過剰と省略
過剰と省略……その言葉は時に色々なものを狂わせる……。
その小説投稿サイトには、《勇者ヒカルの異世界メシア伝説級英雄譚》という物語が、なぜか有名であった。
[1話 僕の名前は勇者ヒカル]
僕の名前は、聖剣に選ばれた日本人で、年齢は16歳の男で、今は異世界に勇者召喚された後、魔王を無事に討伐して、今はこの村の外れでおにぎり3つ片手に、スローライフを満喫して、そして異世界でお茶とコーラ、ポテチも生み出すギフトを恩恵として授かり、再び降臨した魔王を再度討伐した勇者ヒカルだ。
「おーい勇者様!」
「おー、君は僕がこの世界に来て初めて出会った第一村人発見で、僕が魔獣から受けた傷をヒールの魔法で、60分以上かけ続けてくれて、最後に丁寧に包帯を巻いてくれたクリスちゃんじゃないか、そして今は僕のフィアンセになってくれもしない、すぐにお仕置きパラライズの魔法を僕にかけてくるツンデレニストヒロインでもあるクリスちゃん! おはよう」
この僕に声をかけてくれた、種族ヒューマンでギフトは回復魔法使いで、実は現在勇者ヒカルが滞在しているみたいですよ的な村の村長の娘クリスちゃんは可愛い。
…………こんなやりとりが"過剰"に繰り返された結果。
人生という名のSLの終点かよ10万文字数の物語。
これが、なぜか"過剰な1話を読了"した謎読者の感想レビューである。
終。
と見せかけて、この物語の著者はなぜか"省略版"用意していた…………。
[1話 ぼ、の、ゆ、ひ]
僕の名前はヒカル。
魔王を討伐した勇者だ。
おにぎり3つにスローライフ満喫。
異世界ギフトはお茶コーラポテチ作れる。
また魔王を討伐した勇者だ。
「おーい」
「クリス」
クリスはヒューマンだ。
ギフトは回復魔法使いだ。
魔獣の傷を癒してくれた60分以上のヒール。
お仕置きパラライズもかけてくる、
勇者ヒカルが滞在中的な村長の娘だ。
可愛い。
これが10万文字まで"省略"として繰り返された結果。
人生という名のリニア新幹線みたいな過剰の速度の物語。
これも、なぜか"過剰省略な1話を読了"した謎読者の感想レビューである。
おわ。
それはもう極端なんですよ物語だった。




