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絵物騙り女王  作者: キャッツフード
第一章「お菓子の国の危機・バットエンディング」
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1.おはよう世界・こんにちわ絶望

―――目が覚めたらそこは一面雪景色の森でした。



なんの冗談だろうか。目が覚めたら全く見覚えのない森で横たわっているなんて。

さっきまで家の近くの大通りにいたはずなのに、ついに私の頭はおかしくなったのか。


 

 さっきとの光景が変わりすぎて何が何なのか全く分からない…いったい、いったい!



「どういう状況なのーーーー!」











とりあえずいったん状況整理をしよう。

まず私はお母さんとケンカして家から飛び出したんだ。

 そして私はさっきまで公園で気分を落ち着かせるために「お菓子の国の危機」を読んでいた、読み終わったから家に帰ろうとしたんだ。

 そこでまずお母さんに連絡を取ろうとしてスマホを取り出して…

 


あれ?私は歩道に突っ込んでくるトラックにはねられたはずだ。

 なら怪我をしていてもおかしくない…っていうかしていないとおかしいのに体に何の異変も感じない。

 見た感じ血も出てない。顔を触っても鼻がないとか口が裂けているとかそういうことはない…

 トラックにはねられた後にしてはおかしい感じだ。



 近くにバックがあったから手元にとって確認してみる。



「嘘…最悪。」



 思わず口に出してしまう。なぜならバックの中で私のスマホが無残な姿になっていたから。真ん中で真っ二つに割れていた。おそらくトラックとぶつかったときに壊れてしまったんだろう。

 これじゃスマホでここかどこか調べるのも、連絡もできない。

 かなりまずい状況だ。



(…でも。)



 一つだけ安心できることがあった。

 いつも持ち歩いている絵本、それらは無事だったのだ。

 持ち歩いていたのは4冊


「お菓子の国の危機」

「鏡の中の真実」

「空に浮かぶ国」

「夢の塔」



 どれも私が好きな絵本だ。どこも破けてなくてよかった…

 絵本がだめになってたらもう大泣きでは済まないレベルだ。



荷物はそんなところだ。食料とかは一切ない。

サバイバル用のものも一切ない。しいて言うなら水に流せるティッシュが二つ入っているくらいだ。

これ、家に帰れなかったらどうやって過ごせばいいんだ…



 というかこの森一面雪景色なのに全然寒くない。

 熱くはないし寒くもない…春か秋の気温と変わらないな。

 ならこの雪みたいなのは何だ?触っていても冷たくないし雪みたいな触り心地でもない。とてもさらさらしていて手ですくっても指の間からこぼれていってしまう。



 と、空から降ってきた粉が驚いて空いている私の口に入る。

 


「…あまい。」



 思わず口に出していってしまった。

 この白い雪みたいなのとても甘い。まるで砂糖を直接舐めている感覚だ。

 


 …まって、私は知っている。雪景色の森なのに全く寒くなくその雪のようなものは甘い…そんな場所を…

 でもそんなことありえない。いや、今の状況は十分あり得ない状況だけどそれでもそんなわけない。「あの場所」に私が来れるわけがない。



 そう思っている私にその考えが正しいことを知らせてしまうものがあった。



 木々の中に一本だけ虹色に輝く木があった。

 それには虹色の実がついていて…



「いや、嘘だよね。嘘って言ってよ。」



 その実の形は…






ケーキの形をしていたのだ。



あんな形の果実。日本どころか世界中探してもどこにもない。

でも、あの果実がある場所を私は知っている。というかさっきまで読んでいた。



「ここ、粉砂糖の森なの…?」



ケーキの実、それは食べると自分が望むお菓子の味、食感となるとても珍しい実。

それは、お菓子の国の近くの粉砂糖の森にある。

普段は大熊に守られているそれは年に一度だけ、一年の最初に一つだけ大熊に取ることを認められる。それには条件があり、大熊に献上したお菓子の中で一番おいしいものを作ったものにのみ渡されるというものだ。それを手に入れたパティシエはその年お菓子の国で一番人気の店になるとされ誰もがそれを狙って腕を毎日磨いている。そんな実だ。


ちなみに「お菓子の国の危機」内においてここ5年はパテリーヌが毎回獲得している。

パテリーヌが9歳のころ、つまりパティシエになって最初の年から獲得しているのだ。

さすが主人公…と私はパテリーヌのすごさに読むたびに驚いているのだ。



話を戻すが、そんな実があった以上私は認めざるを得ないだろう。



ここが「お菓子の国の危機」の中であることを…



(だけど…実の近くに大熊がいないのはなんでなんだろう?)



そう、本来ならケーキの実のなる木の下でいつも過ごしているはずの大熊がいないのだ。

そんなこと作中では大熊がお菓子の国で暴れまわった時しかないはずなのに…



「ってことは…いま大熊がお菓子の国で暴れているってこと?」



もし大熊がお菓子の国で暴れているならそのまま1週間はお菓子の国から移動しないだろう。

物語の通りなら1日暴れて3日押さえつけられて残りの3日は国の復旧作業に力を貸すはずだ。

今が何日目なのかは知らないがお菓子の国に行くのは危険だろう。



しかし、この森に居続けても食べ物とか夜寝るとこっろとかで困ってしまう。

情報収集のためにもお菓子の国に行ったほうが良いのは明白だ。

 今、お菓子の国に行くのは危険かもしれない。ただこのまま粉砂糖の森にい続けても何もできないし何もわからないはずだ。

 最終的な目標は家に帰ること!

 そのためにもできることをしよう!



 そうやって決意を決めていざお菓子の国に行くことにする。

 一応この森や国の近辺の地図はなんとなくだがわかっている。

 ケーキの木の実がなるところからまっすぐ前へ歩き続けるとお菓子の国にいきつくはずだ。

 そしたら、パテリーヌを探してみよう。この物語の主人公である彼女はいろんな人とすぐ仲が良くなることのできる子だった。なら彼女と出会ってこの国について調べよう。

 なんなら自分の状況を教えて王様に合っていろんなことを聞くのもいいかもしれない…



 そんなことを考えながら歩いていると、

 真っ赤なものが目に飛び込んできた。



 それは、一応は人の形をしていた。体躯は5歳児くらいの身長でとても派手な服装をしていた。

手には金に赤の宝石があしらわれたロッドがあり、靴は真っ赤なとんがりブーツ。服装は真紅のドレス。まるで物語の女王様のような恰好をしていた。


だが何よりも目を引いたのはそれの頭だった。

 一瞬何の形をしているのかわからなかったが、あれはハートだ。

 普通のハートではなく、ハートのいたるところが欠けていて、体には逆さの状態でくっついているようにも見える。見ようと思えば真っ赤なスペードにも見えるかもしれないと凍思った。



 それは私のことをじっと見つめて?口がどこにあるかは知らないが声を出した。



「標的確認。…しかし時間がない。ここは奴をけしかけるとしましょうか。」



そう言ってそれは手に持ったロッドを掲げ、



「来なさい、狂いし森の住人よ。私の望むままに目の前の生き物を食らいつくしなさい。」



 といった。

 するとロッドが光り輝き…



「キャッ!」


 

 思わず声が出てしまった。強烈な光が目に飛び込んできた。

 そして目がこなれてくるとそこには…



「GAOOOOOOOOO!!!!!!!!」



 かなり大きなクマこちらをにらみ吠えている光景があった。。



「……きゃあああああああああああああ!!!!」



 いきなり目の前に大きなクマが現れ今にもこちらに向けて走り出しそうな体制でにらみつけているの!怖い怖い怖い怖い……!



 しかし熊はすぐには襲ってはこなかった。

 相も変わらず恐ろしい顔でこっちをにらんでいる。しかしそこから動くことはなかったのだ。

 ただ危険な状態に変わりはない。下手をすれば一瞬で頭をガブリされて死んでしまう!

 


 慌てながらも一つの異変に気が付いた。

 真っ赤なかけたハートの頭をしたなにかはもうこの場にはいなかったのだ。

 いつの間に消えていたのかはわからないが私が目をくらましている隙にもうこの場から離れていたのだろう。


  

 って!そんなこと気にしてる余裕はない!どうすればこの危機から脱出できるのおおおおお!







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