真相の影storytwo
煙草の匂いが漂う若人のたまり場は意外に隠れやすいというのは幽世会に限ってだろう、多分
なぜなら幽世会会長はゲーム嫌いでむしろ無くなればいいと思うほどの
昔の頑固親父を絵に描いたような人だった
「藤堂さん!このゲームまだあったんですね!」
「うわ~感動したわ~」
灯色は子供の様にはしゃいでいたが
見通は場に合わせるだけで興味が無いようだった
それは恐らく生い立ちにあるのだろう
灯色は小学校時代、普通の家庭に生きていた
それが何故、この裏に存在しているか?
端的に逃げ切れなくなったから
親は切り崩した対価により生活を維持しており
そんなのはいつまでも続かない
小学校まではそれが続き
卒業と共に親に夜逃げされた
そんな灯色は初め、ホームレスをしながら
親探しする
旅するホームレスをやっていた
災害の傷跡が癒えぬ場所が多く
意外に火事場泥棒でどうにかたくましく生きていた
そんな中で都会であるこの区域に初めて足を踏み入れ
いきなり研究機関に目をつけられ
速攻、拉致られたあと
研究機関の中で数年暮らし
計画の凍結により自由になったが
行き場なんてものがなかった
それはサクリファイスの対価による体力の低下
能力で少し補えているが体力は普通程度しか戻らない
旅することは断念せざる終えない
区域の中でホームレス中に藤堂に拾われ今に至る
なので少しは普通を知っており常識や礼節も知っていたのだ
「そういえば蓮耶の噂の真相は以外でしたね・・・・・・」
「ああ・・・・・・そうだな・・・・・・」
拘束を解き自由になった橋間 蓮耶は色々と真相を語り
その中での情報はなかなか濃度があった
それは三つほどあった
「まず蓮耶は二重スパイだったっけ~?」
「あんまり大きい声で言うなよ・・・・・・」
蓮耶は幽世会の裏事業を暴き現世会に対して情報を流し
幽世会を現世会が支配するという名目
「まあ、今の幽世会は目に余るからちょうどいいかもしれねえかもな」
「またまた~いずれ会長になるのは藤堂さんでしょ~?」
そして二つ目
「オルタナティブプロジェクトへの協力による資金獲得は驚いたですよ」
冷静に驚きながら蓮耶にもらった電子の資料を映し出す
この区域の裏社会にいる者が使っている時代的に少し前に使われた端末なので
文字ぐらいしかキレイに出ない
文字と数字のキレイに整然された資料は明らかにおかしい金を動きを
映し出しておりこのまま証拠として出せそうだ
そして三つ目
「サクリファイスの研究機関、アビリティへの検体提出・・・・・・」
「やはり元検体の見通は少し思うところがあるか?」
珍しく重々しく眉間にシワを寄せ思い出す見通は
検体になることの意味を知っている
それは自分のすべてが蹂躙されることに抗えないこと
「もしかしたらあのクソ女が関わっているかもしれない・・・・・・」
騙されたとは言え大切な人と思っていた詐欺師の卑劣さを思い出し
少し悲しそうに過去を振り返る
「まあ、考えようによっちゃ復讐できるかもよ?」
空気を変えようと灯色は発想の転換を提案する
「そうだ見通、これはチャンスだ」
チャンスとはこのすべてを暴き幽世会を解体できれば
研究機関の実験が如何に非合法かを表に出せるかもしれない
そうすれば少しはこの世界に身を置く子供達を救える
しかし気がかりは見通は自分に施された実験を思い出せないことだ
もし実験を行った嘘の姉が逆らえないなにかをいれていて
嘘の姉が敵だった場合、とてつもなく不利なのだ
「まあ~どうにかなるかぁ~」
「そうだ、多分どうにかなるよ」
「いや、どうにかするんだよ」
決意が固まり話しながら吸っていた煙草を銀色の灰皿に押しつけて
そのまま中の水が溜まっている部分に押し込み捨てる
「とりあえずは状況を作り出すことだな・・・・・・」
「あてはあるんですか?藤堂さん」
「ああ、元刑事の知り合いがいるんだよ」
先ほどの灯色の端末に似たものでその元刑事に連絡する