無題
祖母が亡くなった。
人生に満足したのだろう。100歳の大往生だ
バタバタと動きながら葬式の手配をしたりしたが、ほっとしたのが正直な感想である
自分もであるが、祖母も我も我もという火宅の人であった
それを見ていたので我も我もとならないようにと気を付けるようになった。それを知るために彼女を祖母にしたのだろうと思う。
嫁姑問題で冷たい風が吹いていて父は我関せず。それは経済的な物でもあり母が苦労しているように見える。だからだろう。
母を守りたいと幼心に思っていた。実際に母に支え支えられていた。
ほかの兄弟よりもべったりで末に弟がいたが、母を奪ってしまっていたのだろうと思う。彼は家を出てしまって現在はどこにいるかわからない状況だ。
彼が家を継ぐなら私は出なければならないし。親と関係性をどうのこうのするなら私は一歩引くつもりであった。49日の手配を姉たちと母と協力して行い法事当日。
連絡を取る手段がなかった弟が現れた。
ああこれも運命である
法事が終わり弟がこちらで仕事になるという話を父にしていた。本来は泊まるつもりではあったが、交流もあるだろうとさっさと退散させてもらうことにした。母は祖母が亡くなってほっとしただろう。あとかたずけがあるので色々と書類関係で忙しくなるだろうが、それでもだ。父は大好きな?母親が死んだから少しは気落ちするだろうが、父だし。どうにかなるだろう
いつもは1か月に1回。泊まりに行っていたが、弟がいるのだからいいだろうと半日や数時間の滞在にした。姉たちが来る日に合わせていくことも忘れない。ほどほどの距離を置きつつ交流することとした。良心に割いていた時間で身の回りのかたずけをしたりやりたかったことをすることにした
仕事を辞めるつもりはない
色々と趣味の時間を充実して過ごしていくことにした。読みたかった本を読み見たかったところに出かける計画を立てる。習いたかったことを独学で浅く学んでという風にちょろちょろと外に出ることを初めて見える景色が変わったような変わらないような。
時々母が止まりに来るようになった。
弟や父の愚痴をしつつ今までやりたかったという着物のリメイクをしている。楽しいのだろう。あれができた。これができたという話をしているのを見てよかったなとは思う。姉たちとは情報アプリでつながっていて写真やらなにやら送ってくれているので現状もある程度把握している。特に問題ないだろうと思いつつのんびりして過ごしている。
ふと力石を作り出したことを思い出した。作ってみるかと思うが、作り方が違ってくるだろうし法律だってできているはずだと通信教育で力石について勉強を始めた
やはりというか。色々と変わっていて生成するのも精製するのも規制があって昔のようにフリーで作ることは厳禁であった。結界の資格を取って生成する・精製する専門のものを作って制作しなくてはいけないこととなっている。一般の住宅でも資格をもって規定に沿って行うこととなっていた。ざっと力石を作るほうを学び資格を取って生成・精製をできるようになった。実地もパスして売却もできる方の力石を生成・精製する技能を取った。最初は専門施設で生成・精製し結界に関する資格を勉強しつつ行うこと半年。もともとやっていたので実地は問題ないだろうと理論を重点的に学ぶ。
昔より洗礼されている理論を学び倫理を学ぶ
10年くらい離れていたが、色々とあったみたいだなと歴史を学びながら思いつつ一発でパスする勢いで学び実地は特につまずくこともなく昔取った杵柄だ。するっと合格して家でもできるようになった。
サクッと作っていた力石を気の向くままに精製して品質をこれでもかと上げる。これ以上品質が上がらないというくらいまで内包されている霊力を練り上げて作りこむ。
こういうのは結構楽しい。
本質を追求するとか。そういうの楽しいなと思いつつ空を見上げながら力石を生成する。現在は生成するポイントを国が管理しているので、予約して行うことになっているが、全国各地に出向いて生成するのはちょっと経済的にも難しいという人向けに遠隔でできる技能がある。それを取ってがらがらのポイントで生成するようになった。
すっと生成する時間になったら登録した番号を携帯で打ち込み生成を開始するのを許可されたのを確認。一呼吸を置いて遠距離操作でポイントつなげる。霊力をつながったことを確認した後は生成陣を発動させる。決まった時間は1時間大体10個ほど作る感じで漂う冷気を集めつつ圧縮しつつ形にしていく。脳裏にはくるくると回りながら玉になっていく力石を感じつつ同時に発動していく。
楽しい
同時に10の陣を発動しつつ軽く精製をかける。
ポイント内の結界を微調整し生成と精製をしやすく行うことも楽しい。
すべて循環すら自分で調節し十全に自分で行うことは楽しい。
集中していると時間を忘れる。
携帯のアラームが鳴り45分がたったことを伝える。生成も精製をやめ。できたものを手元に転送しつつポイントの結界を緩やかに開放していく。15分後にはすべてきれいにあとかたずけをして一片のかけらも残さずに終う。
ちょうど1時間ですべてを終わらせてポイントから離れる
手元には力石が10個
自分の基準は軽く合格している。
あとは納得するまで精製すればいい。専用のケースに入れてさらに持ち運び用の巾着に入れて借りていた生成部屋から出る。遠距離はそちらに精神を集中するので部屋の結界が緩くなるので生成する専門の部屋を借りて行うようにしている。緩くなるといっているが、規定には合格しているので自宅でもいいのだがなんとなくやめておいた。生成部屋ゾーンから出て共有のところで一服していると焦っているような人がどたばたと動いている
はてさて何かあったのだろうかと思いながらも茶をすすり甘いものでカロリーを補充すしていると
「元気か?」そう声をかけてきたのは昔の知り合いである。光に弱そうな白い肌で薄い光を当てると金髪に見えるほどの茶髪。目を保護するためにかけている眼鏡
変わらない風貌であるが、なんとなく変わっている
お互いに年を取ったということだろう
「お久しぶりですね」頷くと同意と認識して向かいに席に座る彼
「再開したと聞いてな」
「ええ。どこで知ったか知りませんが、再開しました。結構楽しいんですよ」ふんわりと笑うとちょっと驚いた顔をする彼であるが。一瞬で嬉しそうに笑いながらそうかと一言。いい男になったなと思いながらええ。と答える
「でな」ちょっと困った風に笑いながら話をしてくるのは力石に関してと結界に関してだ。
力石に関しては少々融通してほしいしてほしいということだ。売却は資格を取ってからしていないので多少はたまっているので、まあできる。結界に関しては実家周辺のものである。
「あそこらへんに緩くかかっている守りなんだが。お前できるだろう?最近がたがたになっていてな。派遣した人間もちょっとあれらしく」そういわれたが別段に何かしているわけでもない
「最近帰ってないだろう」確信して言っているが、帰ってはいる。最長半日くらいであるが・・・
地域には地域の場を整える公務員としているのである。その人がその場をその時に見合ったように調整していくものである。祈りを行うか術式で行うかは別として。
そういう人がいるだろう?視線で問えば
「担当者曰く別にいつもと変わらない。だとよ。まあ、人の流れやその時の気運なども鑑みてこういう風な感じに整えるようにといわれている範疇であることは確かではあるんだよ。基準値内っていう奴な。でも、なんか違うっていうんだよなー」などといっているが、知らんし
そもそも片田舎で基準があっていてちょっと変だというので国の人間が出てくるとかちょっと違くない?そのくらいなら県の方とかだろうに。越権行為過ぎませんかと内心思っていると
「ちょいちょい奇病っていうかそういうのが起き始めている。調査してみたら昔からちょいちょいある風土病の一つであると報告されていたものに類似する症状だけど。ここ数十年出ていないものなんだよ。で、調べたら微妙な霊力の流れに適応できないのが起こしているから初期段階で離れれば落ち着いて完治することもできるしその場に長くいなければ別に問題ないとされているんだが」参ったなーといいながら説明するために出してきた資料を見れば
昔あった病気とまではいかないがっていう症状である
よくあったなーこういうのを出ている子。なんてつぶやきながら見ていると
「どうにかできないもんか?」といわれて
「どうにもならんでしょ。基準値内で発症しているのだからそこまでの受容性がないってことだし。鳴らしてどうのこうのできるってやつではないし。対策はわかっていてそこに行かなければ問題ないのならいいのでは?」首をかしげていえば
俺もそう思うが、ちょっとあれなんだよ
「症状が出ているのが特定の人間と関係をしている奴らでな。そこまで高い地位にいるわけでもないから切り離せばいいんだけど。ちょっとなー。それを行うために時間をちょっとほしいって感じ」ということなのでだったらと
病気の子供を守るためにという感じの術式をかけている力石を一つ
甥っ子や姪っ子のために作ったもので、昔から各家で作られていたものの一つである。小さな子供は容量が小さいのであふれ出てしまう場合があるので、大きくなりあふれ出ないようになるまで守ってくださいという願いが込められているものである
時々実家に帰って遊んでいるちびどもたちに毎年作っては渡しているもので。おばちゃんのお守りといっている。無論親である姉たちも作って渡しているが、多い方がいいだろうと思ってのことだ
ポイっと渡したものをキャッチして内包する術式を見てきょとんとしている
「受容できないなら多少軽減できるように二重にでも受け皿をつければいい話だろう?それは基本的なもんで空いているところに対象となる人間を組み込めば発動するもんだ。うちの集落では昔から子供に大体7歳くらいになるまで守りとして持たせていたもんだ。今は色々とあるだろうからって二十歳くらいまで持たせている人もいるけれども」そう説明すると昔ながらのお守り?と首を傾げつつ
「それを初期症状を持っている人間に持たせたらある程度の症状は落ち着く。あとは症状が出ている人間をばらけさせて流れを分散させれば時間稼ぎにはなるだろうけれども。大体半月くらいだぜ」そういうとマジかーなどといいながらそれでも時間ができるならと握りしめている
「ひどく症状が出るとか魔力をかき回される感じがするというところから距離を置くことでも多少はいいだろうし。それでも出るなら本格的にダメな奴だからな。向き不向きがあるんだしょうがない」そういえば助かると立ち上がっていった
急務である対処法をゲットしたからなのだろう。分けてほしいといっていた力石の品質・数などの話は皆無だったのだが。そういうところ結構あると思いつつのんびり茶を飲み干して家路につく
どこから入手したのかメールでほしい品質と数を知らせてきたので、売却できる品質と数を送り返したりして何度かやり取りをしたのちに本契約をすることとなった
ありがたいことに高く評価されていいお値段だったのとお試しで一か月使ってみてよかったら継続的に購入してくれるということである。仕事は楽しいこともあるしやりがい?もあるが最低賃金である福祉なのでちょっと余裕がある生活が送れるのはありがたいと思いつつ。無理なもんは無理と要求を突っぱねることもあるが、まあ。そんなもんである
症状が出ていた人たちは時間を確保されて症状が出る場所から離され。違うポストを用意されたらしい。合わないものは合わないのだから致し方がない。体質的に合わなものを無理にさせるのは倫理としてという話をして引かせたらしい
まあ、パワハラとか言われたくないっていう気持ちもわかるので何とも言えないが
楽しく力石を作り本職でもまあ自分なりに頑張って時々実家に帰って様子を見るという日々は変わらない。弟は色々とあって再び家を出たらしいが、今までと違って連絡が取れるようになっただけよかったのだとポツンと父が言っていた
父は跡取りとして弟のことを見ていた節があるので若干残念そうに見えるが
まあ、致し方がないのでは?
母もそれはわかっているが、口に出すこともなく
お互いにしたいことをしつつ生活している。
再び力石を作るようになって色々と交流が増えて新しいやり方とか考え方とかに触れてワクワクするのもあるし。その流れで介護について相談されることもあるが、まあ充実した日々を過ごしている