プロローグ~ とりあえず主人公紹介。 第0話
作者コメント:
小説家になろう、初投稿作品です。
執筆練習のため、あらすじも内容もしょっちゅう変わると思います。
感想希望。ただ、ネット素人のため返信遅れたり、あるいは反応しない場合も。
来たコメントには全て目を通すつもりなので、レスなしした場合は、あらかじめお詫び申し上げます
m(_ _)m
例えば生身の人間が野生の動物と戦ったとして、どこまでの相手なら生き残れるのだろう。
テレビなど情報媒体で聞く一説としては、体重三十キロくらいの中~大型犬を撃退するのが限界だろうと言われている。格闘技などやってれば、あるいはもうちょい大きな動物にも対処出来るかもしれない。
いずれにしても、それ以上デカい動物は無理だというのが、ごくわずかな例外を除いた一般論になるだろう。
″シカ″や″カンガルー″にでさえ、我々人類は素手では歯が立たないということだ。
「マジで、か・・・・・・?」
東京都某所。とある三階建て一軒家の二階、その一室。
十代前半の少年--小林裕紀というごくごく平凡な中学二年生--が、部屋の隅でベッドのマットレスに寝転がりつつ嘆息する。
もうすぐやってくる五月中ほどの中間テスト、その勉強の合間に・・・・・・という名目で小休止し、さっきからかれこれ一、二時間、スマホを片手にネットという名の大海原を、すいすい泳ぐように検索ただ中という始末なのである。
流行りものの情報、LINEなど友人関係のメッセージチェック、野球が好きなので(ただし″観る専門″、野球部ではない)プロ野球のニュースサイトなどに目を通し、スマホで″やるべきこと″をひと通り終える。
しかし、それで終わらないのが残念ながらネット社会に生まれた者の性で、人間が素手で勝てる動物は・・・・・・と、ふと湧いたそんな疑問をスマホの検索画面に打ち込み、今に至る。
すると先ほどのくだりの、人間はシカにもカンガルーにも負けかねないという情報に行き着いたわけで。
「うぇ、マジで・・・・・・?」
ふと目に留まった情報に少年、裕紀の口から苦い声が漏れる。
シカの生命力を侮ってはいけないという、日本の害獣駆除に関するホームページに、ある猟師さんの体験談みたいなコラムが載ってる。
そこには、シカを猟銃で撃っても一発で仕留めるのは難しく、銃弾を受け前足や後ろ足の一つが吹き飛んでも全速力で山の斜面を駆け登っていったというくだりの話があり、それを見て思わず「うぇ」と呟いたのだった。
「俺はムリ、いや無理だろ」
自分だったら絶対そこで倒れて死ぬわと、別に想像する必要もないたとえを思い浮かべて、銃で撃たれるだとか手足が吹き飛ぶだとか、つい残酷な想像もしてしまう。
全く・・・・・・我ながら、いつからこんな思考回路を持つ人間になったんだか。
「あ。メシの時間?」
ピポ、とLINEの着信音。グループは家族、母親からの一報。
もうそんな時間かとスマホの右上に目をやってみると、十九時半近い。どおりでお腹が・・・・・・という思いで、少年、裕紀はベッドからよっと身を起こし、うんと伸びをしつつ立ち上がる。
シカのことも中間テストのことも、文字どおりその辺りに放り投げ、一階のダイニングへと下りていった。