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唖然

 燃え盛る護送用トラック、止むことのない大粒の大雨、そして、立ち尽くす警官達。

 澤口は状況を飲み込めていなかった。目の前で謎のフードの男が現れ、2人を連れて消えたからだ。あの時、銃弾と雨粒は空中で静止し、自身の体を、目玉すらも動かす事も出来なかった。雨に打たれ、脳だけがフル回転していた。



 そして、再びフードの男が音もなく現れた。その場の警官達は一斉に銃を構え、澤口は銃を構えてフードの男に問いかける。



「お前!! 何者だ!!」


「その質問には“まだ”答えられないな。それより、銃は使うな。資源の無駄だ。」



 その言葉に澤口は鬼の様な形相を浮かべる。



「まだ? ふざけるな! 銃を使うと資源の無駄ってどういう事だ!!」


「さっきの見てなかったのか? 俺に銃は効かない。銃弾も貴重な資源だろ?」


「ふざけるな!!!!」



 澤口は怒りに任せて引き金を引いた。銃声と共に銃弾が発射され、男の顔面目掛けて飛んでいく。しかし、男はその銃弾を自身の目の前で右手の人差し指と親指で掴む。



「日本語が分からないのか? ニホンゴガワカラナインデスカ?」



 フードの男は両手を大きく広げ、煽る様に澤口と警官達に問いかけた。澤口はすかさず「撃て!!」と合図を出す。しかし、銃弾が放たれる事はなかった。

 男の周囲を包囲している警官達の拳銃からはカチカチと虚しい音しかならない。それは澤口も同じだ。



「な!? なんで!?」



 澤口が戸惑っていると1人の警官が叫ぶ。



「澤口さん!! 弾倉が無くなっています!!」



 澤口は自分の拳銃を急いで確認する。そこには弾倉が無かった。これに大きく目を見開き、息を呑む。すると、男が口を開く。



「お前らの探し物はこれか?」



 そう言うと、男は自身の右手の手の平に弾倉を出現させる。それを見た澤口は口を開き、呆然とする。しかし、素早く我に返って懐からテーザー銃を取り出そうとする。だが、どこを探しても見つからない。するとまた、男が喋り出す。



「いやぁ、テーザー銃は初めて見たな。ただ、これも俺には効かない」



 今度は左手の手の平にテーザー銃を出現させる。これには澤口は両手をダランと下に垂らし、驚きを通り越して唖然とする。

 それと同時に澤口を含め、その場に居る全ての人が持っている拳銃や警棒などの武器が消失する。



「銃が……消えた……。どうなってんだよ……」



 警官達は自分の武器が無くなった事に気付き、ザワつく。澤口も同様に確認するが武器が見当たらない。そして、有り得ない事が連続で起き過ぎて処理出来ず、膝をつく。

 それを見た男は警官達を一通り見渡すと独り言を言う。



「もういいか。帰るか」



 男がそう言うと、突如、澤口を含めたその場に居る全員が気を失って倒れる。そして、男は姿を消す。



――――ある場所の地下深くにある部屋――――



 そこに姿を現す男はご飯を食べている藤田とあかりを見て安心する。



「お! 少しは元気になったかな?」



 その声に藤田とあかりが反応し、モグモグと食べながら男に視線を向ける。口に含んでいた物を胃袋に流し込むと藤田が口を開く。



「あ、あの人帰って来ました!」



 あかりは相変わらず視線は男に向いているがご飯を食べる手が止まらない。男はそれを見て「フフッ」と少し笑うと藤田達、そして若い男女と同じテーブルに座る。

 そして、話し出す。



「じゃあ、ちょっとだけ説明を始めるか!」




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