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第五十四話 銀の蔵

 木寅には「また改めて来るよ」と言い残し、守貴は家を出た。

 即座に重蔵に話しかけようとしたが、指で静かにと合図されて黙る。

 そのまま元来た場所へ戻り、そこに居た者も含めて、皆で斜面を下りた。


「何が、あったんですか?」


 藪を突き抜け、道に戻った辺りで一人の男が問い掛けるが、重蔵は敢えて冷たく応える。


「話は戻ってからだ」


 先ずは知り得た情報を村長に知らせ、対応を考えていただかなくてはいけない。




 村に残っていた者は、逃げる準備を進めていた。

 少なくとも、当分の間生活できるだけの物を持ち出さなければならない。

 そこへ、予定より早く重蔵たちが戻り、全員が村長の館に呼び集められた。


 村人たちが揃う前に、重蔵は先ず、村長に事の次第を説明していた。


「銀の蔵。それに、お社の奥に洞窟、か」


 重蔵は深々と頭を下げ、自分の考えを述べる。


「子供の言う事ですが、信じるに値すると考えました」

「うむ」


 信頼する部下の判断を、疑ったりなどしない。

 そうである事を前提に、どう動くかを考える。


「お社の入り口は、一つだな」

「把握している限りは、ですが」

「誰か、見張りを上げておいてくれ。守衛が夜通しなのか、交代制なのか、把握した上で対処しよう」

「はっ」


 重蔵はすぐに、自分の右腕と呼べる男を見張りに派遣した。

 丁度、他の村人も集まったようで、一応、外の様子を窺った上で、戸を閉めた。


「さて、新しく判った事がある。重蔵、話してくれ」

「はっ」


 応えて、状況の説明を始めた。




 夜半、湯山の(はち)と呼ばれる火口の一つに、研究所の一団は到着していた。

 湯山は、噴火の度に火口が変わると言われている。

 この鉢も随分昔に噴火したのであろうが、今は真ん中辺りに水が溜まって池のようになっていた。


 ここが、術の実験場である。


 湯山(ゆのやま)連山(れんざん)の中でも西寄りにあり、街道からは遠く見えない。

 余程の大きな音を立てても、誰も確認には来られない場所だ。


 運び屋たちは鉢の外側、少し斜面を下がった辺りに荷物を降ろし、祭壇を組み始める。

 技術官と神祇官は池を見下ろす位置に立ち、術の発動実験について打ち合わせを始めた。


 段取りとしては、先ず、池に向かって術を放ち、威力、効果範囲などを調べる。

 それが何人拝みの術に相当するかを推測し、同時に人体術札の状態を確認する。

 術札が連続使用に耐えられそうであるなら、下の祭壇で再び祈祷を行い、もう一度同じ実験を繰り返す。

 その結果、一回目と二回目で威力に差が出るのかを確認し、再度術札の状態を確認して、今回の実験は終了となる。

 その後、祭壇等を片付け、研究所に戻った上で、改めて得られた結果を調べる事に成っている。


 予定に変更は無い。


「よし、術札の包みを解いてくれ」


 荷車から人体術札が降ろされ、実験が始まった。




 衛士の夜番が二番制の場合、大体夜半が交代の目安である。

 動きがあるとするなら、そろそろのはずだ。


 重蔵に命じられた草の者は、文字通り草に紛れて身を伏せていた。

 今夜は雲も無く、空気は透き通って、深々(しんしん)と冷え込んでいく。

 白い息を吐かないように鼻と口を布で覆い、ただじっと、お社の前を見つめていた。


 不意に、足音は左の方から聞こえてきた。


 家の方から? 交代が来たのか?


 そう思ったが、一瞬で考えが変わった。

 足音は複数、それも、二人や三人では無い。


 やがて、明かりを持った男たちが、三々五々(さんさんごご)、お社の前庭に集まり始めた。

 合わせるように、社務所からも人が現れる。

 皆それぞれ、何かを話しながら北の方角を眺めていた。


 まさか、自分たちの事がバレたのか。

 この寒い中、冷や汗が伝うのが判る。


 だが、集まった者達は警戒していると言うより、どこか楽しそうで、指さす方角は鳥居のある真北では無く、やや西に寄っている。


 そちらに、何がある?


 疑問に思って振り返った、その直後、白い光が見えた。




 その光は麓の村、お社へ向かう坂を登ろうとしていた者達にも、よく見えた。


「なんだ、今のは」


 湯山の向こうに、白い光の柱のような物が立ち上がり、暫くすると、すうっと消え去った。


「実験……、あれがまさか、言っていた実験か」


 木寅の言葉を思い出し、重蔵が言葉を漏らす。


「そうか、神の力を借りる、その実験か」


 村長も呟いた。

 神の力を借りて超常の現象を起こす、術者と呼ばれる人間の事を、勿論彼は知っている。


「それにしても、あの明るさ。尋常じゃ無いな」


 今まで見た術者は、精々、火の玉を放つか、雷を落とすかぐらいだった。

 それでも、凄い事だと感心していた物だ。


「合点が行った。あのお社が秘密である理由。朝廷の術者たちの施設だったのか」


 恐ろしい物を見てしまったかも知れない。


「如何為さいますか」


 重蔵に問われて、暫し考える。

 敵に回してはいけない相手だ。

 だが、好機は今しか無い。

 散々焚き付けておきながら、やはり止めようと言って、皆が納得するであろうか?


 きつく目を閉じ、俯いた。

 今しか無い。

 今しか無いのだ。

 奴らから()げられるのは。

 この生活から()れられるのは。


「行こう。あれが、……あの連中が戻る前にできるだけ遠くまで逃げねば成らん」

「はっ。その通りです」


 重蔵は深く頭を下げ、同意を示した。




 光が消えて暫くしても、お社の前に集まった人々は同じ方に向かったままだった。

 明らかに、何やら楽しげであるが、会話は全く聞き取れない。


 男は依然草むらに伏せたまま、ただじっと様子を窺い続ける。

 自分では、何が起こっているのか判断出来ない。

 だからこそ、見たままを、全て主に伝えなくてはならない。

 目を凝らし、何も見落とすまいと観察する。


 突然、二度目の歓声が上がった。


 また何か?


 振り返り、湯山を仰ぐ。

 先ほどの光の柱のような物とは異なり、僅かに赤い光が見えた。

 山の端に、チラチラと仄めく、それは炎というより、まるで溶岩ような……。


 ゴオォォォォォォーッ!


 赤い光から随分遅れて、地響きのような、土砂崩れのような音が響いた。

 男は目を細めて、音の方角を睨む。

 あれが発した音であるのは間違いないだろう。

 ただそれは、火山の噴火の音とは確実に違う。


 何だあれは。


 自問しながら、お社の人間を振り返る。

 彼らはまるで良い事があったかのように、手を叩き、喜び合っていた。


 大きく唾を飲み込み、男は深く身を潜める。

 つまり彼らは、あの現象が起こる事を知っていて、それを見る為にここに集まっていたのだ。


 相変わらず声は聞こえないが、集まっていた者達は終わった終わったと言わんばかりに、バラバラと元来た方へ帰り始める。

 その中で二人、篝火の前に立っていた衛士たちに近付く者が居た。

 手を挙げ、挨拶を交わし、槍を受け取る。

 そして、槍を渡した方の二人は、他の者達と同じように、家のある方へと帰って行った。




 お社の鳥居から三十間ほど下がった辺りで、重蔵は男からの報告を受けていた。

 村長も隣りに立ち、それを聞いている。


「よく解った」


 得たい情報は得られた。


「あの光が、お社の連中の実験であったのは確実ですね」

「ああ、間違いない」


 何をやったかまでは解らないが、予定通りの時間に、予定通りの実験が行われ、成功したのであろう。


「だとすると、奴らが戻ってくるのは、夜明け頃か?」

「恐らくは」


 ならば、夜明けまでに、できるだけ遠くへ逃げなくてはならない。


「この時間に守衛が交代したのなら、次は朝まで無い筈だ」


 それを確認する為に、見張りを置いていたのだ。

 今、お社の前に立っている二人を片付ければ、ある程度の時間は稼ぐ事ができ、侵入は難しくない。


「あの二人、どうやる?」

「お任せください。見たところ、衛士のフリをしているだけの素人です」


 篝火を自分の近くで焚くのは、明かりを得る為、暖を取る為、そして守衛している事を侵入者に見せる為である。

 だが本来は、侵入者が来るであろう方向、ここでいえば鳥居の脇にも立てておくべきだ。

 今の状態は、夜陰に紛れて近付く事を容易にさせている。

 更に二人居る守衛が、隣り合って立っているのも良くない。

 これも本来ならば、互いの死角を補い合う為に、離れて立つべきだ。


 彼らは間違いなく素人であり、彼らに指示を与えた者も、守衛という仕事に詳しくない。

 あれでは獣の類いは防げても、悪意ある人間を防ぐ事は出来ない。

 そもそも、悪意ある人間の攻撃を想定できていないのだろう。

 いっそ笑ってしまうぐらい、ここの連中は無知で不用心だった。


 地面が凍てつき始め、歩けば足音が鳴ってしまう。

 重蔵は三人の部下を引き連れ、家のある方から斜面を上がり、先ほど帰宅した人達の足跡を踏んで歩く。


 篝火の放つ光が、逆に視界を減らす。

 姿勢を低くして一列に並び、火に隠れるように素早く近付いて、お社の板垣の影に飛び込んだ。


 ザッザザザッと、音が鳴る。


「なんだ?」


 音に釣られてそちらを見るが、足跡を見つける事は出来ない。

 一人が篝火を確認し、そのままノコノコと板垣の端に近付いてきた。

 覗き込んだ瞬間。

 重蔵は相手の口を塞ぐように顎を掴み、引き寄せながら首を斬る。


「……っ!」


 悲鳴を上げさせないように一瞬置き、後ろへ投げ捨てた。


「どうし……」


 もう一人が異変に気付いて視線を向けた時には、重蔵が躍り掛かっていた。

 目立つ所に鮮血を飛ばす訳にはいかない。

 口を押さえて首に腕を回し、体をぐるりと振り回すようにして、捻った。

 そのまま相手の体重を前に、自分の体重を後ろへ掛ける。

 ゴキリと嫌な音を立てながら、うつ伏せに倒れた男の首は、有らぬ方を向いていた。


 こちらも一瞬置き、絶命を待ってから引き起こして、板垣の影に抱え込む。

 先に殺した男は、既に衣服を剥いでいる所だった。

 多少血が付いてしまったが、やむを得ない。


 念のため、守衛の装束を纏わせた二人を、見張りとして置いていく。

 最終的に、獲物を運び出すには人手がいるが、まずは少人数で忍び込む事にしていた。


 重蔵が通った跡を、それこそ、足跡を重ねるようにして数人が拝殿に忍び寄った。

 その中に村長がいるのは先に話し合った通りだったが、守貴も混ざっているのを見て、顔を(しか)めそうになる。

 彼は若く、経験が少ない。

 そして何より、黙っている、動かす待つ、が出来ない。

 不満はあるが、主の決めた事であるなら、無言で従うのしかない。


 後から来た部下に、箱のような手持ち行灯を持たせておいた。

 それには開閉式の窓があり、開けると一方向にだけ光を放つ事が出来る。

 重蔵は素早く拝殿の戸を調べると、ゆっくりと、音を立てないように引き開けた。

 見張りの二人を残し、一同が土足のまま上がると、同じくゆっくりと戸を閉める。


 そして、ふうっと深い息を吐いた。


 もう、後戻りは出来ない。

 村長と目を合わせ、一つ頷くと、次は拝殿の奥にある本殿へと向かった。


 拝殿は、昼間は開け放たれている。

 重蔵も拝殿越しに本殿を見た事はあった。

 だが、近付くのは勿論これが初めてだ。


 耳を押し当て音を聞く。

 無音。

 中に人の気配は無い。


 扉を調べれば一目瞭然、頻繁に開け閉めされた跡がある。

 錠も掛かっていない。

 そっと開こうとすると、木の(こす)れるギギっという音が鳴った。

 一旦手を止め、油を流し、再度引き開ける。


 片側を開いただけで、通り抜けるには十分な幅がある。

 重蔵はスルリと本殿に入り込み、辺りを照らす。

 探すまでも無く、正面に先ほどと同じ大きさの扉があった。


 同じように、音を聞き、気配を探り、今度は先に油を差して扉を開く。


 開いた瞬間、風を感じた。


 目の前に広がるのは、確かに洞窟。

 それは思っていたよりも遙かに広々とした空間だった。


 少し先に、小屋のような物が見える。

 更に、所々で小さく明かりが灯っていた。


 成る程、ここで生活している者もいたのか?


 重蔵は一度戻ると、皆に見た物を伝え、そして、改めて釘を刺した。


「人が居る可能性があります。決して言葉を発しないように。明かりはあるようですが、足下には十分気を付けてください。それと、待ての合図をしましたら、必ず止まってください」


 今更そんな注意を必要とする者は、一人しか居ない。

 出来れば置いていきたいが、そんな事をすれば、恐らく勝手に歩き回ってしまうだろう。

 そう言えば、雲雀という女も今この中にいるはずだ。


 重蔵は地面に手を着くほど背を低くして、一同に先行する。


 歩きながら確認すれば、手前の小屋には草履が揃えてあった。

 やはり、人が居る。

 チラリと後ろを確認すると、すぐ後ろに付いていたのは村長だった。

 目配せして、頷き合う。

 それだけで強い安心感を得られる。

 再び前を向いた重蔵は、小さく笑みを溢した。




 ざっと確認しただけでも、洞窟は広かった。

 何カ所かの分岐があり、所々に小屋のような部屋があった。

 ありがたい事に、草履の有無で人が居るかどうかは確認が出来る。

 なるべく音を立てぬように、行っては戻りを繰り返しながら、蔵らしき物を探すが、見当たらない。

 最も怪しいのは、洞窟を分断するように建てられた門であろうか。


 振り向き、村長に確認する。

 ニヤリと笑うその表情から、同じ判断だと確信して、門へと向かった。


 門は幾つかあったが、一番怪しいと思われる物を最初に当たる。

 高さ二間、幅三間程。堅い木製で、閂はこちら側に掛かっている。

 常識で考えれば、向こうからの侵入を防ぐ為の門だ。

 ひょっとすると外へ続いているのかも知れない。


 音は無し。振動も無し。

 ならば、直接外に出る可能性は低い。

 そっと閂を外し、僅かに開いて覗き込む。

 この先に、明かりは無いようだった。


 閉じ込められないように閂は内側に持ち込み、その上で門は閉め寄せておく。

 案外これだけでも見落として貰える事が多い。


 ここからは再び、持ち込んだ明かりだけが頼りになる。

 前方を照らし、足下を照らしを繰り返しながら暫く進むと、またしても門があった。

 先ほどと同じく、こちらに閂がある。

 ただ、前の門より一回り大きく、材も太く厚い。

 まだ左に道はあるが、重蔵はここを開けて進む事にした。


 門を抜けると、見える距離に分岐があった。

 だが、その分岐の右側はすぐに突き当たりになっており、奇妙な戸が据え付けられていた。

 それは、独特の光を反射する、金属の扉。


 ゴクリと、唾を飲み込んだ。

 どうやら、当たりのようだ。


 今日、何度目かの大きな息を吐く。


 辺りに小屋は無く、人の気配も無い。

 近づき、調べようとすると、背後から言葉が漏れた。


「これ、銀?」


 振り返り、睨み付ける。

 人の気配は無いが、絶対に居ないという訳では無い。

 ただ、思わず声を出した気持ちも解る。

 確かに、扉が銀。

 それどころか、閂まで銀で出来ているようだ。


 これを作った人間は、頭がおかしいのではないかと思った。

 何とも、馬鹿げている。

 閂に手を掛け取り外そうとすると、異様に重い。全てが金属であるのは間違いない。


 まさか、銀の蔵は、銀を収める為の蔵では無く、銀で出来た蔵なのだろうか?


 ますます馬鹿げた事を考えながら、銀の扉に付いた取っ手を掴み、力一杯引き開けた。


 中は、暗闇だった。


 床に置いた手持ち行灯を取り直し、差し向けながら覗き込む。

 すると、向こうの壁に光が反射して見えた。


「なっ、なんだこれぇっ!?」


 散々注意したにも関わらず、守貴が奇声を発した。

 口を押さえようかと振り返った重蔵を押し退け、扉の中に入って行く。


「何だこれ、凄いっ、凄いっ! 重蔵っ! 早く明かりを!」


 頭を抱えたくなるような思いで後を追い、そして言葉も無く立ち尽くした。

 そこは、まさに銀の蔵だった。


 壁一面が銀。

 それどころか、天井も、床も全てが銀。

 銀で出来た蔵なのではないかという予想は、ある意味当たっていた。

 だが、それだけでは無い。


「なっ、なんと……」


 村長ですら、思わず声を漏らした。


 先ず目を引くのは数領(すうりよう)の銀の鎧。

 胴や兜は勿論、籠手や大袖まで銀で出来ている。

 そして巨大な銀の楯。

 白木の鞘に収められてはいるが、恐らく銀の太刀。

 穂先が銀で出来た槍。

 同じく、(やじり)が銀の矢。

 それらはまだ作り途中なのか、穂先だけ物、鏃だけの物がずらりと棚に並んでいる。

 その他、いったい何に使うのか解らない道具や、銀で出来た箱もある。


「そうか……そういう事か」


 不意に確信を得た。


「これは、鬼と戦う為の武具だ。ここは、鬼と戦う為の兵庫(ひようご)だったんだ」


 秘密裏に行われる祭祀も、実験も、全てが鬼と戦う為の物。


「あー、成る程、そうか」


 脳天気な声で守貴が応える。


「銀で作っている物を、雲雀さんは色々って言ってたけど、神社だから、鏡とか太刀とかだと思ってたんだ。成る程、それでこんな物があるんだ」


 そして最後に、こう言った。


「凄いよ、大儲けだね」


 これらを全て売り飛ばせば。

 いや、持てる分だけ持ち出しただけでも、暫く遊んで暮らせるだろう。 


「なんと、これは」

「うおぉぉ、何じゃこりゃあ」

「おおお、これが、全て銀かっ!?」


 他の者達も、蔵に入ると口々に言葉を発した。

 最早、声を上げる事を止めるのも馬鹿馬鹿しい。


「これは、何だろう」


 守貴は部屋の中央に置かれた、祠の様な物を指さした。


「お社みたいだけど。……うわ、これの閂も銀だよ、全部銀だ」


 言いながら、その銀で出来た閂を外して、自分の物であるかのように胸に抱える。


「これ、絶対良い物が入ってるよね。何が入ってると思う?」


 笑いながら、軽く片手で扉を引くと、次の瞬間、爆発的な勢いで押し開けられた。

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