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眠る(怠惰物語)

作者: 冬木アルマ

まただ。これで何度目だ。あと何度寝て起きたら、自分は満足できるのだろうか?頭が鉛の如く重い。頭をちょっと揺らすたびに鉛が暴れだす。とんでもなく不快だ。重い鉛をなんとか持ち上げて上半身を起こす。


そもそも、自分は何をしていたんだっけ…?周りを見渡しても黒、黒、黒、黒…。もはや一種の美を感じる。自分以外は、暗すぎて何も見えないが音も聞こえないから、いるかどうかは分からない。


本当に何をしていたんだろう…。そもそも、ここはどこだ?こんな真っ暗闇の場所で何が出来るというのか。ただ、何か大切なことをしていたような気が…。思い出そうとするが、鉛の頭ではガンガンと響くだけで何も出てこない。一先ず立ち上がろう…。不思議なことに力が入らない。まるで身体が立ち上がり方を忘れたかのように…。


その時、遠くが明るくなった。何事かその方向をみる。何やら動く物体が見える。目をこらしてみる。どうやら走っているらしい。転んでいるものもいるが、皆やがて立ち上がり、また走り出す。


そうか…。自分は、負けたんだった…。その事実に気が付くと忘れたくなった。寝よう…。寝れば、またすぐに忘れることができる…。おやすみ、自分。おやすみ、世界。


意識が落ちる直前、最後に聞こえてきたのは、数多の寝息であった。

ー完結ー

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