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元勇者、お姫様を抱っこする

こちらも少しづつ更新していきますので、よろしくお願いいたします。

 すったもんだはあったものの、メリエちゃんと共にアジアハンを出国した。

 移動はいちおう馬にしたんだけれども……


「うーん」


「どうしましたか?」


「ぶっちゃけ馬で走るよりオレがメリエちゃん抱えて走った方が速いと思うんだよね」


「またまた、そんなことある訳ないじゃないですか」


 どうにも信じられていないみたいだ。

 まあオレが超強化されたのって、なんとなくリンカちゃんに話しただけだしな。


「じゃあ一回試してみる?」


「良いですよ。でも馬はどうします?」


「あーそっか。じゃあオレが馬抱えて走るからちょっと競争してみよっか?」


「馬抱えてって……えええええぇぇぇぇぇぇーーー…………!?」


 颯爽と馬から飛び降りそのまま馬を持ち上げて走りだすと、あっという間にメリエちゃんとの距離が開く。


「やっべ、スピード出し過ぎた!」


 この前は知った時にある程度加減は出来るようになったと思うが、それでもまだ速かったようだ。

 慌ててスピードを落とすと、遥か後方からゆっくりメリエちゃんと馬が走ってくるのが見えた。


「ごめええぇぇぇーーん!」


 とりあえず大声で誤っておく。しばらく待っているとようやくメリエちゃんが追いついてきて、信じられないというような顔をしながらもこう言ってきた。


「こちらこそ、アナタの言葉を信じずにごめんなさい。でも、勇者様の力って凄いのね…。まったく、こんな人を父はどうしてクビなんかに……」


 もともと仲があまり良くないと言ってはいたけど、メリエちゃんは王に対して不信感を抱いているようだった。まあオレもクビにされて恨みはあるけど、一応はフォローしておくか。


「まあ文句は言いたいけどオレもあの時はかなり弱かったし、何回も魔物に負けてたから失望されたんだと思うよ?」


「例え何回負けようとも、アレンさんは平和のために何度も戦いを挑んだんですよね? そんな勇気のある人をクビにするなんて、私はやっぱり父を許せません!」


 どうしよう。ここまで好意的に受け取ってくれるなんて、お兄さん感動で打ち震えちゃいそう。いっそのこと惚れちゃいそう。


 そう言えばメリエちゃん気さくに接してくれるからすっかり忘れてたけど、お姫様なんだよね。いっそのこと逆玉の輿を狙うか……うん、無理だな。自分の立場を弁えないと。


「とりあえずロメリアに向かおうか。さっきも言ったけどオレが抱えて走ればかなり早く着くと思うけど……」


 やっぱりイヤだよね? そう続けようと思ったのだけど、


「アレンさんが迷惑でなければ、お願いしても良いかしら?」


 あれ? 予想外の返事が返ってきた。


「い、いいの?」


「……? お願いしてるのはアタシよ?」


「いや、メリエちゃんが良いなら構わないんだけど……」


 普通に断られるかと思っていたから、思わず聞き返してしまった。しかし抱えて走るとなると、アレか。アレをやる時がきたのか!?


「それでは失礼して……」


  メリエちゃんの膝裏と背中に手を差し入れ、ゆっくりと持ち上げる。


「ひゃわっ!?」


「あぁ、ごめん! 変なところ触っちゃった!?」


「い、いえ。ちょっと思っていた抱え方と違ったから」


 まあ今やっているのはいわゆる『お姫様だっこ』だ。しかも本当の意味でのお姫様抱っこ。


「……これは……思ったよりも恥ずかしいわね……」


 その言葉通り、メリエちゃんの顔は真っ赤に染まっている。本当のお姫様ならお姫様抱っこにも慣れているかというと、そういうことでも無いらしい。というか、よくよく考えるとお姫様抱っこするってどんな状況だよ。


 昔は怪我したお姫様を抱えたまま大陸を渡ったという剛の者がいたらしいが、オレだったら途中で「少しは自分で歩け!」とキレるかもしれない。例え怪我してたとしても、そんだけ長距離歩いている間に治るだろと。それで治らない怪我ならそもそも大陸渡る前に棺桶になっていると思うし。


 ただメリエちゃんは「わたくし、自分の足では歩きませんことよ、オホホ」とか抜かすような姫ではないので、いくらでも抱っこしちゃう。キュートなテレ顔をしばらく眺められるのだったら、多少ゆっくり気味に言ってもいいくらいだ。


 「では行きましょうか、姫」


 今まで生きてきた中で最高のキメ顔を作り、そんなことを言ってみる。まあどうせ笑われるだろうけど、少しでも空気を和ませることが出来たらこれ幸い。


 ところが、オレの思惑はまたしても外れてしまった。


「は、はい……」


 その髪の色にも負けないほど顔を真っ赤にするメリエちゃん。あれ、ひょっとしてオレってイケてるのか? イケ勇者なのか? と真剣に勘違いしそうなほどだった。


 ……後にリンカちゃんから聞いた話ではあるが、メリエちゃんは愛妾の娘とあってあまり外に出ることを許されなかった為に男に免疫が無かっただけらしい。良かった、勘違いしないで。


 そんなやり取りをしながらも、オレ達は『旅の泉』へと向かうのであった。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――


なまえ:アレン         なまえ:メリエ


しょくぎょう:無職(元勇者)  しょくぎょう:剣士(アジアハン王女)

                せいかく:はずかしがりや←NEW

HP:999          HP:47


MP:999          MP:24


ちから:255         ちから:33


すばやさ:255        すばやさ:42


たいりょく:255       たいりょく:18


かしこさ:255        かしこさ:39


うんのよさ:255       うんのよさ:22

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― 新着の感想 ―
[一言] こちらも再開しましたか。 じっくりついていきます。
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