エピローグ
それからの京子と雪村は、いつまでも仲良く、末永く幸せに暮らしましたとさ…とは、ならなかった。
同じ年齢の幼馴染が、カップルとして愛を育んで、結婚というゴールにたどり着く。
コレを実現できたことがある人たちを、ボクは尊敬する。
そもそも、時代はまだ昭和だ。
「結婚までの女性の賞味期限は25才だ」なんていう差別的な発言が、大手を振ってまかり通っていたころの話である。
京子さんは高校を卒業後、名護屋造形短期大学に進学し、日本画を専攻した。
そして短大を卒業して、ボクより一足早く社会人になってしまったのである。
ボクは四年制の教育大学に進学し、美術教師を目指すことになったため、二人の接点はどんどん減っていったのだった。
ほらね。もう無理でしょ?
まあでも、「人生のベストパートナーとは必ず結婚しなければならない」っていうルールが有るわけではないので…今となっては、二人ともそれぞれ別の家庭を持ちながら、細々とした交流を続けることで良しとしているのだ。
そして、雪子さんは相変わらず、いつものセーラー服で、時々ボクらのもとへやって来る。
「あなたたち、私がどれだけ時空に細工しても、結婚しないのね!」
そんなことを言っては今日もボクらを笑わせてくれるのだ。
彼女の見た目は、今日も永遠の17才。
今度こそ、ちゃんとホントの年齢を訊かなくっちゃ。
「名探偵コナン」の灰原さんより、絶対年上だよね?
今は、そんな楽しい毎日です。
完
初めての小説。
ようやく完成にこぎ着けました。
みなさんに読んでいただけたら幸いです。
2025年8月9日 サナダ ムシオ