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「つーか、俊明に任せた件、うまく行きすぎじゃねえ?」
絶対裏があるよ。
本人の前でいうべきことではないことは勿論自覚していた。が、彼の行動はどう考えても変だ。
そう、大内知弥は思うのだ。
皆も、多少の違和感は抱いているらしい。
「まぁ、そうなんだけどさぁ。」
俊明が悪いやつではないことを知っているだけに、みんなは何も言えない。
冷たいようでいて実はかれが義に篤い事を知ってしまった。
「でも、たしかに今の彼は少し気味が悪いというか...そんな気がします。」
きっと何かある。
誰かが隠し事をしてると、それを暴きたくなるのが人情というものである。
「あいつ結構背負い込むしな、まあそれとなく注意してみっか。」
それが、このクラスの男子の総意だった。
そんな会議がされたとはつゆ知らず、俊明が教室に入ってくる。
と、同時に視線と、心の声。
ーーー最近の俊明あやしいなーーー
ーーー信用ならねぇなーーー
そんな声が、折り重なっている。
何処だ、どこで間違えた。
俊明は心が読めるからこそ疑心暗鬼だった。
いつか気味悪がられる、いつか嫌われる。
この能力を持ってから人を信用出来なくなっていた。
心の中で何を思ってるか分からない。
にっこり笑っているその心の内は、その人に毒を吐いているなんてよくある話で。
気が狂いそうだった。いっそ、狂ってしまいたかった。
あと2話くらいで終わる予定。
俊明はぶっ壊れそうな気がしてる。




