって安心し地面に座り込んだ。するとリリアが近づいてきた。
「サトシさん。腕、やられたんですね。今魔法で回復しますね」
「ありがとう。あれ?それじゃ忠誠の儀でつけた傷はなんで直してくれなかったんだ?」
リリアはすこし難しい顔をして
「屋敷に着いたら教えます」
そうはぐらかされてリリアに腕の治療をされていると、顔を拭きながらフィオナもこっちへと来た。
「馬車は無事だけど、どうする?」
「いえ、もう荷物を持って歩いて帰りましょう」
馬車の中にいた人達は自分達のところを恐怖の目で見ていた。馬車から自分達の荷物を降ろし3人で手分けして持ち歩いて屋敷を目指した。
さっきあったことを思い出さないように何も考えずに黙って歩いた。目の前の夕日が眩しいのかそれともさっきので疲れたのか少女2人も屋敷に着くまで何もしゃべらなかった
屋敷について夕食を取り自室で休んでいるとレーチェに部屋に来るよう呼ばれた。
服を正し、ドアをノックして中から返事が返ってくると中に入った。
「あら、以外と来るのが早かったですわね。そこに座って下さい。あとすこしで、リリアがきますわ」
そう言われてソファに腰掛けているとレーチェが声を掛けてきた
「今日は、盗賊に襲われたんですのね。それで3人も倒したそうね」
「ッ・・・その内1人はリリアがやってくれた」
「それでも2人はやったなんてなかなかですわ」
思い出したくもなかった。今日の戦闘で俺は、初めて人を殺した。2人も・・・
「なぁ、レーチェは人、殺した事はあるか?」
「ありますわ。戦いで何十人も」
レーチェはすぐに答えた。
「なんでそんなに平気なんだ?俺は、今日始めて"人"で死にそうになった」
「それは、死ぬ覚悟が出来ていないからじゃありませんの?私は、騎士なので覚悟は出来ています」
「そうだよな。殺せば殺されもするんだよな。なんでこうなっちまったのか・・・」
急にドアがノックされリリアが入ってきた
「すみません。器具を用意するのに時間が掛かりました」
「今からやることはサトシさんにとってはつらいと思いますわ」
「何をするきなんだ?」
「今から忠誠の証である傷口を広げます」
「????なんで??」
「これをすることによってあなたの腕には一生跡が残ります。それはこの屋敷・・・カーチス家に一生従えるという意味になるからです。私が魔法でサトシさんの右腕の傷を治さなかったのはこのためです」
「サトシさんどうしますか?今ならやめることができますわ。そうすれば、もう死ぬ恐怖に怯えることも、人を殺す事もありませんわ」
「・・・」
俺は、黙って右腕の包帯を外し手に器具を持っているリリアに差し出した。
「男に二言は無い。俺は、一生カーチス家に従う」
「わかりましたわ。本当ならば本人がやることですけど、リリアやってあげなさい」
「はい、わかりました」
「いや、自分でやる」
そう言って、リリアから器具を取り右腕の傷口を挟み切った。
小説なんて(エロマンガ先生を見て)自分で楽しめればいいと思いました。