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第四章の施設、道具、魔術

四章でいろいろと施設や道具、魔術が登場したので整理してみました。


◆施設、機材、道具


【ビクトリア級大型帆船】

街エルフが建造している大型帆船シリーズの最新型であり、航行速度と積載量に比重を置いたそれまでより一回り大きい船体が特徴。過去の大型帆船と同様、二重船殻、光学迷彩、魔導推進、耐弾障壁、誘導弾発射機、大量の空間鞄といった定番技術が採用されている。船体自体が膨大な魔導具の集合体であり、最初の一隻目を建造した際には国家予算のかなりの割合が投入されたという。それだけ街エルフの将来を担うものとして期待されていると言えよう。

アキも言ってるように、街エルフの大型帆船は、探査船であり、交易船であり、客船でもあり、そして竜と戦闘しても帰港できるように設計された軍艦でもある。

帆走と魔導推進のハイブリッドであり、その航行性能は帆走の理論値を超え、弱点も補っている。また、陽光から魔力を蓄積することも可能で、数年に渡って無寄港で航行し続けることも可能である。四十枚近い帆はほぼ魔導具による自動制御で常に風を捉えるための最適な角度を維持できるため、航行に必要な最低人員数は驚くほど少ない。

例え、全体の三分の一が損壊したとしても修理できるだけの交換部品と、何年か無補給でも船員を養えるだけの食料を搭載し、何百人もの海兵人形も積んでいたりと、船体規模に比べて持てる能力は突き抜けたものがある。また、秘密装備として転移門も備えており、魔力効率は酷いものだが、母国や遠隔地の船団との情報交換、人工衛星から周辺情報まで得る事ができるので、余程の事態でも、逃走は可能と船員達から全幅の信頼を得ている。

これまでに、持てる戦力を全力で投入するようなレベルの戦闘が発生していないのは幸いなことだろう。


【森エルフの弓、矢筒】

友の木と呼ばれる樹木から枝を貰って作るワンオフのベアボウ。所有者は加護のおかげでとても軽く引けるが、そうでない人が引こうとしても五人がかりでも引けないほどの強弓である。

森エルフが非常識な射程、威力、連射速度、命中精度を誇るのは、この弓の特性に寄るところが大きい。

森エルフの矢筒は常に二本だけ矢が入っているように見えるが、空間鞄としての機能を有しており、一本取り出すと、新たに一本現れる。二本あるのは、魔術付与のあるなしで矢を使い分けるため。

矢を撃ち尽くした森エルフを見た事がないと言われており、膨大な数の矢が収納されているのは間違いない。


防空施設(バンカー)

虎の子の大型帆船が天空竜に破壊されては堪らないので、乾ドック自体を偽装した山で覆い、その偽装自体も竜の吐息(ドラゴンブレス)に耐えるよう頑丈に作った施設。勿論、一発、二発耐えられるという程度の強度に過ぎないが、それでも街エルフ達が、帆船をどれだけ重視しているのがわかろうというもの。

天空竜と街エルフの間には協定が締結されてはいるのだが、それでもヤンチャな天空竜が出てこないとも限らない、そう街エルフ達は考えているのだ。

ヤンチャな天空竜は追い払いました、しかし帆船は消し炭です、では話にならない。そんな訳で作られた施設なのだが、若い世代からは過剰防御過ぎる、維持費がかかり過ぎる、と予算編成のたびに文句が出ているらしい。


【貨幣】

街エルフが大量生産しており、偽造防止用の魔法陣が鋳込まれている。同じ機能を作っても、街エルフほど安く作れないので、偽造する意味がない。貨幣の魔法陣を意図的に壊すのは本来は犯罪行為。税関では特別に許可を得ていた。高額な貨幣程、魔法陣は複雑怪奇と化していき、手形ともなれば、街エルフであっても複製は不可能である。


【減揺装置】

巨大な力を魔術によらず制御しようとすれば、やはり似た仕組みに落ち着くというもの。科学式装置は魔力を使わないか、使ってもごく僅かなので高級品扱いされている。


【光通信施設】

バケツリレー式に街エルフの国とロングヒルの間の通信を可能とする施設。盗聴防止、データ補正など工夫しているので、情報の秘匿は大丈夫。ただ、設備の小型化はまだこれからの課題のようだ。ただ、建物自体は地味でこれと言って特筆すべきところはない。これまでは大して使われていなかった施設だが、五章からは性能限界に挑むような使われ方をする事に……


【ベイハーバーからロングヒルまでのルート】

行きたいところを先に決めてから、それらを繋げるルートを整備したせいで、道のりは実はかなり遠回りだったり、費用のかかる施工方法がとられていたりする。馬車が通れるよう一車線幅で作られているが、流石に道幅は余裕があるとは言い難く、御者にとっては気が抜けないコースと言える。

作ってはみたものの、コスパは最悪レベルであり、ミアが私財を投入してなければ、とっとと廃止されていたことだろう。


【連樹の森】

樹々が共に助け合い、水や栄養、魔力も融通し合うという特殊な生態系を形成している。全体が群体として動くため、危険過ぎて、この森には森エルフすら立ち入ることはない。山一つを覆う程度で、それ以上広がらないため、棲み分けができているようだ。

巫女の一族とは、カルデラ湖の魚を間引く代わりに加護を与えるという関係。また、自分達が動くと大事になるので、森の中の細かい話も巫女達に対応させている。巫女の一族も森の中では安全で安定した暮らしができるため、互いに現在の関係を好ましいものと考えているようだ。


【大使館】

ロングヒルにある街エルフの大使館であり、大使館領と呼ばれる治外法権の広大な森の中にある。結構な広さがあり大使達の居住施設も兼ねている。空間鞄を活用した兵舎もあり、魔導人形の兵士達のほとんどは空間鞄の中に放り込まれている。大型帆船ほどではないにせよ、魔導具だらけの建物であり、ここを拠点に籠城戦もできるよう、それを前提とした造りになっている。ただ、アキの接触に一般の魔導具は耐えられないため、アキが大使館に入ることはないだろう。別邸に対する光通信の中継機能も増設された。


【別邸】

作ったものの、使われる事なく放置されていた閣僚向け宿泊施設を、使えるように整備し直した建物である。そのため、古めかしい街エルフ様式で作られていて、森に埋れているような印象を受ける。大使館領の一番奥にあり、護りは堅いのだが、遠くて不便なのも使われなくなった原因である。



◆魔術、技術


【風の円舞曲】

指定した地点、あるいは人物を中心とした半球状の風の結界を生成する魔術であり、目的は会話の漏洩防止。なので特に攻撃を防ぐような機能はなく、視界を邪魔することもない。中の音が風にかき消されて消えてしまう効果がある。実は術者が制御するのは無茶であり、ケイティも発動した後の制御は、魔導杖の魔法陣で行っている。


【心話、伝話、伝文、思念波】

なんか似たような単語が並んでるが、心話は心を接触させて意思疎通を図る技術で、感情とか細かいニュアンスまで伝わるのが利点であり欠点。また、相性が良くないと成功しない制限もある。一度、経路が確立してしまえば、距離に関係なく心を触れ合わせる事ができる。ミアの場合、夢の中で居室を構築してマコトとその部屋の中で会って、心を接触させて話をするという複合技を行使しており、それは単なる心話より数段難度の高い魔術と言える。

伝話は妖精が編み出した空中管制をスムーズに行うための技術。文法がガチガチで誤解を招かないよう使える単語や言い回しまで細かい規定がある。

伝文は街エルフが運用している拠点間レーザー通信で使う通信用フォーマット。符丁を発展させたデジタル通信であり、電子メールのような1対nの発信は想定されていない。秘匿通信なので初めから暗号化、盗聴防止は考慮されている模様。(だから設備が大型化する……)

思念波は竜族が用いる近距離会話技法。相手に向かって意思を叩きつけるような荒っぽい技法であり、膨大な魔力があるからこそできる力技と言える。心話と違うのは送信のみである事、相手との相性は関係ない事、なんらかの方法で相手の相対的位置を把握しないと使えない事。



◆その他


【マコト文書】

これは異世界に住む少年マコトとの会話を綴った手記であり、その量は膨大で、内容も驚く程多岐に渡る。

書籍化もされており、読んでいる者も多いが、それでも大半の人は抜粋版を読んでいる程度に過ぎない。

『マコトくん』の信者が読んでいるのもこの抜粋版である。副読本としてダニエルが書いている解説本もそれなりに読まれていたりする。

書籍化されている内容は有用と判断されるか、公にしてもよいとミアが判断したものに限定される為、文書全体からすれば公開されていないもののほうがずっと多いのだが、ミアが公開してもいいと判断した中には、マコトが「ミア姉と結婚する」と宣言した内容なども含まれており、その判断基準が公正かどうかというと疑問は残る。閲覧制限がかかっている内容も多いが、一応それらについても分野ごとの抜粋版は作成されていたようだ。

ウォルコットいわく『五千年の歴史と百億の民の叡智の結晶』とのこと。そのため、マコト文書に誰よりも精通しているアキが重要な位置を占めているのは間違いない。

ハヤト、アヤ、リア、それとロゼッタが非公開部分も含めて、ほぼ全てを読んでいるが、それは家族であったり、秘書であったりしたためであり、極めて特殊な事例と言わざるを得ない。

評価ありがとうございました。執筆意欲がチャージされました。

本文での説明と重複して同じ内容を書いても意味がないので、内容は少し別の視点から書いてみました。

次回から五章スタートです。ロングヒルでの新しい生活が始まります。

投稿は、一月二十日(日)二十一時五分の予定です。

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『彼女を助けようと異世界に来たのに、彼女がいないってどーいうこと!?』を読んでいただきありがとうございます。
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