歌の終わり。またね、またね。
またねってみんな手を振り帰ってく最後に残る群青の空
早朝の電車に無言で揺られまだ微睡みの海を泳ぐ人々
彼の手のぬくもりすら忘れ眠る刹那あたしは孤独になれる
ラジオから好きな音楽流れてもそれはそれだし失恋のまま
嘘ばっか会えて嬉しい大好きだ楽しかったよまた会いたいな
遠い場所にあるから夢で、近づくと苦しいだけのひどい世界だ
言いなりになるほど楽なことはない 似合うと言われたスカートを買う
どろどろの眠気がまとわりついたまま手にした朝はあたしのものだ
選ぶ勇気もなく手放す決心もつかず苦みを増したくちづけ
遅刻寸前の私が玄関で持たされたのはプリッツの束
思いきり電車のドアに挟まれてああもう今日はそういう日だよ
本番を舞台袖で待つ夜明け前のような暗くてあったかいとき
安定が正しいらしい冒険も自由も良しとされない社会
文字だけじゃわからないから全力で恋できないの すぐ会いにきて
残酷はあなたか神か 僕があきらめたソナタを軽々と弾き
誰からも必要とされないならば消えるよごめん、うざくてごめん
首を吊るのは面倒だ、そっと消えられる扉か何かがあれば
人だもの嫌がらせだってするでしょう優しくするのは苦しくてもう
上手いねは褒め言葉なの? 下手くそのままであなたのとなりにいたい
なぜ我は生まれてしまったのだろうか、ぼんやりするしか能がないのに
性愛を知らずに死ぬも性欲に溺れて死ぬも同じただの死
「それもまた、人生や」って彼は言う。私の駄目な生き方もまた、
ごめんごめんごめん本音のほとんどを言えず言う気もそんなになくて
来世にはめちゃめちゃ可愛い猫になる ただただ甘やかされて死ぬんだ
しばらく短歌の創作を休む(このままやめるかもしれない)ことにしたので、一区切りつけようということで、これにて「空色の鼻歌」を完結します。私の鼻歌に耳を傾けていただきありがとうございました。またね。