私は学生ではなく、社会人です!!
私の名前は市原あゆみ。 二十二歳。
世間では社会人・大学生とみられる年齢だが、大抵の人間は身長で判断する。
「大人一枚ください。」
“は、え?……えっと、申し訳ありません、身分証明証または学生証をお出しください。”
「……」
バン。自分は免許書を持っていないので保険証を出す。
“えっと、申し訳ありませんでした。大人一枚ですね。1,800円になります。”
ちゃりんとお金を出す。
そう一度は誰もが体験すること。だが、私はこの身長のおかげで何回も体験してきた。
まったくもって、 不愉快である!!
生まれは大きく生まれたが……どいうわけか、身長は伸びるどころか、縮む。むしろ全然伸びない。
中学生の時は140㎝、高校の時は145㎝。
一向に伸びない。
小学生の時は縮が普通だったが……親は小さくも大きくもない、普通。
なのに、なぜ、私だけが?
何か前世で悪いことをしただろうか?まったくもって謎と不愉快が渦巻く。
“これ、お願いしますね。”
「はい。」
仕事は普通にこなしている、けど………
“あのー、すみません。モデルお願いしてもいいですか?”
これだ。会社のモデルとか言って、コスプレを要求される。
いや、わかっているんだ。会社の広告のために使われている。何もやましいことではないが……セクハラじゃないよね?違う?
まぁ、別にかまわないが、それで私の給料が上がるのなら万々歳だ。
“ねぇ―あの子、ばば臭くない?”
“うん、少しね。でも、不気味ーー。”
若者に言われたくないわ!!これでも22だっつーの!!
もう嫌になる!付き合っても周りからロリコンって言われるし、もう人生最悪よ!!
自分の身長にコンプレックスを抱く。正直、誰にでもあることだが。
幸せがないままこの人生を終わらせたくない。
そう考える、あゆみだが、
ドン!
「あ、すみません。」
「い、いえ。大丈夫です。(ちくしょー!身長差まじでイラつく!マジ無くなれ!!)」
身長に文句言ってもね……
「!、あ、あの。」
「?、はい?」
「少し話をしませんか?」
「・・・・・・・・・・・・え?」
道端でぶつかった男性に突然、誘われた。
「・・・・・・・・・・・・・。」
「と、いうわけで。僕と付き合ってください。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
話を終えて、なぜか告白された。
夢ではないかと頬をつねるが痛い。夢ではないということか。なぜ、こんな男性が?もう少し同じ身長の女性を探してもらった方がいいのでは?
と、あゆみは心の中で考える。が、次の言葉で一転。
「やっぱり、こんなおっさんじゃ、君もいやだよね。」
「え?」
「?、いやだって、君、学生でしょ?」
「・・・・・!!。違うわよ!私はこれでも22よ!!」
「・・・え?」
「それにどう見えたら学生?こんな恰好しているのに!あんた、眼科行って調べてもらったら!?バカバカしい!!こっちだって、あんたみたいなやつ、お断りよ!!バーカ!!」
言ってやった今まで溜めていたことを発散してすっきりした……のだが、
「やっぱり、付き合ってください!!」
「………はぁ?」
「僕、貴方みたいな人を探していたんです。是非お付き合いを!!」
「……………ふ、ふざんけんなーーーー!!」
ばきっ。
「あぁん!」
出会いとは不思議である。
さて、彼女たちは?あれからどうなったのかは………
『このたび結婚しました。』
ということだ。
身長差からの結婚はよくあることである。
END