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9/23

剣谷 桐 11歳、5月の話。


 「んーっ!いい天気!」


 五月のある朝。セットしておいた目覚まし時計のセットを解除し、自室のカーテンを開いて、眩しい太陽の光に目を細め、伸びをする。

 うん、気持ちの良い朝だね! 時計を見てみれば7時半になるところで、普段なら『うわー!遅刻しちゃうよー?!』と大慌てするところなんだけど、今日は待ちに待った遠足の日なので、登校するまでの時間にはまだ余裕があるのだ。


 六年生を除いて(六年生は別の週に修学旅行があるから、今日は学校で普通に授業なんだよね)学年ごとに時間別で、学校の校庭に集合する事になっている。私達五年生は場所が近いから、出発は一番最後。今頃は隣県にある水族館に行く一年生が学校の校庭に集まっている筈だ。


 「おーっはよう〜!  」


 顔を洗い、着替えてリビングへ行くとママがキッチンから顔を出し――…


 「あら、桐ちゃん、おはよう〜。ふふ、今日は一人でちゃんと起きられたのね? 毎日こうならママは嬉しいんだけどねぇ」

 「あー、無理無理。桐の早起きは行事がある時だけだから」


 兄ちゃんが朝食を食べながら失礼な事を言っている。


 「失礼な! そんな事ないよ!」

 「じゃ、最近母さんに起こされずに起きられた日はいつだよ? あるか?」

 「………」


 …あれ? 答えられないな、何でだろうね?


 「あっ! 日曜日! ほら、この間の日曜日はママに起こしてもらわずに起きたよ!」

 「それって、お前…雪が起こした時だろ」

 「…ぐっ」


 なんて話をしていると『桐ちゃんも早くご飯食べちゃいなさい』と言われて、用意してもらった目玉焼きが乗ったトーストをかじり、もう片方の手でティーカップを持ち、蜂蜜入りの甘い紅茶をグビッグビッと飲んだ。

 兄ちゃんが『栄養ドリンク飲んでるオッサンかよ』と突っ込んで来たが、スルーした。ちなみにママは、以前兄ちゃんのスマホで見たショボーンて落ち込みを表した顔文字のような顔をしていた。






 「おはようー!」

 「おはよー」

 「おはよう〜!」


 集合時間に合わせて、ウキウキとした気分で学校に向かい、校庭に着くと、既に沢山の生徒が登校していた。他のクラスの子達が挨拶を交わしている中、私も七海ちゃんの後ろ姿を見つけて、七海ちゃんに駆け寄り声を掛けた。


 「七海ちゃんっ、おはようー! わあ、今日はリボンを付けてるんだね、ワンピースもとっても可愛いよ!」


 七海ちゃんはセミロングヘアなんだけど、今日は左右に白地に赤の水玉のリボンを付けていて、花の形をしたボタンが付いている薄桃色のワンピースも、普段柔らかい雰囲気を持っている七海ちゃんに似合っていて、とても可愛い!


 「桐ちゃん、おはよう〜! ふふ、ありがとう。このリボンもワンピースも、お気に入りなんだ。桐ちゃんも可愛い服だね〜!」

 「いやぁ、はは…ありがとう。実は、いつものパーカーとジーンズで出掛けようとしたらママが、たまにはこういうのも着なさいって、いつの間にか用意してくれていたこの服に着替えさせられちゃってさー…えっと、変じゃない?」

 「全然変じゃないよ〜! 桐ちゃん、凄く似合ってるよ!」


 私は藍色にチェック柄の少し長めのチュニックワンピース、下は黒のレギンスという普段あまり着ないタイプの服装で来た為、ちょっと恥ずかしかったりする。けれど、七海ちゃんが褒めてくれたから…着てきて良かった、かな?


 「はよーっす!」

 「おはよう」

 「…おはよう」


 お互い、服装の話をしていると…山やん、川っち、結が一緒にやってきた。


 「おはよー!」

 「おはよう〜」


 私と七海ちゃんも三人に挨拶を返す。


 「三人で一緒に来たの?」


 そう尋ねると『いや、みんな別々で来たんだけど校門のところで会ったんだ』と、川っちが教えてくれた。


 「きり、今日…可愛い、ね」


 …――と。隣に来た結が言ってくれたのだけど。正直、結の方が可愛かったので『結の方が可愛いよ!』と褒めたら何か、複雑そうな顔をされてしまった…。


 ここは『結は格好良いね!』と言うべきだったか? しかし、青いベレー帽を被り、上は青の四角い襟に黄色いスカーフのセーラーシャツ、下はべージュっぽい色のデニムのハーフパンツを履いた結には、やっぱり可愛いと言いたい。(某夢の国のアヒルのキャラクターっぽい服装だなと、一瞬思った事は秘密だ)



ここから少しの間、遠足編です。(それから、ブクマが増えていて恐れ多いのですが、とても嬉しいです…!ありがとうございます!!ちょっと更新ペースはゆっくりになりますが、また読んで下さる方にお楽しみ頂けるよう、自分でも楽しみつつ書いていきます。)


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