エステル その6
あの日から、定期的におじいさんの手に触りたくなってしまいます。
でもそんなことを考えていると、おじいさんの顔をまともに見れなくなりそう。
触りたい。
でも、なんか恥ずかしい。
気が付けば私はいつも、おじいさんの手を目で追ってしまいます。
小さな動きから、大きな動きまで。
あ、今日はそんなに大きく……。
飛びつきたい衝動はどうにか抑え込みながらも、私は目が離せません。
おじいさんの手、どうやったら触れるでしょうか?
ご飯を食べながら考えます。
おじいさんの手、どうやったら触れるでしょうか?
横になりながら考えます。
……………………
あ、そうだ。
おじいさんが寝てる間に触りましょう。
そうしましょう。
私は眠った振りをして、おじいさんが寝入るのを待ちます。
おじいさんの小さな小さな寝息が聞こえてきました。
今です!
私は寝床から転がるようにしておじいさんの横まで移動します。
真っ直ぐの姿勢で寝ているおじいさん。
掛け布から手を拝借します。
……冷たい。
……硬い。
……大きい。
指に触れて、手のひらに触れて、指を絡ませちゃったりして。
私は自分の体温がどんどん上がっていくのを感じます。
ちょっとおじいさんの手を持ち上げて、自分の頭に乗せます。
力が抜けていて重く感じるのに、不思議と圧迫感はありません。
すごく安心します。
どうしてこんなに落ち着くんでしょう。
もっと触っていたい。
もっと触っていてほしい。
……………………
……ちょっとだけ。
私はおじいさんの布団に潜り込みます。
おじいさんは本当に体温が低くて、心配になるくらいです。
逆に私の体は火照っています。
ポカポカで仕方ありません。
だから、冷えたおじいさんを温めるため潜り込んでいます。
そうです。
そうなんです。
決しておじいさんにもっと触りたいからじゃありません。
…………おじい、さん。
そういえば、ずっとおじいさんって呼んでる。
私、こんなに良くしてくれているおじいさんの名前も知らない……。
おじいさんのお名前、聞いてみてもいいでしょうか。
もっと、おじいさんの事を知りたい……。
……眠たくなってきました。
いつもより夜更かしです。
おやすみなさい。
……………………
あ、なんか気持ちいい。
あたま、撫でられてる。
えへへ……、もっと、もっと撫でてくださいぃ……。




