抜け出せ!体育倉庫
「どうするんですか?」
秋穂は不思議そうにしている
俺は人差し指を立てて左右に振りながら言う
「簡単なことなのだよ秋穂君
窓の外の壁には屋上から延びる排水溝がある
それをつたっていけば下に降りれるだろう?」
探偵のような言い方をしながら言う
我ながらナイスアイディアだな
「駄目です」
わぉ即答かよ
ナイスアイディアが・・
「なんでだよ〜
これ以外脱出の手段がないだろ」
余りの即答ぶりに少し落ち込む
「決まってるじゃないですか!危ないからですよ!」
「このくらい大丈夫だって」
「駄目です」
「大丈夫だって
葵から逃げる時に何度もやってるし」
「駄目です」
「だから
「駄目ったら駄目です」・・・」
聞く耳持たず・・・ですか
何度もやっているから大丈夫だって言うのに
こいつは極度の心配性なのか?
「あのな・・・俺も腹が減ってきたし・・・ここから出れたら一緒に飯食いに行こうぜ
おごってやるからさ・・」
これでも駄目なら強行突破だな
「はぁ
しかたないですね
これ以上言っても強行突破されそうですし・・
絶対気をつけて下さいね!」
何故俺は思っていることがばれるのだろうか?
そんなに顔に出てるのか??
「あぁ気をつけるさ
じゃあ行ってくるな」
俺は排水溝を持ち下に降りて行き2階程の高さになると飛び降りる
上を見ると秋穂があからさまにホッとしているのが見えるので手を振り
体育倉庫の鍵を取りに行くために走る
<秋穂視点>
凌太さんと1日ここで過ごすのも捨て難いけど一緒ご飯を食べに行くと言われた時にはすぐに鍵を取りに行って下さいと言いそうになったが
「これ以上言っても強行突破されそうですし・・・」
などと適当なことを言い冷静な対応をしておく
凌太さんが強行突破をするはずがないけどね・・・・・
<凌太視点>
鍵を取り
体育倉庫までをダッシュで駆け上がる
1人でこの時間に体育倉庫にいるのは女の子なら怖いはずだ
葵ならまず行かしてくれないだろうな・・・・・・あいつは暗所恐怖症だし
体育倉庫前に着き
鍵を開けると
「すごい早かったですね
驚きましたよ」
秋穂は別に暗い所は平気なのか?
俺は女子は暗い所が怖いと思っていたが葵が駄目なだけか?
「秋穂は暗い所は平気?」
「うーん
好きじゃないですけど別に怖くはないですよ」
「たいていの女子は暗い所は怖いものなのか?」
「多分特別な場所で以外なら暗い所は平気だと思いますよ」
葵が駄目なだけか・・・
これは俺の脳内辞書の女子の覧に書かれている
女子は暗い場所は嫌いというのを訂正して女子は特別な暗い場所以外では暗い場所は嫌いではないと訂正だな
ってか特別な場所ってどこだ?
「特別な場所というのはお化け屋敷やお墓やいわくつきの場所ですよ!」
「女子は心が読めるのか!?」
葵といい春菜といい
人の心を読む能力がある
もしかして女子には男子には齎されていない特別な能力でもあるのか?
「今のは心を読んだ訳ではなく
凌太さんが声に出していただけですよ・・・・」
・・・・・・気付かなかった
なにを馬鹿言ってるんだ
心を読める奴がいる訳ないだろう?
冷静に考えると馬鹿馬鹿しいな
葵や春菜の時も知らず知らずの内に声に出していたんだろうな
きっとそうに違いないな
これからは気をつけよう
校門を出た所で
「どこに食べに行きます?」
秋穂は嬉しそうに聞いてくる
「ここはどこだ?」
「え・・・・
校門を出た所ですけど・・・」
「じゃあ学校の外だよな?」
「学校の外では敬語を使うな
ってさっき言ったよな?」
「でも・・・・」
「わかったじゃあ敬語で話してきたら無視するから〜」
なかなか承諾しない秋穂に強行手段に出る
「え!?
無理ですよ!」
「・・・・・」
敬語なので無視する
「・・・・わかった
じゃあ敬語を使わないから答えて!//」
やけになって言って来る
「やっとか
俺がいいって言ってるんだからいいんだよ
それでなんだ?」
「どこ行くの?」
「そうだなぁ
何が食べたい?
俺は正直なんでもいいし・・」
まぁ秋穂なら私もなんでもいいって言うんだろうな・・・
「でも凌太さんがおごってくれるだし私もなんでもいいよ・・・」
やっぱりな
これが葵なら俺の奢りを前提に俺を無視して勝手に行くんだけどな
多分春菜もそうだろう・・・
「遠慮するな!
どこでもいいなら行かないぞ
後さん付けするなら次からは無視するからな!
行かないという気はさらさらないがこうでも言わないと自分の意見を言わないだろう・・
葵とは正反対だ
「わかった
じゃあ・・・スパゲティーが食べたいな
凌太さ・・・・・り・・凌太もそれでいい?//」
照れながら言われるとこっちも照れるって!
何故呼び捨て位で照れる!?
「じゃあすぐ近くに旨い店あるから行こう!」
その店は葵によく強制的に!(ここ大事)連れて行かれる喫茶店だ
確かに旨いが値段もそれなりにするけど何回も行ってるとマスターと仲良くなり安くしてくれるようになった
「じゃあそこに行こう!」
秋穂は結構お腹が空いているみたいだな
「じゃあ行くか」
秋穂の手を引く
「////」
秋穂の顔が真っ赤になった
「あ・・・・悪い!」
無意識にしたが
普通付き合ってもない男にされたら嫌だよな・・
すぐに離そうとするが
「手・・繋ごう?//」
もじもじしながら上目使いで聞いてくるのはかなりかわいい・・・・
「了〜解」
それから店に着くまで
秋穂は無言だったが
決して悪い雰囲気ではなく
秋穂は俺の手をギュッと強く握っていた