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真相の影story one

 幽世会 本部

「まだ見つかんねえのか!」

勢いよく飛ばされるゴミ箱とそれにビクっと反応する部下達

その光景は典型的な裏の支配者を彷彿とする

「ですが!藤堂会長!相手は千里眼の粕屋でして・・・・・・」

「言い訳してんじゃねえ!」

今度は机を勢いよく殴る

少し血の滲む拳を無視して部下にもう一度叫ぶ

「いいか!あと少ししかねえんだ!国の犬ころどもが嗅ぎつけちまうだろうが!」

焦りにより忘れ去られた痛みが少し遅れて襲ったのか

最後に机を蹴り部下達を睨む

理不尽ではあるがそれに逆らえないため

ピリピリした空気が支配していた。


 幽世会 支社ビル

「会長なら今頃、部下に威張り散らしてんだろうな・・・・・・」

「あれって威張ってるんですか?」

「あれは威張っているんじゃなく、恐怖をボーナスとして渡してるんじゃなかったのか~」

微妙にディスる見通に藤堂達が少し冷や汗を搔く癖になっていることを本人は自覚していない

見通はそもそも飄々として傷がつかない振りをしていたためか

自分でも性格がわかってない

わかっているのは軽いキャラを装えばなんとかなるということと

千里眼の自分には軽い方が扱われやすいという

一応の優しさが含まれていた

千里眼は力において裏社会では最強

時に偏見として

見た技や能力を即座に習得されるや過去を一瞬で読み取られるなど

後者は当たっているがその様な原因で恐れられ

変なやっかみや絡み方をされる

そのため、変に気を遣わせず平等に見られるために

このような性格で通している

「そういえば、見通って金が必要とか言ってたけど何のためなんだ?」

「それは言えない・・・・・・」

いつもの調子とは違う少し影を射す様に目を背け答える

この秘密は誰にも言えないためにずっと抱えている

戦場でよく会う灯色にも曖昧にごまかしている

「ほう、お前にもそんな過去があるのか?」

藤堂は興味を持ったようで詮索し始める

「なんでそんなに気になるですか~」

おどけたいつもの調子で逃げようとするが

言葉に焦りが見えていることで

相当な過去と踏んだのか藤堂と灯色は

詮索をやめる

そんな中でちょうど千里眼にチラリと見えてしまう

「それよりもまた追ってが来たみたいですよ~」

「方向は?」

右の大通りから営業と偽ってやってくると発言し

三人は支社ビルの裏口から逃げ出す


 鴉はいつも上からゴミ箱を見つめ獲物を見つけてから

そこへ降り立つ

だが、この鴉はそんな必要がない

なぜならすべての狩猟者よりも上位種である

捕食者であるのだから

「島侍おじさま・・・・・・」

裾を引っ張りながら報告を目で行う

感情の機微がわかりづらく言葉をあまり覚えていない鴉は

読み取ってもらうしか報告が出来ない

「見つかったんだね~!鴉たんは優秀だな~」

照れたのか役に立てたことへの誇りか

少しだけ顔が喜ぶのを見届けた藤金 島侍は

「で、どこ?鴉たん」

「あっち・・・・・・」

「あそこは藤堂の管轄の斡旋会社か・・・・・・」

すぐさま、携帯をいじり指示を送る

しかし会長には一報をしなかった

藤金の思惑に必要な手駒がいるからだ。


 藤金の指示から二時間後

「どうやら待ち伏せされてるみたいです見通、藤堂さん」

「やはり噂は本当か・・・・・・」

「噂?ですか?」

「えっなになに~俺が実はモテモテとか?」

ふざけて茶化すのはいつもだ、しかしこういうときはわかりづらいが

少しやばいと思っている時だ

鴉には噂がある

それは動物霊を操り地区そのものを支配できること

簡素に言えば

動物霊というありふれた見えない偵察と執行が出来る手駒を

瞬時に獲得しそれを訓練された動物並みに扱える

そんな都会では最強すぎる能力

都会では殺処分や車に引かれるなどの理不尽な死が溢れている

そんな理由で死んだ動物は少し力を与え命令を下すと

人間の元に居たときのように

懐いて命令を忠実に守る

言わば出来なった無念を晴らしている状況だ

それだけ、人間が生きる意味を与えて居たという理由でもある

まあ、その様に改良したのも人間でそういう環境も人間が作ったわけだが・・・・・・

もちろんそれに関与しない動物霊もいるにはいるため

力というつながりを少し分けている訳でもある

「そんな力が?これ以上は蓮耶の思惑が完全にわからないのにどうすれば・・・・・・」

一応、蓮耶という足を引っ張る底辺舎弟を調べるために

色々な支社ビルを渡り調べていた

結果、妙なプロジェクト以外普通に底辺の成り上がりに必要なことだったとわかった

そして妙なプロジェクトとは

「オルタナティブプロジェクト」

この計画はオルタナティブチルドレンを研究し

理想の能力を作りだし無敵の兵を生み出す

そんなふざけた計画

しかし、蓮耶の差別と底知れぬ恨みから考えれば

本気でその計画を成そうとしているのは見え透いていた

そして理想とはすべてを分解する

「リバース」

それは空間を指定しその空間を完全に消し飛ばし

ある物に収集する

つまり変換の能力

それ以上はわからなかった

「仕方ないな・・・・・・」

とうの蓮耶は人知れないところに監禁しており

そこまで戻ることを提案する藤堂に

二人は賛成する。


この世界はどれだけの死体の上に生きているだろう?

そんな命題に何度も挑戦した

でもこれはもとより意味が無いと数年前に気がついた

そんな難しいことなんて考えていないふりで

ずっと底辺を演じてきた

それはすべて、自分の価値を見いだすための舞台だった

頭からバシャーンと水をかぶる蓮耶

眩しい光が目を捉え少し輪郭がぼやけてからしっかりと

藤堂を見据える

「起きたか?蓮耶?」

「てめえ!ここどこだ!」

「さあな、一応だが紹介しておこう」

「ええと俺は灯色だ、こっちは見通」

「そんなこと聞いてねえよ!さっさと拘束解けよ!」

威勢よく振る舞うがあの計画を聞いてこれを見ると

過去に何かがあったのか?と問いたくなる

四隅に灯があり真ん中に蓮耶が座る

そのイスは木製で時折だがギシリと鳴る

「裏切り者のくせに偉そうにしてんじゃねえよ!」

「お前が裏切りものにしたんだろう?」

「うるせえ!」

蒟蒻問答を続けては居られないため核心をつく

「オルタナティブプロジェクトがお前の目的か?」

「!?」

いきなり手応えのある反応をする

「なっなんのことだ?!」

言葉の最後に語尾が上がる

ここぞとばかりに攻めるために灯色に向き

「理想の能力で無敵の兵だったか?」

「はい、そういうふうに書いてます」

だそうだが?と蓮耶に向き直り

答えを待つ

資料を持っていることをアピールしたのは

それ以上知らないということを隠し

情報を引き出すためだ

ちっと舌打ちをしてしゃべり始める蓮耶

「これは俺たちの悲願だ、なり損ないのな!」

「だからといって理想になって何がしたいんだ?」

「藤堂さ~ん、そいつ俺たちって言いましたよ~」

「俺たち?お前ひとりじゃないのか!」

また舌打ちをした

今度は騙されたという意味合いだ

「面倒だから~千里眼いきましょ~」

「?!」

体をビクッとし目を必死につぶる

これは幽世会の噂である

粕屋見通は目を通して情報を得るという噂

しかし粕屋の目によってということは秘密にしている

それは戦闘時に有利になるからだ

秘密により相手が目をつぶることが多いため

結構、便利に使っている

その秘密を壊すわけにはいかないと

首を振る藤堂にえ~と顔をして

「へいへーい」

一歩下がり藤堂の横に立つ

「?」

意図がわからず一層、警戒する

「勘違いすんなよ?負荷がかかるからやらねえだけだ」

「はあ!?だからてめえは甘いんだよ!」

「ほう、心配してくれんのか?優しいんだな」

「てめえこそ勘違いすんなよ!」

まるで親子ゲンカのように聞こえるのは

親子だからだ

藤堂は仕事の都合で息子を手放すしか無かった

言わば戦争の婦女会のような理由

私は息子を戦火に行かせているのだから

あなたも戦火に送りなさいと

藤堂は一週間以上も悩んだ

それでも橋間 蓮耶を手放した

それは藤堂がこの世界を変えるため

クソッタレて腐ったこの世界を裏側から

昔の親が子を愛せる世界を作るため

息子を預けたといえば聞こえは良いが

そのためにオルタナティブチルドレンさながらに

実質、供物にしたのだ

「てめえのことはこの頃、知ったがな!てめえみたいなの親とは思わねえからな!」

「それでいいぞ?お前は橋間 蓮耶だろ?」

ギリギリと歯ぎしりする理由をあまりわからない藤堂は

ひそひそとどうしたら良いか見通に尋ねる

そんな状況を見かねて灯色が一言

「蓮耶は藤堂さんに認めてほしいんだろ?」

「ぐっ」

「やっぱし図星だな?蓮耶、かっわいい~」

「てめえは馴れ馴れしいんだよ・・・・・・」

顔を少し赤くして否定しなかった

「まどろっこしいな・・・・・・おまえ」

「うっせえ!藤堂!」

どうやら仲間に出来ると踏んで拘束を解き

しっかりと計画の概要を聞く


「島侍おじさま・・・・・・」

「どうしたの?鴉たん?」

心を読むことに鴉により慣れてしまった藤金は続ける

「逃げられたのか~残念だったね~」

「ごめんなさい・・・・・・」

「気にしないでいいよ~?鴉たんは頑張っているもんね~」

少し照れたのか顔が珍しく赤くなる鴉

ほくそ笑み見守る藤金は少し昔を思い出す


十年前

「あなた?この子はもう死んだのよ・・・・・・」

「うっうぅ~」

目の前で冷たくなった娘を抱きかかえつつ泣き続ける藤金

藤金(ふじかね) 空簾(からす)

難病にかかり大金が必要だった

しかし、一介のチンピラにそんな大金はない

そのために冷たくなった

もちろんお金を集めるために危ない橋はいくらでも渡った

しかし届かない現実は変えられない


裾を引っ張り報告をする鴉は

何度引っ張っても反応しない島侍に不思議な顔をして覗く

「あっあぁ~ごめんよ~鴉たん」

「島侍おじさま・・・・・・」

「心配ないよ?これで大体の意図はわかったから・・・・・・」

携帯をいじりまた指示を送る

「あっあと怒ってないよ?鴉たんは世界一の女の子だよ?」

ふふんと鼻を鳴らし喜ぶ

どうやらとてつもなく嬉しいらしい

ドヤ顔をかましている


その頃、藤堂達は核心に迫っていた

「この計画は会長一族が夢と聞いている・・・・・・」

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