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子どもの頃から好きなあなたと  作者: もち雪
第二章 早苗月のはじめまして

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12/22

12:錬金術同好会のお手伝いと勧誘

【錬金術同好会】

〇:セロッティー

マッドサイエンス


カサブランカ学園:3年 身長:フレットに迫る身長の高さ 


性格:マッドサイエンス、商売上手、

見た目:ウェーブのある、長い灰色を後ろで縛っている。

最新式の両眼用メガネをつけている。


〇:フロート

純朴な青年、一度、錬金術部へ入った。➡薬草の栽培も兼ねたいなら錬金術同好会を進められる。領土の農作業の栽培も始めようとしているが、大規模な薬草栽培ならエルウィンの領土に負ける。

もっと錬金術に特化した薬草を作ろうとして、まず、錬金術×栽培のできる同好会への入部を決めた。


カサブランカ学園:2年 身長:この世界で、平均身長


性格:面倒見がいい。この同好会にて、苦労が絶えない。

見た目:最新式の両眼用メガネをつけている。


〇ミルティー

猫ちゃんのような瞳を感じる。


口調:彼氏さん、あたし

「ルルカ先輩、今日も可愛いですね。スキンケアは何使ってるんですか? うんうんそんなんですよー」


カサブランカ学園:1年 身長:平均より少し低め

性格:明るい、こだわらない。奢ってくださいよーって言えるタイプ。


〇ホログロス

いい装備を揃えたいのと薬代をケチり、剣術部にも席を置く。時々、失敗作を飲まされるが、体の丈夫さと職員室へ飛び込み窮地を脱している。(ほぼ幽霊会員)


カサブランカ学園:2年 身長:高め、セロッティーよりちょっと下


口調:○○ッス:口癖、額にこぶしをやり考える。


性格:あまり生気がない。窮地に覚醒するタイプだが、そんな場面はない。


〇ゼロス先生

幽霊顧問、性格が錬金術同好会、痩せ気味


※本文には、登場しない設定があります。

 まだ暗い室内で目を覚ますと、もう朝なのか、部屋の外からは鳥のさえずる声が聞こえてくる。


 布団の温かさに包まれている今は、室内の寒さを知る事はできない。

 けれど、冬の間、寒さをやわらげてくれていた、暖房機器のラジエーターは今日も稼働してはいない。


 フレットとの結婚が白紙になり、日々の生活は変わった。

 けれど季節が冬から春へと変わり、生命がふたたび活動を始め、新しい恋の唄をうたう。


 そんな季節だからこそ……。


 突然、記憶のシャボン玉が弾けた。


 洗濯物を笑顔で畳む、エルウィン様の記憶が突然よみがえる。


 その姿の鮮明さに、ルルカは思わず、ベットから体を起こす!


 ――ああぁぁ……、何故なの!?


 彼女は目の前のシーツを掴み、火照る顔を隠した。

 そして静か……に、ふたたびベッドに横へなる。


 けれど、穴があったら入りたい気持ちは、彼女をベッドの中へと潜り込ませ、瞼で視界を覆い隠した。


 真っ暗な風景の中で、フレットの事、リスレイの事、剣術部の仕事、そしてエルウィン様と、これからの自分について。


 見えない悩みの種は、シャボン玉となって、ルルカの脳裏で弾け、彼女の眠りを妨げた。



 そして窓からの光が差し込む頃、ルルカはシーツから顔をのぞかせて、部屋の備え付けのボードを見つめた。


 今は芋虫にもぐもぐ食べられてしまったように、以前あった多くの絵や、チケット、本の栞が外されて、寂しくなってしまっている。


 今、張られた絵は、家族の絵と、ルルカの書いたアイシアの絵。


 それと遠い昔、祖父の工房で、絵の得意な錬金術師のお兄さんに、書いて貰ったルーちゃんと、そのベッドの隣りに座るルルカのスケッチ。


 肩より長いハチミツ色の髪のルーちゃん、ルルカの中に確かに残っている笑顔はこのスケッチだけだった。


 ルルカは、その思い出たちをただ眺めていた。

 そして天井を見上げ、顔の上で腕を手を交差させ、もう少し時間だけ目をつぶる。


 魔力の集まる胸の真ん中、オドに、温かな何かが目覚めるのを、彼女は感じる。

 それ温かさに包まれるように、彼女はしばしの眠りに落ちていった。


 ◇◇◇


 グラウンドで、準備運動を行っている生徒を、眺めながら校舎へと歩く。

 その隣りには、アイシアが婚約者のイドルドとの登校を断り、あの日から一緒に歩いてくれていた。


「貴女たち、丁度良いところに!」

「えっ?」


 鞄を手に持ち、制服姿の二人は、その女性の声のした方へと振り返る。


 灰色に近い長い黒髪を後ろで縛っている彼女とは、錬金術を学ぶ教室で、隣り座る事が多い。


「セロッティー様、何か?」


「人手が欲しいのよ。温室で朝の内に種を蒔いてしまいたいの。ルルカ、そしてアイシア頼めるかしら?」


 彼女は丈が長く、ポケットが多い、機能的な着込むタイプの制服を身に付けている。

 栽培に関わる、部活の制服には見えないが……。


 ――何をするかは、行けばわかるわね。


 二人は顔を見合わせ、小さくうなずいた。


「お手伝いは可能です。ですが……、時間に余裕はありまして?」

「なら急がないとね! 行きましょう!」


 そう言うとセロッティーは、もと来た道へと歩いていく。


 二人は顔を見合わせると、早足でセロッティーの横へと並ぶどころか、追い越してしまった。


「早く作業やってしまいましょう。遅刻しますよ!」

「こっちでいいのですか?」


 二人はてきぱきと、少しだけ楽しい仕事でもある様に、彼女へと声をかける。


 彼女はグラウンドに沿って寮の方向へは向かわずに、真っ直ぐと校舎の裏への道へと足を進める。


 以前……、祖父の知り合いという錬金術師と、会った花壇の前の道を進んで行く。

 ちらっと見た花壇は、ハーブが今も覇権を握っており、モクモク、モアモアモと緑が生い茂っている。


 そして途中にあった部室の更に奥、体育館の半分ほどの広さの温室へと、彼女は足を踏み入れた。


 そこは程よい温かさに保たれ、畑の土が花壇の様に、ブロックによって分けられている。

 ここでも、繁殖力の強いハーブを育てるのかもしれない。


 私たちがやって来た事で、彼女と同じ園芸部員の方なのか、男子生徒が苗を植えるだろう、ポットを地面に置く。


「逃げた部長が帰って来たぞー!」


 そう叫んだ。そして彼女たちのもとへと肩を怒らせてと言うには、彼は素朴な性格に見えるが、言いたい事のある顔はしていた。


 ルルカとアイシアは、こちらへとやって来る彼を見守る。


「部長なんで、居なくなっちゃうんですか!?」

「失礼な、助っ人を探して来たのよ」

「もぉー部長が真面目にやれば、人数は足りてましたよ」


 セロッティー様と、黄色のネクタイの彼と、緑色の一年生の女生徒……だけ?


「あのーこの小さなポットを、こちらのトレーに並べればいいですか? 後、種と肥料はどちらに」


「ルルカ、はいお水」

「セロッティー先輩! こんな有能な友だち居るなら、早く勧誘しておいてくださいよー」


 月の淡い光の髪色の一年生が、考えを変えたようにそういうと、ルルカたちの前に種や、肥料などを次々に運んでくれる。


「残念ながら、前々から狙ってただけで、彼女たちは友だちじゃないわ。でも、偶然、今日は鴨が連れだって歩いて来てくれたってわけ」


「なんか、うちの部長がほーんと、すみません!」

「「いえいえ」」


「では、最強の助っ人のお二方、種を念のため二つずつ、あけておいた穴に入れていってください!」


 そう言って二枚の紙の上に、それぞれの袋の種を出す。


 それからは彼がてきぱきと、土と肥料をポットへ入れていくと、一年生の彼女が棒を使い、少しだけ土を凹ませる。


 そしてルルカたちの後に、部長が臨機応変に土をかけたり、種を入れたりしていた。


 そして最後に少しだけ水をかけ、おしまいのようだ。


 彼が言った様に、部長が真面目にやっていれば、終わったかもしれない。


 けれど、三年生として、ギリギリに終わるわけにもいかないことも理解できないわけではなかった。


「「お疲れ様でした!」」

「水道あちら」


 部長が指さした先の水道で手を洗うと、「はい」と言って紙が差し出される。


「部長……、悪どい」

「わぁー、さすが部長」


 同じ部員でも、評価が別れるその紙を、ハンカチで手を拭いていたアイシアが、怪訝な顔で見つめる。


「私、いらない部活入ってるし」

「でも、同好会よ?」

「やる暇ないもの」

「じゃースパー助っ人ちゃんの方で、手をうちましょう」


 部長がそう言うと、ルルカの前に錬金術同好会入会届と書かれた紙が差し出される。


「ルルカ、貰っておけば?」

「えっ、でも……」

「「やったー!」」


「貰っておくように言ったけど、この子を入れるなら私の審査がいるから……」

「ポーション5本で!」


 そう言う部長の片手の指は、全て伸ばされ、二人の前にあった。


「全然足りない」


 二人はにらみあっている。


「どうするかわからないですが、検討するだけしたいので、紙をいただけないでしょうか?」


 そう言い、驚いてなのか、うっかり彼女の手から抜け落ちた紙を、ルルカは落ちきる前に掴まえた。

 そしてそれを二つに折り、鞄へしまう。


「ありがとうございます。そろそろ、登校しましょう。遅刻しますよ」

「そうだった! 行こうルルカ」


 ◇


 有能な助っ人二人は、その有能さで、いとも簡単に日常の生活リズムへと軌道修正し、行ってしまった。

 残された会員たちは、呑気なままだ。


「ルルカ……?」

「セロッティー部長、あんまり自分の世界へ入っていると遅刻しますよー」


 二年生のフロートがそう彼女に声をかけると、その声より大きな声で彼女は叫んだ。


「遅刻より大事な事を思い出したわ! 錬金術師の工房で有名な、ヘイゼルの伯爵令嬢が彼女なのよ」


「もしかして、愛する二人を邪魔して、成敗されたヘイゼル家の悪役令嬢って方ですか?」


「何よそれ? 二年生は恋愛小説読みすぎなんじゃない?」

「そんな噂を聞いたって、言いたかっただけなのに……」

「先輩たちー、そんな事より、時間ないですよ!」


「こちらの方が、優先事項なのよ!」


「そんなわけないでしょう!? 部長は勉強意外、ダメ、ダメだな! あんまり遅刻が多いと就職先に響きますよ」


「それは絶対駄目よ! 社会的損失になるわよ?!」


 そういうとセロッティー部長は、投げられた鞄を受けとると、誰より先にとばかり走り出す。


「遅刻は、いいんじゃないんですか!?」

「待ってー! 部長ー!」


 錬金術同好会の仲間は元気に、温室から駆けていった。



 続く


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