思い出・・・
秋穂視点
私は今日の遅刻の罰で先生に体育倉庫の整頓を命じられた
憂鬱な気分になっていると
夏野先輩が放送をしているのを聞き大和先輩に同情する
遠くで大和先輩の悲鳴が聞こえた
私も参加して大和先輩を捕まえたいが運動神経抜群の大和先輩を私が捕まれるはずがないので諦める
昼時には大和先輩を追う人はおらず大和先輩は帰ったらしい
その後の授業は適当に聞いているふりをして考えごとをしていた
考えることは大和先輩のことばかり・・・・
私は中学の時にいじめに合い校舎裏で泣いているところに大和先輩と出会った
大和先輩は中学の時もあの容姿で女子からの人気があり
さらに頭もトップで夏野先輩と3位以下の人の追随を許さない程点数差をつけ
スポーツ万能でバスケ部には入っていないがバスケは全国クラスと
漫画やドラマの世界から飛び出したような完璧な人だった
だから私はその時は
大和先輩は高飛車な性格の人だと勘違いしていて
大和先輩が来たことに驚きその場所から逃げようとしたが
腕を掴まれた
「やめて下さい!」
私は必死に腕を解こうするが所詮私が大和先輩に力で叶うはずもなくびくともしない
「やめないよ
何があったか位教えてくれないか?」
優しく微笑んで言ってくれた
「あ あなたには・・関係のないことです」
私はいじめに合ったことを言うのが嫌で・・
笑われることが怖くて
ごまかそうとする
突然大和先輩に抱き寄せられ
「関係ないことはないさ
泣いている子を見て無視するほど非情な人間でもないしね
笑ったりなんかしないよ・・・
絶対に」
そういわれ私は涙を流しそうになるが我慢する
「泣くことは恥ずかしいことじゃないよ
今は泣いて?」
この人には全てが見透かされている感じだ・・・
そして私は泣いた
大和先輩の胸で何度も泣いた
今まで堪えて来た分泣いた
どの位たったかはわからない・・・
しばらく泣きすっきりして大和先輩から離れる
「すいません
制服を濡らしてしまって」
謝るが
「気にしないで
ちょっとここに座って待ってて
」
とどこかに行ってしまった
私は見えなくなるまで大和先輩の背中を見続けた
そして私は大和先輩に持っていた高飛車というイメージを完全な間違いだと気付く
「ごめんね
またして
はい!」
大和先輩は濡れたハンカチとお茶を渡してくる
どこまでも優しい人だ・・・・・・・
「わ 悪いですよ」
私は遠慮するが
「じゃあこれは誰もいらないってことで捨てるしかないな」
と立ち上がるので
「わ・・わかりました」
慌てて受け取り
「本当にすいません」
もう1度謝る
「こういう時はさ
俺は謝られるよりお礼を言われるほうが嬉しいかな」
「すいま・・・じゃなくて
ありがとうございます」
私はお礼を言う
きっとまぶたが腫れひどい顔だっただろう
でも大和先輩は笑って言ってくれた
「どういたしまして!
私はお茶を飲み一息つく
「ところで秋穂ちゃんはなんで泣いていたの?」
私は驚いた
「・・・・え?
名前・・・」
「あ・・・
ごめんね
名前で呼ばれるの嫌だった?」
大和先輩は申し訳なさそうに謝ってくる
「いえ
そうではなくて
何で私の名前を知っているのですか?」
私は目立つような生徒ではない
「一応この学校の生徒は全員覚えてるからね
しかも秋穂ちゃんは
2年でトップの成績だしかわいいじゃん!
だから知ってて当然だよ」
「か かわいい?////」
顔が赤くなるのがわかる
「気付いてないの?
充分かわいいじゃん」
大和先輩は笑顔で言う
私はこれ以上言われないように話しを強引に変える
「そ そういえば何故泣いていたかでしたね・・」
自分でもかなり強引だと感じるが大和先輩は気にしてないようで
「うん」
頷いてくれた
「実は私はクラスの人に告白されたんですけど私は恋愛とかに興味がなかったので断ったら
その告白してきた男の子は聞いてくれてありがとうと素直に引き下がってくれましたがその男の子に片思いしていたらしいクラスの女の子が私に勉強できるからって調子に乗るなと机を蹴って来てそれに続くようにその子の友達だった人も便乗して私に対する嫌がらせが始まりました
私は耐えて関わらないようにしていたのですがそれがまた気にいらなかったようで今日ここに呼ばれお腹を殴られてしまい痛みで泣いているところに大和先輩が来たということです」私は話しすっきりした
大和先輩は話しを遮らず最後まで聞いてくれた
「秋穂ちゃん歩けるか?」
いきなりの質問に慌てつつも
「もう大丈夫ですが・・・
どうしてですか?」
「俺が秋穂ちゃんをいじめている連中に少し制裁を与えるだけだ」
と大和先輩は立ち上がる
「え・・・
大丈夫ですから」
私は大和先輩を止める
「じゃあこのままでいいのか?
また嫌がらせをされるかもしれない
また殴られるかもしれない
それでもそのままでいいのか?」
大和先輩は私に聞いてくる
「よ よくないです・・」
私が言うと
大和先輩は微笑んで
「じゃあ任せろ」
携帯を取り出し電話をかけはじめた
数分して電話を閉じ
「じゃあ行こうか」
と私の手を握り歩いて行く
私は2つの意味でドキドキした
今からクラスに行く恐怖感からのドキドキ
大和先輩と手を繋いでいる
恥ずかしさからのドキドキ
全く違う理由でのドキドキを感じていた
クラスの前につく
私は逃げたくなったが大和先輩が強く手を握ってくれたので安心感を感じた
「大丈夫」
大和先輩の一言に魔法をかけられたように安心した
そして私と大和先輩は扉を開ける
凌太の過去編はまだ続きます これからも時々過去編をいれたいと思います 感想にこんな話しが読みたいと書いてくだされば時期を見て書きたいと思います