表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セーラー服と雪女Ⅰ  本編 「晴れときどき悪意ところにより超能力者」  作者: サナダムシオ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/35

第29章 雪子と雪村

 数時間後、ボクと雪子さんは、仲良く並んで下校していた。


「いったい何やってんですか。サプライズが過ぎますって!」

 自転車を引きながらボクは小声で雪子さんに言った。

「私ね、ずっと夢だったの…。」

「…雪村君とクラスメートになって、一緒に学校生活を送るのが。」

 クネクネと腰を振りながら、うるんだ目で雪子さんは言った。


「だから、そういう悪ふざけはやめて下さいって。」

「だってこういうの、年頃の男子はみんな好きでしょ?」

「ボクは男に媚びない、クールビューティーな女性が好みなんです!」

「あら、それって、私のせい?」

 くっくっく、と笑う雪子さん。

「…もういいですから、ちゃんと解るように説明して下さい。」

 

「それもそうね。じゃ、真面目な話をするわ。」

 雪子さんは通常モードに戻った。


「私も色々と思うところがあってね。」

「直接あなたに接近するのは、当分の間やめることにしたの。」

「監察局からの報告では、この時空に悪影響が出始めているらしいし。」

「あなた自身も、自分で自分を守れるチカラがついたみたいだしね。」

 やっぱり何でもお見通しなんだな、雪子さん。


「だからこの高校で、1年生の3学期の間だけ、あなたを近くで見守ってあげるわ。」

「その後は、しばらく会えなくなるでしょうね…もしかしたら永遠に。」

「えっ。今、なんて?」

「何でもないわ。」


「…そういうことだから、制服もこのセーラー服のまま。けっこう気に入ってるのよ、このスタンダードなデザイン。」

 雪子さんは、その場で立ち止まってクルクル回って見せた。

「表向きは、急な転校で、制服の準備が間に合わなかったっていう設定にしてあるの。」

「でも、本当は光陽高校の制服が気に入らないの。」


 我が校の制服は、男子は学校指定のボタンに付け替えただけの通常の学ラン。

 女子の方はというと、上は紺色のブレザー、下は同じ色の箱ひだスカート。中は白い開襟シャツだった。

 それはまるで、どこかの会社の事務員さんのようないで立ちだった。

 たぶん、我が校の前身が、商業高校だったころの名残なのだろう。

 確かに、身の回りの女子からの評判は、あまり良くない。


「雪子さんて、オシャレに気を遣う方だったんですねえ。」

「あたりまえでしょ。私を何だと思っているのよ。」

「マッド・サイエンティストの超能力者。」

 ボクは即答した。


「…その前に、年頃の可愛い女子でもあるのよ。」

 あれ?マッド・サイエンティストの方は否定しないんだ。


「加藤は当然、偽名ね。本名はもちろん、ご存じ真田雪子。」

「年齢は永遠の17才。だけど、今だけは16才!」

 …また言ってる。


「とにかく、3月の下旬までは、この私が直々に見守ってあげるから安心しなさい。」


「その後は、潔くフェード・アウトしてあげるわよ。」


挿絵(By みてみん)

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ