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無題

いい天気だと空を見上げ力石を鑑定してく

自然エネルギーを結晶化させて人工的に魔石を作る論文があった。当時は絵に書いた餅と言われていたが、それを検証し技能が確立されたときは世界を揺るがせたと言われている。

それから数百年。

普通に学校に通えば作れる技能になった。

 気がついたときには力石に興味を持って導かれるように力石の学校に進学して就職した。何度か人間関係でつまずき職場を変えてもなお力石に関わって仕事をしている

それが運命だと言われたらそうなんだろうが、転職と言われたら疑問である。売れて喜ばれたら嬉しいとは思うが、楽しいかと言われたら微妙である。好きかと聞かれたら好きだろうと思うと答えられるが。

そんなふうに仕事をしていたのがだめだったのか、運営が厳しくなって職場が倒産するという話が運営から上がった。色々と経営陣が話し合って3年掛けて経営体制を建て替えて販売対象を買えると言っている

今までどんな品質の力石でも購入していたが、今後は高品質のみ購入するという話である。鑑定をしているので、別にそれならそれでいいし

自分で生成するのも高品質になるので困らないといえば困らないが、人員整理もしていくという話なのでそこでどうなるのかわからない。現状を維持するという3年間でどうなるかである

不安になっていないといえば嘘になるが、現状維持だろうと思っていた。それがこういうふうになるとは思っても見なかったなと思いつつ呼び出しされた。何を言われるかと思ってドキドキし会議室に行ったところ

私が生成し納品した力石が運送中にロストしたのでどうにかならないかという話である。ロストしたって。どうやったらロストするのか

銀行の現金輸送のように厳重に注意し運んでいるものである。そうかんたんにロストするはずもなく輸送車を襲ったという話を聞いたこともないしニュースにもなっていないとなれば内部犯行だとしか考えられない。輸送を担っていたのは国がバックについている会社。採用も厳しいと聞くのにと一瞬思ったが、そこら辺を考えても致し方がない

「ロストしたということはわかりましたが、どうにかならないかというのは。どういうことでしょうか?納品したのがどれなのかも説明を受けていませんので返答も出来ません」冷静にツッコミを入れると確かにと頷いて説明を受けたが

入札で落札された高品質の力石で用途が神社仏閣用である。神社仏閣用はちょっと特殊加工をするものなので代わりというのは中々難しいものがある。最低でも高品質と言われるA クラスでなおかつ納品する神社仏閣に合わせて調律しなければならないベースの力石があったとしても調律が間に合わないのである

それをわかっていてどうにかならいか?と聞いていうるのだろう。

「ベースにできる力石なら若干ありますが調律をしていません。ベースだけならなんとかなりますが。そういうことではないですよね?」

神社仏閣用に調整している力石はある。実家や現在住んでいるところの神社に奉納するように作っているのやら競売ように作ったがあと一つ足りない感じで御蔵入りさせたものもある

使えないと思いますがと伝える私に

「ありがたいことに依頼主がベースがあればそれでいいと」なるほどなるほど

どのベースが良いですか?と聞けば現物を見ないと決められないと言われているとの答えが来た。ちょっと信用できないと感じたので、現物は持ってきていないと話すと訝しげな顔をされた

そもそもそういう話がなされると通知されていないとも伝えて。ご縁がなかったということでと退出した

同僚に何が?と聞かれたので、力石の売却に関して話があると言われたこと。担当者ではない人がでて行きたことを伝えると

「怖いね。なんかの詐欺?」と聞かれたので

「わかんないですね。詐欺?会社まで来て詐欺?」首を傾げながらいえば、最近の詐欺って手の込んだ者もあるらしいからと言って解散し鑑定の仕事に戻る

それから数カ月後に力石がロストしているという話がニュースで上がり。運用会社がガサ入れされるとかされないとか噂が上がった。上司からロストしたもので私が出した力石もあったという話を正式に通達されたので、数カ月前に会社まで来客があってそういう話があったことを伝えるとなるほどという顔をされた

「ロストした力石と同等のものをよこせと言われたので、そもそも手元にないので無理だと話をしました。神社仏閣用に精製するために調節しているのはありますが」

「だったら精製して依頼が来たら?」

「時間がかかっていいなら依頼品として精製することは出来ますが、神社仏閣用は最終的にはそこの神社仏閣が行わないとだめなんですよ。そっち系列用に精製できるには出来ますが」それでいいならと返答してから2週間ほどで業務命令で数カ所の神社ように精製するようにとあった

複数だがどれも系列は同じだったので精製は楽であるが、それでも色々と手法があって複雑である。大まかな調節と精製が終わる頃には2ヶ月ほどかかったが、各神社の大祭2ヶ月前に納める事ができたので急ごしらえといえどもなんとかなっただろう。本来は半年とかかけて神社が調節するものなので、このあと大変なのは神職たちである。そもそも神に収められるものを横取りしたのであるから神罰とかあるだろうし

知らなくても盗まれた力石を購入した人たちも影響があるだろうなーとは簡単に予想できた

 業務命令でで力石を精製していたことで職場で力石を生成できる事が認知された。元々生成もできる事で採用されていたから知っている人は知っていたが、鑑定ばかりしていたから鑑定だけだと思われていた。生成できない人を馬鹿にする風潮がある部署の人間に絡まれたこともあった

業務的に問題ないことで絡まれるのはちょっとと思って距離をおいたし人事にも報告していた

どうして教えなかったという人もいたが、なぜ知らせないといけないのかと逆に問うと口を噤む。顔見知りでもない人や勝手に敵視している人など色々と煩わしいと思う

めんどくさいと思っていれば

疲れていると困ったように笑って話しかけてくるのは、この会社に口利きをしてくれた知り合いである。専門学校でバイトしていたときの知り合いで最初の職場をやめたときに離職したと聞いたと声をかけてくれた

最初は力石自体を納品していたが、それが鑑定がとか管理がという話になり現在は納品自体はしているが頻度が落ちている。ボーナスに査定されるので納品する人が多い時期に紛れ込ませているので目立つこともない

「そんなに力石職人として見られていなかったのか逆に驚く。というか社員になれるのって力石職人であることが大前提じゃなかった?」

「あー。そうだな。普通に正社員は力石職人だ」頷くのを見ながら

「だったら私は契約社員だと思われていたのかしら?」更に首を傾げる。正社員だとカウンター業務でも夜勤をすることになる。現在進行形で鑑定の夜勤をしているのにも関わらず契約社員だと思われていたのかと笑うと

「あ~。うん。夜勤をしているとは部署が違うとわからないだろうし。力石を納品しているだけの人間たちに取っては自分たちの評価を左右するムカつくやつみたいな?」渋い顔をしつつコーヒーを片手にいう彼もそうだろう

登録している力石職人に仕事を割り振っているのは彼だ。もっとできるという人間には上の仕事を回さない人間と言われている

「君だってそうじゃん」そう言うとハハと乾いた笑いをする彼の力石は丁寧に作られて医療系に使われることが多いと聞いている。私は普通にエネルギーとして消費されることが多い。

逆にエネルギーとして特性が無いが羨ましいと言われることもあるが、器用貧乏といえば良いのか?とは思っている

「で?人がいなくなってから声をかけるとか何かようでしょうか?」ちょっと困ったようにしている彼に話を促せば

「ああ。納品した力石に関してお礼状が届いた。なんでも無垢な力石で奉納用に精製しやすいとのことだ」コーヒーを飲みながら聞いていると

「来年もと言われた。できるか?」

「業務命令であれば。時間があればもうちょっとどうにかなるレベルの話だし」

「作り方とかは」

「それは自己研鑽だと思います」きっぱり答えるとだよなーと当たり前に対応している。力石職人は特化とか専科とかになればなるほど自己研鑽が必要である。私もちょいちょい調べ物をして品質を上げたり効率を上げたりしている

会社で必要な書籍は十分にあり社員特典として勉強するのに使うことが出来る。正社員として自己研鑽しボーナス時用の力石を納品すると評価をされてベースアップすることもあるというのが、会社のいいところである

「にしてもロストした人間ってどうなったの?ニュースであまり取り扱わなくなっているじゃん。国がバックについている会社の不祥事だから隠しているの?」

「社会的に罰せるやつはしっかり実刑を受けてもらう様になっているが、刑務所に入っても刑務所に迷惑かけるような状態になっているやつもいるしな。指示しただけとかそうなったら面白いと唆した奴らも色々と社会的に罰せなくてもな」ちょっと遠い目をしているので色々とあるのだろう

神罰だし

じゃあよろしくーと軽く手を降って戻っていった。鑑定も深夜になってくればなくなるので、仮眠をすることにした

鑑定したものは書類とともに指定された金庫に収納し途中取り出す場合は手続きを踏まないと警備が来るようになっているので安心して眠れる様になっている。

4時間くらい寝れるかな?と思って仮眠室へ

枕元にある警報がなり飛び起き現状を確認。誰かが金庫をいじっている

警備がついてから共に金庫のもとに行けば、同じように仮眠をしていただろう各部署の人間も集まっていて手続きを踏んで解除し金庫へ行けばトリモチのような粘着質のものに絡め取られている犯人たち

どう見ても数人の社員が見える。それ以外にも顧客として利用していた人たちもいるようだ

特別な薬品を使わなければ取れない粘着質のものが全身につき床にくっついて団子状になっている

警察が来てから剥がすこととしても

これはない

警備から警察に連絡が行き防犯カメラの映像を提出。軽く事情を聞かれて終了したが。それにしても強奪とかしてどうするのだろうかとは思う

正当な手続きをせずに強奪したら使えないようになっているのが力石である。無理やり使おうとすれば反発が起こり爆発する場合もあるのだ。力石職人でなくても関わる人間なら基本である。知っていて当然だが

自分はどうにかなると思っていたのだろうか?とゆるく考えながら盗まれたものがないか確認し社内報告書にまとめて置く

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