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元勇者、用心棒になる

「さーて、どうすっかなー」


 今日も今日とてお金稼ぎ。しかし、毎日討伐をやっていると正直飽きてきた。


 世の中には討伐で生計を立てている冒険者もいるというが、アジアハン大陸の魔物は(元)勇者の御膝元というだけあってそこまで凶悪な魔物はいなかった。


「うーむ」


 ルイーズの酒場にあるクエストも一通りやり尽した感がある。

 というか最近討伐をやり過ぎてアジアハン大陸自体から魔物が消えかけている。


「そろそろ他の大陸に出稼ぎへ行くべきか……」


 そんなことを考えていた時だった。


「アレンさん、何かお困りですか?」


 酒場のアイドルにしてみんなの相談役、そしてオレを人外にした張本人であるリンカちゃんが話しかけてきた。


「いやね、アジアハンの討伐報酬だとあんまり稼げないから他の大陸に出稼ぎに行こうかと」


「なるほどなるほど。そんなアレンさんにとっておきの案件がありますよ?」


 そう言ってぴらりと一枚の紙を見せてくるリンカちゃん。えーなになに。


「用心棒募集。行先はロメリア大陸にあるロメリア王国……」


 ロメリアか……あぁ、オレもつい最近行ったなぁ。そんでリビングアーマーに……


「うっ、頭が……」


「ど、どうしました!? アレンさん!」


「いや、ちょっと嫌な思い出がね……」


 思えばあいつのせいでオレは勇者をクビになったようなもんだ。

 今度出会ったらただじゃおかねぇ……っていうかいっそのこと復讐しにいくか!

 もうオレは昔のオレとは違う! タネによるドーピングの結果生まれ変わったのだ!


「ふ、ふふふ……」


「ア、アレンさん?」


「おぉっと、何でもない何でもない」


 邪悪な心が顔を出すところだった。リンカちゃんにそんなところを見せるわけにはいかない。


「それで、依頼主は?」


「ふっふっふ、それはですねぇ~」


 なんだろう、やけにもったいつける。でも、そんなリンカちゃんも可愛い。


「アタシよ」


「え」


 声のした方に振り向くと、そこには燃えるような赤い髪の少女がいた。

 すらっとした体に切れ長の瞳。腰に長剣をさしていることから剣士なのだろう。


「キミは?」


「わたしの友達のメリエちゃんです。メリエちゃんはこう見えても……」


「リンカ! 余計なことは言わなくてもいいから」


「えぇーでもー」


「怒るよ」


「はぁーい」


 メリエちゃんに言われて、少し頬を膨らますリンカちゃん。


 何だろう……オレずっと勇者になる為に人付き合いとかまともにしてこなかったから、二人の何気ないやり取りがすごく眩しく見えるよ。友達って、素晴らしいものなんだね。


「あの……どうかしましたか?」


「はっ!」


 いかん、あまりの尊さに浄化されてしまうところだった。

 依頼主との対面なのだ。しっかりせねば。


「えっと、メリエちゃんが依頼主なんだね。オレは……」


「知っています。元勇者のアレンさんですよね?」


「うっ!」


 悪気はないと思うけど『元』の部分がすごく刺さる。

 タネで色々と強化されたけど、メンタル面はまったく強化されなかったみたいだ。


「メリエちゃんダメだよ! 『元』なんてつけちゃアレンさんが傷ついちゃうよ!」


「うぐっ!」


「……リンカ、あなたそれワザとやってない?」


「え……あぁ! ごめんなさいアレンさん!」


「はは……へーきへーき」


 何だろう。オレ、自信無くなってきたよ。

お読みいただき有難うございます!

一話あたり1000~2000文字くらいでサクサクよめるように更新して行こうと思います。

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