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「あーあ、人の心が読めたらなぁ」


少年…山田俊昭は学校からの帰り道、そう言ってため息をついた。


「人の心が読めたら、アイツと喧嘩しなかったのかな。」


アイツ、というのは俊昭のカノジョの伊藤加奈のことである。


お互い好きあっているはずなのに、どうしてこうもすれ違って、喧嘩してしまうのだろう。


喧嘩してしまう理由を思い浮かべて、喧嘩してしまったことを考えて、悲しくなるのだった。


意気消沈しながら、俊昭が歩いていると。


「そこのキミ、人の心が読めたらなぁ、といったか?」


とぼとぼと歩いている俊昭に声をかけてきたのは30代位の男性だった。


どこか、疲れた印象を受ける。


くたびれた、中年のサラリーマンのようだと思った。


「はあ、言いましたけど…」


男性は、ふむ、と考えて。


「人の心が読みたいんだよな?理由は、大好きな恋人と仲直りしたいから…」


「オジサン、なんでそれを」


自分はそこまで声に出していないはずである。なのに、何故?


そう考えていると、男性が答えた。


「私は、人の心が読めるのだよ。今もキミの心を読んでいるんだ。だから、キミの考えていることが分かる。」


それは俊昭が、喉から手が出るほど欲しかったもので。


それを、目の前のこの男は、持っている。


「…私にはもうこの能力はいらないからね。どうかもらってほしい。この能力はね、相互の合意があれば、譲渡できるから。」


「っ…!いいのか!?」


男性は答える代わりに柔和に微笑んだ。




しかし、俊昭は、後に知るのである。


この判断は間違いであった、と。

脚本没ネタの供養


彼はブラックファンタジーが巧い。

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