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流星のサクリファイス story two

 どこまでも灰色と赤の斑が占める閉鎖空間

目の前に居たのは単なる人だった

自信満々とはかけ離れ、オドオドした子供

しかし性格の理由は一つ

「怖かった」

目の前には血まみれの同志達

後処理のまだ終わってないフィールドは

彼にとって勝利の余韻などではない感情を生み出す

「生き残ったんじゃない・・・・・・」

奪ったんだ

「うぅぅあああぁぁあぁぁぁぁあああっ!」

感情を噛み殺したのは彼らのためか

それとも復讐のためか

彼は怒りを殺し生きることを選んだ

しかし、終わらなかった

殺せば殺すほど自らを食い殺す

「違う・・・・・・違うんだっ!」

やがてその少年はわかってしまう

「俺は化け物だ・・・・・・」

わかってた

【実験開始っ!さあ、今日こそ勝てるのか?仲間の仇を討つんだ!】

「うあぁあぁあああっ!」

これでいいんだろ?理不尽な神様!

心の中で問いかけた

力という生き残る術をくれた流星の神様へと理不尽を向けた


 元病院だけあって雰囲気がある廃墟

「うわぁー寂れてるー」

棒読みでディスった見通は懐中電灯に電源を入れ灯色と鴉に渡す

「ん?俺たちには無いのか?」

藤堂は当然の疑問をぶつける

「感じません?藤堂さん」

灯色は不思議に思った

「なんのことだ?」

感じるのだ

「島侍おじさま・・・・・・」

この先にはここからでもわかる何かが居る

「ガキ共しかわからない、か・・・・・・」

しみじみと悔しさを滲ませる

島侍は察した

「なるほどー」

そして見通の真似をした

「ふざけないで・・・・・・」

「ブッっ!」

「まさかのですね~」

「ここまで落ちぶれたか?」

それぞれの反応が島侍に刺さる

そんなコントじみたやりとりにツッコミを入れるように

受付であろう現在位置から奥の部屋に物音がした

「幽霊かな~」

誰一人、幽霊など信じていないため

何の恐怖もなく物音に導かれる

見通を含む子供組が前を進み

後ろを大人組が進む

少し安心の出来ないフォーメーションだが

藤堂は長年の勘

島侍は真ん中で守られるという

結構、考えている構図だ

部屋の前にある廊下は途中に部屋が四つあった

診察室という文字が書かれているあたり

病院の機能は小さいらしく

奥の部屋には検体室と書かれていた

「広大な研究施設という手前だからな

診察室みたいな病院らしさはここまでだ」

つまりこの先は未知数

ドアを開き見渡し棚に囲まれた部屋だということを知る

書類や地図を

それぞれが怪しいと思うところに絞り探していく

「そういえばここの専門は何科ですか?」

聞いていなかったことに触れる

「ん?ああ、精神科とそれに連なる必要な施設だ」

「へえ~以外だね~」

「以外でもないぞ?あの事件知ってるだろ?」

あの事件、研究紛争と呼ばれる事件

研究をしたい研究者と人権を守りたい団体の紛争だ

これだけだと人権団体の方が正しい様な感じだが

結局は利益を得たいだけだ

人権団体の見解から抜粋すると

【人権というものは労働や貢献だ】

という聞こえは良いが結局は団体の資金調達のため

その当時の研究者は潤う職業だった

精神と肉体の関連性と称して

人がやらないような仕事をさせていた

しかも死んだり逃げたりしたとき

治験バイトという

研究対象の補填があり金銭を報酬に

金を慢性的に必要とし望まれず生まれた子供を持つ親から集めていた

研究自体が投与してから経過を見るというものだったため

世間は施設内の事を調べなかった

しかし、研究紛争により暴かれる

人権団体はどこからか手に入れた情報を元に

提携を組もうとしたが

外で施設内の事をするのは出来ないし

金しか見えてない団体に協力するのが利益がない

その事で決裂が出来た

だが人権団体は知らなかった

病院が国営であることに・・・・・・

そしてその事件の終結は逃げた患者が喋った妄言を信じた団体と

独裁の様な団体のシステムだった

そして研究者側のもっともな理由となった

精神科というシステム

それまで研究施設という以外は公表してなかったため

ようやく内部に興味が持たれるようになる

「つまり便利な言い訳だな」

「そんな裏話があったなんて~」

「でも初期の患者は募集していたんですよね?」

そう初期の患者は望まれて生まれた子達だった

現状を見ないのは愚かな偽善者がすることだ

実質、意味のない性行為により

生まれた子供に愛情を持つのは今の世界では稀だ

しかし、稀ではない者まで協力していたのは

世界の現状にある

疫病や戦争により

安全圏が徐々に狭まった世界では

希望を生み出すための贄が必要で

親が居ない子供はさすがに検体には出来なかった

それは戦争に駆り出していたから

そんな中で子供しかできない実験で戦力は減らせなかったし

大人は士官として現場の指揮を執るために必要

それは表面だ

確かに大人は疫病にかかりやすいという研究内容はあった

でもそれなら大人で試すべきだ

なのになぜ正当化されたか

それは魔法の言葉によるもの

「大人に投与すれば死んでしまうから」

重ね重ねに言い訳をする世界が許したのだ

「まさしく地獄・・・・・・」

鴉が妙に反応する事に対して

過去が不明な彼女に記憶は無いはずと

そんな島侍の反応に

「話を聞いて思っただけ・・・・・・」

隠すような言い訳にも取れるその言葉に

島侍も無理矢理、飲み込んだ

「地図ならありましたけどおかしいですね」

「そうそう~カルテどころか検体も全くな~い」

「検体室なのに・・・・・・」

空振りな子供組を尻目に

「そんな落ち込むんじゃねえよ、代わりにデータ端子があった」

「藤堂・・・・・・それはデータ端子じゃないぞ・・・・・・」

あからさまに電子キーを端子と間違えドヤ顔をしたため

「ああ、これは親父ギャグであってな?」

必死に言い訳をする

「まあ、この電子キーは特殊な端子でもあるがな?」

そうこの男、島侍は知っていて

からかったのだ

「藤金、てめえ・・・・・・」

「まあ、仕返しだ」

鴉の時に笑われた借りを返したという

してやったりな顔に

「これで貸し借りはなくなったな」

少しの苛立ちと共に言い返す

それを見ていた子供組は

おおーと漫才を見るかのように

拍手していた

「コント見てるみた~い」

他の二人はふんふんと首を縦に振った

「漫才じゃねえよ」

「藤堂とコンビとか拷問だな」

「おう、息が合うなクソ島侍」

「なっ!てめえその仇名でよぶんじゃねえよ」

過去に何かあったのは明白だが別の機会に持ち越すことにした

それは電子キーがいきなり光を発した

島侍が強く握った拍子にボタンを押したらしい

光は部屋の中央にあるタイルを指しており

近づけるとタイルが上がってきた

「どうやら電子キーは入力に必要なデバイスを呼ぶためで

パスワードが居るみたいだな」

島侍は一応、電子機器に強い

鴉のバックアップに色々な情報が必要だからで

持っている端末も最新式なため

新しい機器にも詳しい

「パスワードってこういうスペルですか?」

英語に詳しくない子供組ではわからないため

灯色がファイルの中を見せる

そこには英語でパスワードとあり下に数字と英文字の羅列があった

「おお、恐らくそれがそうだな」

「藤堂、それはおそらく暗号だな」

「違うんですか?」

「いや、ここにあるボタンは数字だけだから

その英語を直訳したらいいんだ」

ファイルを借りて書けるペンを探し暗号を解く島侍

「こういう時に頼りなるんだよな、こいつ」

「すごいね~」

見通は鴉に褒めるよう促す

「島侍おじさま・・・・・・すごい・・・・・・」

「そっそうかい?鴉たん」

照れながら解いた数字を説明する

「ここは「十二月」そしてその後に「生まれる」という意味の英文字

それからこの後に二、四とある

これは昔にあったクリスマスの十二月二十四日を指すと思う

それはクリスマスがある教祖の聖誕祭だから「十二月」と「生まれる」

つまり「一二二四」になるんだよ、恐らく今はそれが無いから

わからないと思ったんだろうね」

そしてそれを聞いた藤堂が聞いてる間に入力する

「って藤堂!いいとこ持ってくなよ!」

「いいじゃねえか、わかったんなら早く打ち込まねえと変わるかも知れねえだろ?」

「そういうとこが嫌いなんだよ!」

その様子にまた小さな歓声があがる子供組に

ふんっといがみ合うのを止める

そしていがみ合ってる間に部屋の中央に階段が現れたが

階段から何かからの気配は数段増している

「この先は覚悟が必要みたいですよ」

灯色の言葉に大人組は

「だれに言ってやがる!」

妙にハモった

「ん?」

これもハモった

「真似すんじゃねえよ、藤堂」

「はっ!見通のものまねやってたやつのいうことか?」

「ぐっ」

痛恨の一言を島侍に浴びせ

「まあ、そういうことだ」

と締めくくる

開き直った島侍も勇む

「おじさんを見くびっちゃだめだよ?」

「そこはおじさん達だろ?」

「なんでお前と同じなんだよ?」

いがみ合いながらのチームワークの良さに

子供組も安心した

ここからが本番でなにがあるがわからない

でもこの二人がいるなら大丈夫だろうと思えてしまうのだ

この後、どんな者が待ち構えていようとも



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