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異世界で現実的に生活する彼  作者: レノン
放浪者としての彼
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負傷者、水を得る

 俺は今危機に二つの危機に直面していた。


 一つは、傷口が非常に痒く、ボリボリかきたくてしょうがない。


 二つ目は、俺……2日以上水飲んでなくね……



 一つ目は我慢するしかないが、二つ目は本当にヤバイ。このまま水を飲まなければ脱水症状に見舞われてしまう。


 雛達は肉から水分をとっている様なので、元気だがさすがに俺は肉の水分(血)じゃ足りない。というか真水が飲みたい。


 巣から出ようにも傷口が開くかもしれないので出られない。


 どうしたものか……


 この辺りは草原だ。辺りに水は無い。せめて雨でも降ってくれればと思い、空を眺めていた。


 巣の出入り口から眺める空は、窓から見上げる空と似ていた。ただ 、この世界に来る前の記憶があまり無く、自分が何者だったのか、家族はいたのか、人に関する事全般の記憶が無かった。

 なのに空を眺めるのを当たり前だと思っている自分がいる。俺は昔から窓から見上げる空が好きだったのだろうか……


 時々雲の隙間から見えるドラゴンの様な生き物の群が飛んでるのを見るとなんとも幻想的で、不思議な気持ちにさせられる。


 空を眺めていると、何かが俺めがけて落ちてきているのが分かった。


 それは最初、小さな点だったが次第に大きくなり猛スピードで落下して来た。


 俺の脳が危険と判断した時にはもう既に時遅し。

 よけようとしたがよけきれずに、頭にかすった。頭から血が数的垂れてきた。


 そしてそれに続く様に親鳥が帰って来た。

「お前の仕業か……」

 親鳥が落として来たのは、大きな木の実だった。あれだけの高さから落とされたにも関わらず、ほとんど無傷のままである。


 地面にめり込んだ木の実を親鳥が足で掴み、持ち上げ巣の中に放り込んで来た。


 ずいぶん乱暴だな、雛に当たったら潰れて死ぬぞ。

 その木の実はヤシの実に似ていた。


 親鳥が鋭いくちばしで木の実をひとつきすると、中から水が出てきた。


 それを親鳥は俺に差し出して来た。

「え、俺に!?」

 雛達が欲しがってない所を見ると、どうやら本当に俺のために持って来てくれたみたいだ。


 正直、うるっときた。



 穴に口をつけ、実を持ち上げ飲んだ。

 その味はまるでオレンジジュース+カルピス少量、みたいな味だった。オレンジジュースとは違い、色は白だった。


「すげーうめぇ…… お前本当にいい奴だな(真水ならもっと良かったが……)」

 ここまで人の気持ちが分かる鳥を俺は知らない。しかも人を恐れない所を見ると、やはりこの世界は俺の知る世界では無いな。


 それだけはこの鳥達を見てハッキリした。




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