もじゃもじゃとご令嬢
検索ワード時代入力ミスを訂正。西洋に近世はないのだ。
そして、ホースリールの正確な発明時期はいつだったか、うろ覚えなので検索したが解らない。
ご存知の方、ご一報下さいませm(_ _)m
お庭でお花を植えました。庭師のアンドレイに教わりながら、わたくし自分で出来たのよ。お花を植えるときに着る上着や、手にはめる作業用手袋は、この日のためにお父様がご用意下さいました。
それでね、可愛らしい青いお花を一面に植えたの。地面に這うように広がる茎から、小さく柔らかいギザギザの葉っぱが生えております。お花も、根のような茎からじかに咲いておりますわ。
お母様の薔薇園は、トゲトゲがあって危ないのですって。わたくしは、お庭の隅っこに、小さな花壇をいただきました。
お庭のお花は毎日手入れを致します。可愛らしい白いお花がついた黄色いバケツに、お揃いの移植鏝と小さい熊手を入れて、朝夕わたくしの花壇に通います。
もう一方の手には、小さなホースリールを持ちますよ。最近発明された、とっても便利な園芸用品ですわ。わたくしの花壇はお庭の隅にございますから、水場や用具小屋からとても近いのです。ですから、ホースは短くても充分。わたくしの小さな手でも、片手で運べるくらいですの。
さあ、今朝も雑草ひきと花殻摘み、それから枯葉除去も致しましょう。わたくしの青いお花は、地面にぴったりとくっついておりますから、草取りはたいそうむつかしいんですのよ。
お父様からいただいた明るい緑の作業用手袋は、わたくしの巻き毛を束ねるリボンと同じ色をしています。
実はこれ、お花のお世話をご覧に入れたとき、婚約者のラルフ・ミッドレイ様がくだすったの。
わたくしの瞳の色なのですけれど、縁取りとしてあしらわれた繊細なレースは、あの方の瞳の色なのよ。何色かって?うふふ、ナイショですわ。
あら?ずいぶん草が育っているわ。見落としていたのね。わたくしもまだまだですわ。先ずは熊手で上手く寄せて、お花を傷つけないように根元が何処なのか調べましょう。
「ぎふぇー」
はい?
生き物?
生き物が中に絡まっているのでしょうか?
「ぎふぇふぇひょー」
助けて差し上げたいのはやまやまですが、生き物は難しいのです。人間を怖がって、噛んだり引っ掻いたりすることが多いのですって。
侍女のメリンダが音もなく前に出ました。目付きが鋭くなっております。
「ふぇー」
もじゃもじゃと絡まりあった草の塊が、僅かに動いたようです。メリンダが腰を落として呼吸を整えます。
「ひょぎー!」
突然、草の塊が跳ねました。メリンダの捻りを掛けた腕の払いを鋭角に躱して、塊がわたくしの胸に飛び込んで参りました。
メリンダは、思わずよろけたわたくしを振り向き様に抱えます。
「ぎふぇー!ふぇひょぎー!」
なんだかとっても嬉しそうです。
もじゃもじゃの塊からは、緑の良い香りがしています。頬に擦り寄るもじゃもじゃした部分は、ふわふわでした。草ですから、もっとチクチクするかと思いましたのに。
メリンダは警戒しておりますが、もじゃもじゃは怒っていない様子です。
「ふぇひょー」
なんだか満足そうに、わたくしにくっついております。手足は感じられませんが、体勢を立て直したわたくしのお胸に張り付いて頬擦りしてくるのです。どうして落ちずにいられるのかしら。
「ぎふぇふぇー」
わたくしは、手にしたバケツとホースリールを降ろして、もじゃもじゃを丁寧に掻き分けました。触れた瞬間、メリンダの軸足に少し力が入りましたが、気にしません。
うーん?
おめめ、なし。
おくち、なし。
おはな、なし。
おみみ、なし。
おてて、なし。
あんよ、なし。
ついでに、しっぽもなし。
「ぎふぇひょ」
まあ、いいわ。
とっても可愛らしいのだもの。
お昼間お見えになる予定のラルフ様にも、早速ご紹介いたしましょう。
「ねえ、もじゃもじゃ、お花はお好き?」
「ふぇっ」
「うふふ。そうなの」
「ぎーひょ」
メリンダの眼は、油断なくもじゃもじゃを見据えておりますわ。たまには気を抜くことも覚えませんと、お友だちが出来ませんわよ。先日、護身術のハン老師も仰ってらしたでしょ?緩めるのが大切なのですわ。
ハン様は、ご老体では御座いませんよ。先生という意味なのです。ハン老師は、わたくしより12年上、今年17となるまあるくて剽軽な武芸者先生ですわ。
「ひょぎふぇふぇー」
「ええ、そうね」
さあ、もじゃもじゃ、ご一緒にお花のお世話をいたしましょうね。
お読みくださりありがとうございます。
ジャンル迷いました。
恋愛ではない。
歴史物でもない。
SFでもない。
ホラーは違う。
詩でもない。
童話も微妙。
勿論エッセイでもない。
ヒューマンドラマ?そもそもヒューマンではない。
違う世界の物語だし、ハイファンタジーでいいか。
怒られたら(その他)にでも引っ越そう。