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気まぐれディアの断罪ショウ  作者: 眠氷魔氏
13/13

芽生えてくるもの~生まれ出《い》づる(出)歪《ひ》ずみ(歪み)~

ダァム、ダァムと。


開けた体育館に、ボールの打ち弾む音がこだまする。きゅ、きゅっという、床板をシューズでこする音。


ばすっ、とシュートが決まり、バスケットボールのリングが揺れた。


「っし~・・・・・・」


友人の、そんな風に呟く声が聞こえてくる。


裕紀はバスケットコートの外、体育館のひと隅に腰かけつつ、仁村の練習する様子を眺めていた。


「ハヤトっ!」


シュートを決め、エンドラインからパスを出す仁村。練習相手のハヤトーー岩附勇人ーーがそれを受け、ドリブル・・・・・・ゴール手前で、敵のディフェンスに阻まれたという想定で、素早く背後に回った仁村に的確にパスを出す。


しゅっ。


仁村の、スリーポイントラインの外から放ったシュートがぱすっとキレイに決まった。


「っしゃあ~オケっ!」


オッケーだと、仁村。岩附とハイタッチを交わし、ダムッとゴール下に落ちたボールを拾いに行く。


そんな、昼休みの光景だった。


「ユウちゃん~っ!!」


仁村が「どうよ!?」と、向こうからドヤ顔などしてくる。「あと三セット!」と裕紀があえて上から目線で言ってみると、「いえす、ボス!」とノリノリで返事してきた。


「けっこう、上がったかな」


と仁村。スリーポイントシュートの、成功率が上がったかと岩附に聞いたのである。「かなり」と、岩附は頷く。


「いや、でもなぁ~」


と再び仁村。「試合で、これくらい打てるのか」と、首を傾げつつ。「大丈夫だろ」と岩附。


「ぶっちゃけ、三年の先輩より打ててるから」


「いや。それは・・・・・・」


さすがに持ち上げ過ぎだろうと、仁村は岩附の肩の辺りをトンと軽く叩く。それから「しゃ、もういっちょ!!」と、ゴール下のエンドラインに歩いていった。



○○○○○○○○○○


チャイムの音。


今日は午後の授業も流れるように過ぎていき、瞬く間に放課後を迎える。


今日は委員会の日。本好きの裕紀はもちろん図書委員会に・・・・・・いや、所属していない。


実は、所属は美化委員会なのである。


(だって、ねえ・・・・・・?)


そういう、何というか″テンプレート″の通りに行動するのも味気ない気がする。委員会は学期ひとつごとに変えられる仕組みだし、せっかくなら色々やってみようと思う、中二真っ盛りのこの頃なのである。


まあ、図書委員なら小学校時代にずっとやってきたわけだし、二学期からはやはりテンプレートの通りに図書委員に立候補する予定でいたものの。


我ながら″ひねくれた″年ごろだわなと思いつつ、裕紀は帰り支度を終えてーー


「ユウちゃん~っ」


と、向こうから仁村に声をかけられた。


「もう帰りか?」


「いや」


今日は委員会があるのだと、裕紀。「そっか、そっか」と仁村は頷きつつ、


「昼、サンキューな」


と、軽く肩を叩いてくる。


「ん。ああ、昼休みのか」


仁村のバスケの自主練習に付き合ったときの話かと、裕紀。教室で弁当を食べているところ、学食にいるはずの仁村から【体育館集合ぉ~っ!】のメッセージがLINE(ライン)で届いたのである。


いつもの、友人グループの所に送られたわけだが、素直に行ったのは裕紀くらいで、良治や岸谷なんかは【それ何のフラグw!?】などと、終始面白半分のメッセージを打ち返すのみだった。


まあ、【面倒だからユウちゃん行ってきて!】と、″教室で一緒に弁当を食べていた″良治や岸谷からの返事をこの目で見ているという・・・・・・まさに今どきにありがちなオチがあるわけだが。


「最近、すぐカッカしちまうからさぁ。俺」


仁村は側頭辺りに軽く手をやりつつ、らしくない苦笑いなどする。「あー、そうなん?」と、裕紀は

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