第一話:強制的な異世界転生
目が覚めるとよく分からないところにいた。
よく見ると教会みたいなところだが、、、ありえない。俺は神などは信じないたちの人間で教会などの神に関する場所などには行ったことはない。俺が混乱していると、まばゆい光が差し込んでこの世の人間とはありえないと思うほどの美男美女が現れた。そして一人の女性が言った。
「まず私たちの自己紹介からしましょう。私たちは神です。そしてあなたは今から異世界転生してもらいます。」
俺は意味が分からなかった。
何があったか思い返してみた。俺は科沢由都29歳。自分で言うのもなんだが科学者で有名な賞をたくさん取っている。自分の部下(女)の買い物に付き合わされていた。しかし買い物の途中に部下がトラックに轢かれそうになって、、、
「もしかして、俺がかばってトラックに轢かれたんですか。」
「ぶははー!!」
と神らしい人達が笑い転げた。さっきの女性が
「違いますよ。フフッあなたも一緒に轢かれたんですよ。ちなみに部下も死にまし・・・ワハハーもう無理ー(笑)」
ただ俺は助ようとするつもりが、トラックに一緒に轢かれて死んだってことか。自分でも思う。情けない、、、とっても情けない。
「まあ、ハアハアッ本題に入りましょう。」
自分でいうのもなんだが笑いすぎだ。呼吸ができなくなっている神もいる。神は笑いの沸点が低いのか、それとも娯楽に飢えているのだろうか?
「簡単に言いましょう。あなたは今から魔法の世界に転生してもらいましょう。強制的にですが。」
俺はすぐに理解した。最近話題の異世界転生ものみたいな感じか。チート能力を持って異世界に転生して無双する。流行りに疎い自分でもこれぐらいわかる。だが、、、
「異世界に私を転生させる理由は何ですか? 魔王を倒すとか?
どの作品でも転生される理由はある。俺的には魔王討伐だと思ったが、、、
「特に理由はないです。」
俺は予想外の理由に開いた口が塞がらない。
「理由もなく転生とかないですよね。」
「あるにはあるのですが、、、」
「あるにはあるとは、、、?」
「最近異世界転生ものが日本ではやっているじゃないですか。神の間でも流行っていて、、、それで、、、遊びの一環といいますか、、、」
なんという理由か。呆れてしまう。神というのはこんなにも狂っているなんて。まあ、神は人の命なんてありんこぐらいだとしか思ってないのだろうが、、、俺は異世界に行きたくないが拒否権はないだろう。しかし何もないまま異世界に連れて込まれても困る。チート能力ぐらいもらわないととっても困る。俺的には異世界では楽に生活したいから。今日を精一杯生きる生活なんていやだから。
「チート能力とは貰えるんですか?」
「今までの転生者はチート能力や神具などをもらっていたのですが、、、」
「ですが、、、?」
「いや異世界で無双する系に飽きてしまって今回はなしにします。」
俺の体が粒子に代わっていく。話の途中なのにもう転生されるらしい。待ってほしい。勝手に転生させといてしかもチート能力ももらえないだなんて。異世界がどんな世界か知らんが、生まれてすぐ奴隷とかはいやだぞ。
「大丈夫ですよ。転生者の生まれは全員貴族です。」
神は俺の心を読めるらしい。だが俺は神の態度にもチート能力にも転生にも怒ってるわけではない。俺的にはもう死にたいのだ。転生して第二の人生なんて送りたくもない。ぶっちゃけ俺は生きることにつかれた。科学者としても成功した。まあ研究はしたいけど、魔法の世界というからには科学なんてないかもしれない。研究もできないなら生きる意味もないだろう。しかし「いやです」と言っても転生を止めてくれなさそうだ。拒否権はないらしいし。
「最後に言いたいことはある?」
と神は言った。
こいつらは何の神かしらないけど神や宗教を信じなくてよかった。と俺は心の中でつぶやいた。