無題
カラーン
ドアベルがなり入ってきた客は黒目黒髪でショートヘアにパーマを掛けている男性と同じ黒目黒髪で短髪でオールバックにしている男性
共にグレースーツ姿
ちょいとぐったりお疲れな様子が見える
いらっしゃいと声をかける
風景を観ながら一服するというコンセプトの店なので、客席はカウンター席になっていて外の泉を眺めることができる。ゆっくりするために席と席の間にはゆとりを持たせている
一部予約席で力石を生成・精製できる仕様にしている。窓から眺めることができる泉は魔力が多く力石の生成ポイントになっている。
といっても店で力石を作れる人は一握りの実力者である。眼の前の二人のような
「よ〜。世話になるよ」そう言って片手を上げて挨拶を返してくれるのはオールバックの方で
「久しぶりにここで作りたくなっちゃった」と茶化してくるのがパーマの方である
どちらも力石職人の頂点であるマスターの称号を持っている
魔力がある世界に産まれてそれが当たり前であったが、それが当たり前ではない世界の知識を思い出したのは、11歳のときだ
眼の前で座っているパーマのほうが、急いでいたらしく肉体強化を掛けて激走しているところに轢かれたのがきっかけである
ダンジョンに潜った帰り道ぼんやりして歩いていた私は横から走ってでてきた彼を認識するのが遅れ、気がついたら吹き飛ばされてそのまま地面にバウンドして転がって止まった
周りのざわめきと地面にバウンドしたおかげで息が出来ない以上に頭に流れ込んでくる知識に頭が割れるように痛かった
実際に頭は割れていたけど
その御蔭なのか前世で得た知識で自然治癒能力を使って生命維持に必要なところを優先に治した
具体的に言えば吹き飛ばされたときに負傷した脊髄とか腰椎とか骨盤や大転子部。それと脳みそを揺さぶられて出来た、くも膜下出血とかそういうところを
あとその時に自作していた魔石に守りと癒しを刻印した魔道具のおかげもあって救急車に乗せられて運ばれた病院で診断されたのは左足の骨折だけだった。
まあ、その後色々とあって轢いた彼に保護されることになり知識欲を満たして行って気がついたら自然に吹き出ている魔力を集めて結晶化させる人工魔石という失われた技術というのを復活させることになっていた。
といってもそれを実地で施行できるほどのスキルが無かったので、理論と方法を確立して眼の前の二人に試してもらった
その後、国家公務員の彼らが上に教えて認可が降りて人工魔石が普及されることとなった
魔力が濃すぎてモンスターしか住めないのは今でもそうであるが、そのモンスターから稀に取れる魔石が人工的に作ることができるようになった
で、人工魔石の生成に関しての凡庸性を上げて自分でも作れるようになったときには、ある程度魔力操作の能力が高い人間ならできるようになり。その御蔭で人工魔石が一般的に流通され始め。人工魔石を使った魔道具を作ることが普通になり一般人がちょっと頑張れば手にはいるようになり始めたころ
ダンジョンに潜ったりモンスター討伐をしたりしつつ時折人工魔石を生成する日々を過ごしていたが、私が人工魔石を作る事が目障りだという人が現れ。それが国の上層部をたらしこみ国を追われそうになった。どこぞの国からのハニトラか?と思うようなことが行われたが、人工魔石を作る技能を開発した人間を追放したらどうなるか?
作り方を現代に復活させ凡庸性を上げて私情に流通量を増やした人間を国外流出させたら・・・
糾弾しようとした。たらしこまれた人とどこかの国の工作員ごと秘密裏に処された
ただ、やいのやいの言われ始めたときには凡庸性を上げたことの褒章として魔力が湧き上がり人が住めないとされている泉を囲む森をまるっと一つ貰っていて泉をを望み見るように作った家に引きこもっていた
べつに国から追い出されても生成を止める方法など私にはないが、この世界は神々の力が強く作った物を糾弾しその技術だけ取り上げようとすると天罰が下るシステムらしい
それ以来ここで生活している。
良質な魔力が湧き上がる泉がありそこで生活に必要な人口魔石を作りつつ魔力が濃くなりすぎないように調整つしていたら作らせて〜とパーマが来るようになり。気がついたら人工魔石を作れる喫茶を開くことになっていた。
喫茶は私と国から派遣されている人間が数人で廻している。軽食と飲料を提供しているが、この店にたどり着けるのは実力者のみで
しかも推薦制だ。
推薦した人間が付き添い何度か来て一人でも来ていいと私が判断した人間しか予約が取れない。故に私に敵意を抱いている人間はどんなに実力者でも。推薦人が付き添い何度。何十回来てもだめである
というか
そもそも推薦人が付き添って訪れようとしても敵意がある場合は森にもたどり着けないようになっているらしい
私がそうしたわけでもないが、二度と同じようなことが怒らないようにと色々と最寄りの村から森までの間に仕掛けているとのこと。
私は引きこもってから一度も森からでたことが無く食品などは配達されるし細々とした日用品は力石を買取に来た商人から購入しているのでどうなっているのかも知らない。
そもそも人と交流するのは好きであるが、マイウエイなので嫌われることもあり人間関係が面倒だなって想うこともあるので、ゆるく引き込もれるならそれでいいと思っている
「最近さ〜」などと漏らしながら人工魔石を連れ立って来た相方が作っているのを観ながら過ごしているパーマ
後見人として様子を見に来ているのもあるだろう。キラキラ日光を反射させて輝く泉から溢れ出ている魔力をブワッと発動した術式で絡め取って結晶化させているオールバック
術式を多重で発動しているのは、流石だなーと思いつつ森を守る魔力が減りすぎないように調整する。常に泉から湧き水とともに魔力も湧き出ていてそれを吸収して成長している森。
この森がなければ片道徒歩で2時間ほど先にある村は人が住めていない。ソノくらい魔力を吸収するのに特化している木々で囲まれている
それでも濃いと言われている。人の耐性を超えないようにちょっと調節しつつ魔力で私は力石を作っているのである。
従業員も従業員枠として自分たちが使用する人工魔石は生成している。基本的に人工魔石が作れる人間が作れる人しか派遣されないが。
生成し精製した人工魔石を売却して嗜好品を購入している。従業員は生活に必要なものは国から支給されている。力石を生成するために必要な技術を取得するための研修や勉強に必要な書籍も用意されている。
退職するときにはそれ相応の金額が出るので、退職後はバカみたいに暴走しなければ生活には困らない用になっていると以前聞いた
そもそもこの店に連れてこられる従業員は偉い人に睨まれて左遷されたか。人間関係でやらかした人である。
コミュニケーションがぶきっちょな人間は裏で仕事をして左遷された人間は接客をしている。私も裏方のほうがいいが、店長は接客ですと言われているので致し方がなく表に出ている
予約以外の客など来ない
推薦人とともに来るはずだった人が。なんてことも年に数回はある。そういう人は推薦人もろとも後見人が査定し直すという話である
オールバックが終わりクールタイムが終わり次はパーマが人工魔石を作り始める
多重では無く一つ一つ魔法陣を作っては生成してという方式であるが。これはこれで幻想的でホタルが瞬いているようで好きである
「きれいだよなー」と呟いているオールバックにコーヒーを提供しつつ同意を得ているわけではないと知っているので放置。
二人とも無事に生成を終えて一服しながら雑談をしているのをなんとなく聞きながら次の予約を確認する。
「今日から滞在されるんですよね?どちらがいいですか?」連日生成する人向けに宿泊施設もある。森の中であるが、魔力が割と薄いところであり喫茶の従業員ではない国から派遣されている人たちが運用している。
「なんで帰宅したのにホテルにいかなきゃなんだよ」意味わからんという顔をしているパーマに同意するように頷くオールバック
私の家は彼らも住めるようにと資金を提供されて作った家で。作りは2世帯住宅そのものである
右側は彼らの領域で左側が私の領域
共有しているのは人工魔石に関する書籍などが置かれている図書室だけ。どんなに二人が騒ごうと私には影響がないようになっている。
毎月どちらかが一週間ほど滞在するので、ホテルよりはというのが彼らの主張である。今回は同時に戻ってきているが、そちらのほうが珍しい
なんかあったのかな?
そう言えば、ホテルの方もバタバタしていたな数日前と思いながらも面倒事には巻き込まれたくないので、放置することにした
「午後からのお客が来るんですけど」そう言うと
「家に帰るかー」そう言って店をあとにした二人。会計をするときに従業員に目配せしていたので、本気でなにかあったんだろうなとは察せられたが。こんなことになるとはな
遠い目をしながらドロリと濃厚な魔力を吹き出している泉を見る
「あーららー」とパーマが軽く呟いているのを聞きながらめんどくせえなーとつぶやく
何処かで同じような規模の魔力が湧き出ているところを汚したかなにかしたのだろう。戦争とか疫病とか流行らせて。
そういう風になると場が濁り魔力が汚れを嫌って移動する。移動した場を人間が生活できる程度に浄化して生活圏を増やしていく方法を取っている国もあるにはあるが。あまり推奨されている方法ではないのは確か
どこかが戦争をしたとか聞こえてこなかったから疫病?とぼんやり考える
同時に濁っているのを浄化するのも忘れずに行う。泉と森をまるっと所有することになり手入れをしたときに浄化と濃度の調整を仕込んでいる。漏れ出るのは、オートで人工魔石を生成できるようにしている。
ホテルや喫茶にいる職員の中には濃厚に慣れている人がいて魔力を無意識に吸収している人や体質の人もいる。逆に吐き出し、まき散らす人とかもいるので。調整は仕込んでよかったと今でも思っている
話がそれた
オートでやっている生成が追いついて居ない。
全従業員が対応してこれだとかやべーな
深呼吸一つし焦る自分を落ち着けやることはただ一つ
周りに迷惑をかけないことである
「村に」
「連絡済みだ」
そう答えるのは昨日寝るときには居なかった国の防衛を司る官庁の一人である。先に来ていたけど2人と揃って国の有事に関わる人が揃っているって笑えねーな
「森で暴動が計画されている。ここを潰して高濃度の魔力をばらまくというテロ行為だ。後ろで大陸の者が糸を引いている」
「ワオ。なに?こんな小国に目くじら立てるほどあっちはやべーの?」
引きこもっているためあまり政情に明るくないが、関税がとか商品が入りにくくなっているとはあったが。
自国の技術力。それと人工魔石でエネルギーを賄っているため、ゼロに近かった国内自給率ををほぼ100%に引き上げている。
そう言えば、やいのやいのと言われ始めたときから輸入率よりも輸出率が上がったとかなんとか言っていたなーと思いながら
「売られたケンカを買うか搦手で落とし前をつけるかはうえに任せます」さて、目の前のやることをやりましょうと手を横に一閃
森を囲っている結界を強化し内部の魔力を息がしやすい濃度に調節する。オートから手動に切り替え多重発動を発動する
凡庸性を高めたって濃厚すぎる魔力を扱えば施工している人間にも負担はかかる。自前の魔力が高ければ高いほどその容量が多くなり。負担は少ないが
私は一般人の枠内に収まる魔力しかない
というか。元々は微々たる魔力しかなかったが、無意識に魔力を施工した後に魔力が枯渇し意識がなくなる。を繰り返していくうちに鍛えられて魔力が増えたタイプの人間である
それでも一般人枠をでないのレベルのにも関わらず。森を覆い魔力を漏らさないようにしながら魔力を人工魔石にするために術式を発動している
体に負担がかからないわけがない
どんなに脳みそが焼ききれそうになっても魔道具で治療してというのを繰り返す
パリンと何かが割れる音と共に目の前が黒くなっていき、ぐるぐると世界が回る
治療の魔道具が壊れたのだと遠くで誰かが焦った声で自分の名を叫んでいるのを聞きながら、そでもただただ魔力が溢れ出ないようにとそれだけはと考えて居た
ゾワゾワとして寝ているのを邪魔されている感じがして目を覚ますと視界にはぼんやりとした泉が見える。メガネがないと視界がぼやけるなーと思いながら手を動かしメガネを探していると
メガネを手のひらに渡される。音が聞こえていないが、感謝を伝えメガネを掛け周りを見渡せば家のソファーに寝かされていた。
泉の色は通常よりやや濁っているが、朝?より色が澄んでいる。
どのくらい寝ていたのだろうか?と考えつつ体を起こしソファーに背を預けて座る。ソファー前に置かれているテーブルにすっとサーブされたのはハーブティーだ。香からして回復系だろう
何も言わずにその茶をのみつつ深呼吸をしながら森や湖の状況を索敵する。索敵で敵の位置や状況を察知できるならそれを応用できるじゃろ?と言うことで周りの状況を把握するのに使っているが、後見人達には呆れられる使い方
森もその周辺も異変は無く湖の魔力が吹き出る濃度がいつもより少々濃いだけで許容範疇内である。周りに迷惑を掛けていないと安堵していると森の外側であるが、最寄りの村の人が出入りしてもいい区域に村人と一緒に嫌な気配がある
なんか嫌だな。
近寄ってほしくないと言うか。いてほしくないと思った瞬間にその存在がいなくなった。
村人の方は無傷なので大丈夫だろう
茶をのみながら領地内で最寄りの村にも解放しているところを確認する
周りの気配がざわざわしているが、音は戻ってこない。索敵をかけるほどでもないし
周りにいるのは知り合いである。ここで後見人に殺されても文句を言うわけでもない
国が私を切り捨てたほうが国民のためだと判断されるなら。それは従うが、その場合はこの場が穢れるがそれでい良いのかとは思う
まあ、私が駐在しているから安定してきれいである。以前に戻るだけであるから別に・・・・
少しきれいじゃなくてもいいのかもしれない
浄化しすぎて誰でも近寄れる。誰でもできると思われているのなら。それはそれでちょっとな
ふと一呼吸しガチガチに掛けている浄化をこの場にいる人間なら問題ない程度に落とす
息をしづらいわけでもないし
最近入ってきた人は薄いと言っているのだからそちらの方に調節したと言えば問題ないだろう。
一呼吸ごとに浄化のレベルを下げ。
普通に呼吸できるが、濃度が濃いめになった
これ以上は従業員の方で支障が出る人間も居るだろうからと辞める。魔力を濃くしたからかそれとも浄化を弱めたせいかわからないが。聴覚が少々戻ってきている。魔力の使いすぎで、私の器が枯渇ギリギリなんだろう
ならば数日このまま。無駄な魔力を使わずにいよう。別に人工魔石を生成しなければならないというわけでもないし。喫茶もホテルも臨時休業で良いだろう。
予約も入っていないし
従業員だって休みは欲しいだろうと伝達を使って全員に回す。全員からは了承の答えが出て現在るお客様も帰ってもらうようにするとのことで。余分な食料もあまりないし。それに許可をして開戦を閉じる
後見人は?と人の気配がある方に振り向けば
渋い顔をするので
「あ~。声が聞こえていないので、発音できているかどうかも怪しいのですみません」と一応断ってから寝室へ戻る
ぐっと寝たら少しは治るだろう
枯渇を直す一番いい方法が睡眠なのだから




