ウィルフレド その1
エステルとウィルフレドの出会いを
ウィルフレド視点で書いております
魔族の子が倒れている。
なぜこんな所に?
そういえば、そろそろ周期的に魔族侵攻があってもおかしくない頃かな。
それにしても、なぜこんな所に倒れているんだ?
わからない……
何やら物々しい鎧を着ている……
だが、これは天啓なのかもしれない。
呪いの解呪に、何か進展を見せるだろうか。
見たところ、随分と弱っている。
全体的に魔力のむらが目立つし、頭部、いや意識にも魔法の影響を受けているのか。
あまり良くない魔法だ。
正確な魔法の効果はわからないが、これは消しておこう。
さて次だ。
少し罪悪感もあるが、この物々しい鎧も運ぶには邪魔かな。
留め具が見当たらないな。
魔法で作られた鎧、なのか?
うむ……消せるか?
この突起部分とか、危なそうだ。
……よし、消えた。
良かった、服は着ている。
よいしょっと。
見た目よりは軽い。
肉付きもあまり良くない。
魔族はやはり、食料不足かなにかでこちら側を目指しているんだろうか。
この子が目を覚ましたら聞いてみてもいいかもしれないな。
魔族の子が目を覚ました。
襲いかかってくるかと思ったら、頭から布を被ったまま動かない。
ずっとこちらを睨みつけてくる。
威嚇のつもりだろうか。
こちらが動けば、逃げるように布を被り直してしまう。
相当弱っているな。
元気になってもらう、というには違うが、弱りきって死なれては介抱した意味がない。
ここは食べ物で釣るとしよう。