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異世界で現実的に生活する彼  作者: レノン
ベイル草原
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滞在者、妖精に遭う

 ここに滞在してからもう7日がたっていた。

 正直言うと足の傷口は完全に塞がったのでここに居座る必要がなくなったので、村探しを再開したい。


 が、なんというか……めんどくさくなってきた。


 村を探さなくても親鳥が新たに俺専用のドームを作ってくれたので住む場所は困らないのだ。

「誰かこの辺り通らねぇかな~」

 俺は今イベント的なものを欲していた。普通なら村を見つけて情報収集や 仕事の一つや二つ受けていただろうが、最初っからオオカミと戦って足を怪我する奴なんてそうはいないだろう。



 その日の夜、俺の物語は進展を見せた。

 俺が仮住居(ドーム型の巣)で寝ていると、どこからか生き物達の鳴き声が聞こえてきた。それも今まで聞いた事が無いくらい大量の生き物達の声だ。


 どうやら何かから逃げてるらしい。あんまりに騒がしいので外に顔を出すと、ネズミやウサギ、がオオカミから逃げていた。


「またかよ」


 オオカミが狩をしていると思い、顔を引っ込めようとしたが、犬のキャンキャンという悲鳴が聞こえてきた。

 なんとオオカミも何かから逃げているではないか。


 その時親鳥が俺をくちばしでつつき逃げる様に促してきた。

 え、そんなにヤバイのかよ……


 親鳥の胸からは雛達が顔を出していた。

「あ、そこポケットになってんのか」


 そんな悠長な事を言っていると、親鳥は俺の体を足で掴み、空高く舞い上がった。


 50メートルほど上昇した辺りで生き物達がなにに追われてるのかが見えた。


 何やら光る虫の様な物の大群に追われていた。

 俺は目は良い方なので、光る何かに追いつかれた生き物が次々に倒れて行くのが見えた。


 光る虫は、まるで魚の群れの様にさまざまな形になり生き物達を追い詰めようと狩をしていた。


 俺達のいた巣もそれに巻き込まれてしまった。


「あそこにいたら俺達確実に死んでたな」


 しばらくして光る何かがもと来た道を引き返しながら、仕留めた生き物を回収して行った。


 降りて見ると、辺りがシ〜ンとしていた。


 いつもなら虫達が鳴いていたり、遠くからオオカミの遠吠えが聞こえてくるはずだが、辺りは静まり返り、生きてるのは俺たちだけだった。


 俺の巣の中に戻ると、小さな何かが倒れていた。


 それは弓を持った10センチくらいの女の子だった。

「妖精……?」

 よく見れば四枚の半透明の羽を持っている。腰までかかった栗色の髪に茶色い瞳。服は動きやすそうな半袖、スカートといった感じだ。

 う、うつくしい、、、まるで天使のように見えた。


 だが彼女の放った一言で印象ががらりと変わった。


「近づくな! 貴様、何者だ!」

 いや、何者って言われてもな……ここ一応、借り住居なんすけど。

 なんというか、天使とは程遠い、気高い女戦士が運命の人と初めて出会ったときのような言葉使いだ。


「た、滞在者? です……」


「何をわけのわからないことをイッつー!!?」

 女の子は腕を抑えて倒れこんだ。


「な!? お前怪我してんじゃねーか!」

 左腕から血が出ていた。

「とりあえずこれで我慢してくれよ」

「な!!? 人間がなぜ!あっっ!痛っ!」


 自分の着ていた服の袖を少し破り包帯が割りに、その小さくて細い腕に巻いてやった。

 まさか今ので腕折れたりしてないよな?



 親鳥は外からこちらを見ているだけで、けっして中には入ろうとはしなかった。







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