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娘 視点

 父の愛人が亡くなったらしい。


 らしい、というのは人伝に聞いた話だったからだ。


 父から直接聞くこともないし、母から聞くとはもっとなかった。


 確信をえたのは新聞広告を見たからだった。


 喪主は息子さん。


 ああ、亡くなったんだと思うだけだったがここからが大変だった。



 なんと、愛人を喪った父が私の元にやってきたのである。


 なんで!?と思ったが、父は私が聞かずともインターフォン越しにとうとうと語り出した。


 なんでも愛人がやっていた家事や病院の手配をしてくれる人がいない。家事をやってくれる人がいなくなってしまったので部屋が荒れ放題になっている。とても暮らしていけない。


 なんで私のところに?そんな疑問を聞かずとも語り出す父。


 母の住んでいるところはわからなかった。とのことだった。そうだな、と納得した。母は父に何も言わずに住居を変えたので。


 いや、なんで私のところに?ここでの本音は愛人の息子のところにでもいけばいいじゃないか、である。大学までの学費をだした愛人の息子のところにいけばいいのである。なぜ行かないのか。


 愛人の息子のところは子供が生まれたばかりでとてもではないが世話になれない。とのことだった。


 いや、私のところも小学生の子供が二人いるし。とてもじゃないけどあなたの面倒見れるような状況じゃないし。どうやって断ろう。と考えてた。


「なあ、俺がお前をここまで育ててやったんだ。その恩に報いようとは思わないのか?」


 その一言によって何かが冷めたようだった。育ててやった?その恩に報いる?一体どの口が言っているのだろうか。溢れる言葉はそのまま口からでていく。


「あんたが家出ていったのいつだか覚えてる?私が中学三年の時。そんで兄さんが大学受験の時。私たちが、あんたの子供が大変な時にあんたは『この家に居場所がない』って言って出ていったの、覚えてない?」


 本当に覚えていないのかインターフォン越しからの応答はない。


「私を育ててくれたのは母さんなの。あんたじゃない」


 私はここまでいったのだからすぐに帰るだろう、と思ったのだが。


「俺はお前を育てるまでの金を出した」


 おいおい、食い下がってくるのか。


「だったらもっとお金を出した愛人の息子さんにでも面倒を見て貰えばいいじゃない。あの人私や兄さんと違って大学出てからもお金もらっていたみたいだし」


 なんで知っているんだ。とでも言いそうな顔をしたあの人が見えた。おっと、そうなんだろうなと思って適当な当たりをつけて言ってみたのだが当たっていたようだった。よかったよかった。


「私たちよりお金をかけた大切な人たちに助けてもらって」


 そう言ってインターフォンを切った。それでもあっちで騒いでいるのが聞こえる。仕方ない。警察呼ぶか。


読了ありがとうございます!

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