第三話 ホットケーキやいたぞー???
いらっしゃいませ~!
ある夜のこと―
閑古鳥が鳴いているガラガラの小料理屋『ボンズ』に、一人のプレイヤーが入店してきた。
「へい、らっしゃい!」
「らっちゃいまちぇー!」
りゅうとラテっちが元気よく出迎えると、入店してきたプレイヤーが、少し落ち着きなく席に座った。
「ごちゅーもんは?」
ラテっちが注文を聞く。
そわそわしながら、プレ……いや、お客さんが指さす。
「この、米・みそ汁・玉子・酒以外のものはできるのかい?」
「材料があればできるよ。何食べたいの?」
それを聞いたお客さんは意を決したかのように、りゅうに問いかける。
「……パン――いや、ホットケーキが食べたいんだ!できるか?」
「ホットケーキかぁ……玉子入れるからできると思うんだけど―ねぇラテっち。材料ある?」
「もちろんありまちゅ! それじゃ、じゅんびちまちゅね!」
「本当!? やったー!!」
嬉しそうにガッツポーズをとるお客さん。
―と、ここでラテっちは金物のボールとハンドミキサーを用意する。
「よし。おちゅぎはっと……」
金物ボールにどこで手に入れたかわからないホットケーキの粉を入れ、そして玉子を投入。さらに牛乳を加えて、ハンドミキサ―で混ぜ合わせる。
「いいね! いいね!!」
お客さんはもう興奮状態だ。
「さて、じゅんびかんりょうでちゅ。さっそくやきまちゅ!」
熱したフライパンにバターを入れて、完成したホットケーキの素を注ぎ込み、あとは焼くだけである。
ところが―
ひっくり返すと、ホットケーキが見事に真っ黒こげに。
「あれれ~? おっかしいぞ~?? まっくろくろすけさんだ」
「君は少年探偵か!? あああ……もったいない…………楽しみにしていたのに…………楽しみにしていたのに!!」
「もー、ラテっちったらー」
「あちゃぱー。ごめんなちゃい。ペコリ」
「…………ところで、ホットケーキの素。まだある?」
お客さんからの突然の質問。
「まだタップリありまちゅ!」
ラテっちがそういうと、お客さんは自ら厨房に入り「フライパン貸して」といい。ラテっちから手渡される。
お客さんが厨房に立つ。―なんとも珍妙な光景だ。
「さっきはどうやって焼いたの?」
お客さんの問いにラテっちは「こうでちゅ」と火をつける。
「ほら、こんな強火じゃなくてね、もう少し弱火でね―」
「ふむふむ」
「ほら、表面に泡みたいな穴がいっぱいあいてきたでしょ」
「ほんとだ!」
嬉しそうなラテっち。
「そしたらここでホットケーキをひっくり返す」
「おー! くろくないでちゅ! きつねさんのいろだー!」
「あとは、フタをして中まで火が通るように焼く」
―そして。
「完成だ!!」
「おぉー!!」
喜ぶお客さんとラテっち。
―と、いうかお客さんに料理をさせてしまった。
すかさず、りゅうが謝る。
「ごめんね。お客さん」
「いいってことよ。無事にホットケーキを食べれることだし。二人の分も焼くから待っててね」
『やったー!!』
こ踊りするラテっち。
「ありがとう。はい、バターどうぞ」
「ありがと。はちみつはあるかい?」
「もちろん!!」
そして、三人そろってホットケーキを食べる。
「これこれ!! これが食べたかったんだよ!!」
「おいしいでちゅ!!」
三人仲良くホットケーキを頬張り、みな満足気だ。
「いやー、この世界でまさかコレを食べれるとは思わなかったよ! 勇気を出してこの店に来てよかった! 最高の気分だ!!」
心から喜ぶお客さんを見て、りゅうもラテっちも嬉しそうだ。
「それじゃ、お勘定を……:
―と、ここで、りゅうから―
「お題は受け取れないよ。それに、これでラテっちのレシピが増えたし、何より作ってもらったのはこっちなんだから。その代わり、また一緒にホットケーキを食べたいから、また来てね!」
「もちろん!」
「ありがとでちたー! またきてねー!」
「――なんて不思議な店なんだろう。でも久々のホットケーキを心ゆくまでたべられたから、良しとするか!!」
またのごらいてんを、おまちしていまちゅ!