9
心の声が、絶え間なく頭に流れてくる。
誰に向けられたか分からない言葉の悪意が、
全て自分に向かっている気がする。
怖い、どうしようもなく怖い。
そう考える自分が、ひどく弱い気がして、俊明は自己嫌悪に陥る。
どうして心なんて読めてしまったのか。
最初の頃は順調だった。自分はどこで間違えたのか。
「すごいクマ、大丈夫か?」
拓斗が俊明を心配して、聞いてくる。
「...おう、最近夜更かしが酷くてさー」
寝れない、どうしても寝付けなかった。だから、画面の中に思いを馳せる。画面の中なら、心の声が聞こえなかったから。
俊明の唯一心の休まる場所は、画面の中だった。
「まあ、俊明が言いたくないなら追及はしないけどさ、無理すんなよ?みんなも心配してるぜ?」
拓斗はそう言うと、一旦その場を離れた。
帰り道、拓斗の言葉を思い出す。
拓斗の言ったことは嘘だ、と俊明は思う。
皆は、俺を、気味悪がっているに違いない。
そう俊明は感じていた。
「あー、どこで選択間違ったんだろう...」
俊明は、一筋涙をこぼす。
「無様だな、俺...」
良かれと思ったことは裏目に出て、誰も信じられなくなって。どうしてこうなってしまったのか。こんなつもりじゃなかったのに。こんなことなら。
「こんな事なら、こんな能力なんて、なければ良かったのに!!!」
そう叫んで、俊明はふっと思い出す。
あのサラリーマンがいっていた言葉を。




