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日本はなぜ「P」を捨てたのか?世界改編により放送禁止用語だらけになったその理由

作者: 坂本クリア

※これはフィクションです。Pが放送禁止用語に指定されることは(たぶん)ありません。


でも言葉の意味が強制的にすり替わったとき、人はどう反応するのか?


そんな「ばかばかしい思考実験」として、お楽しみください。

2025年5月27日―その日を境に日本は狂った

きっかけは些細なことだった。

都内某所にあるクロワッサンが人気のカフェ

あるカップルが楽しそうに会話をしている。

「あのさーピーナッツのピーって放送禁止用語なんかな?」

と女は言った。

「なにそれ…めっちゃ面白い」

と男は笑いこけた。


たったこれだけのこと…。

たったこれだけのことで…

日本は…

いや世界はおかしくなったのだ。


そのカップルがその言葉を発し

笑いこけた瞬間


世界は改編され

日本中のPもしくはピーが、すべて放送禁止用語に切り替わったのだ。


例えば1P ワンパックは 1〇△□ などすべてのピーもしくはPが放送禁止用語におきかわった。


スーパーやコンビニの商品棚

書店

テレビ番組

すべては卑猥な言葉で埋め尽くされた。


いったい何が起こっているのか?


まったく謎だった。


都内の進学校では

数学の授業中


P=x+2b

〇△□=x+2b

と放送禁止用語に切り替わる。


生徒たちはクスクス笑い

授業は完全に崩壊した。


先生は怒る。

「誰だ。〇△□を〇△□と書いたのは」


先生は口を押えてあぜんとする。


黒板を消し書きなおす。

書き直した瞬間

〇△□と放送禁止用語に切り替わる


言葉を発しても

書いても

キーボードで売っても

もともとあった言葉でも

すべてが放送禁止用語に切り替わった。


水面下ではさらにとんでもないことが起こっていた…

インターネットだった。


日本のネットはほぼ壊滅状態になった。


まず日本の.jpドメインが.j〇△□ に切り替わる。

日本の政府系のサイト、大企業系のサイトは

アクセスが不能になった。


それだけではない。


多くのサイトがアクセスが不能になったのだ。


特にWEB系でよく使われていた言語がphp。

perlもPythonもp WEB系は壊滅的な打撃を受けた。


Pythonが使えなくなったことで

データサイエンスが大打撃

AI業界・機械学習全滅した。


また一般の会社でもPCという言葉がつかえなくなり。

仕方なく電子計算機という言葉を使うことになった。


あの有名歌手がうたったあの名曲も、すべてが放送禁止用語に切り替わる。


日本語の意味は損なわれ、日本を混乱に陥れた。


政府は急遽 P対策法案部会を立ち上げるが

このPすら放送禁止用語に切り替わる。


しかたなく『放送禁止用語に変わるある特殊文字の利用制限法』と名をつけ

立法化をして収拾に乗り出す。


しかし…ネットや書籍、町あらゆる場所にPはある。

駐車場は中学生の落書きのような状態に陥った。


社名でもPを使っているところは沢山ある。

会社にはクレームが相次いだ。


いったいこの国はどうなってしまうのか。


パソコンをつかい

ぱ行と打とうとすると、一瞬pa pi pu pe po と入るので

〇〇〇a 〇〇〇i 〇〇〇u 〇〇〇e 〇〇〇o

としか打てない。


ニュースでもピという言葉が使えない。


アナウンサーは

「tの字に似た 

ひに〇の言葉ですね。

これが、いま日本の国民生活に大きな影響を与えております。

くれぐれも皆さん。この言葉を使わないでください。

放送禁止用語です

くれぐれも皆さん。この言葉を使わないでください。

放送禁止用語です」


と説明した。


生放送は完全になくなった。


多くの企業は名前変更を余儀なくされた。

多くのパッケージが取り替えられた。

そして多くの名刺が破棄された。


ほとんどの企業で

損失を余儀なくされた。


印刷業界だけは潤ったかに見えたが。

デザインソフトの多くが使えなくなり、混乱を極めた。


日本のあらゆる業界が混乱に陥る中

一人の言語学者が発表を行った。


「えー聞こえますか?テストテストテスト

放送禁止用語に変わるある特殊文字についてですが。

回避策は

ヒ〇 ハ〇 ヒ〇 フ〇 ヘ〇 ホ〇 

と書く。もしくは言葉にすることです

繰り返します。

回避策は

ヒ〇 ハ〇 ヒ〇 フ〇 ヘ〇 ホ〇 

と書く。もしくは言葉にすることです」


この放送はくり返しなんども取り上げられた。


数か月後

日本の混乱は多少は収まった。

未曾有の危機の中


ある外国人記者が日本人に問うた。


「しかしここまで最悪な状況でありながら、みなに暗い顔はない。

むしろ笑顔が多いのはなぜなんだ。

日本人はおかしくなったのか?」


「いいえ。

そうではありません。

実際現場は大変です。

ただPが放送禁止用語になるのが

心から馬鹿げていて…

お堅い政府高官や企業のトップが

それに翻弄されている…

その姿がおもしろいすぎるんですよ。ははははは…」


……


忘れないで欲しい。

世界が崩壊しても、“ばかばかしい”が残ってる限り、人は笑って生きていけるのだ。


PがPでPだったとしても



END


この作品は「ピーナッツのピーって放送禁止用語なんかな?」という雑談から生まれました。


社会って、ちょっとしたバグやルール改変で、こんなにもおかしくなるんだな…と考えるきっかけにもなるかもしれません。


もし「くだらない…けど、なんか笑ってしまった」と思ってもらえたら、それが一番の褒め言葉です。


※本作は完結しておりますが、反響やご好評をいただければ、続編やスピンオフも考えております。

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