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4-13.アキのターン(後編)

前話のあらすじ:現役の最新鋭大型帆船の船長と話ができる、ということで張り切ったアキは、緊張をほぐすための軽い話題でアイスブレイクをしてから、船長だからこそわかる話題として、海竜をソナーで識別する当たりの話から切り込みました。

 地球あちらにはない海竜に関する話も聞けて、僕なりの提案もできたし選択は悪くなかったと思う。


 じゃ、次手はどーするか。


 船長は外交官としての立場も兼ねていて、他国との交渉においてもかなりの権限を与えられているとは思うし、そっちはそっちで苦労話は山盛り聞けそうではあるけど、それが僕の期待する話に繋がるか、というと微妙。

 二隻で船団を組んで航行するなら、船団を纏める意味での苦労話……といってもレーザー通信ができるから連携プレイはお手の物。

 通常時の仕事の話は、ケイティさんに聞くなり、後で他の人に聞くなりしても、得ることはできると思う。

 となると、やっぱり非常時に繋がるような話題がいいね。


 最終的に船長が判断を下さなくてはならない、誰が選んでも同じ答えならそもそも船長も苦悩しない。

 そんな話に繋がる話題といえば……。


「ケイティさん、こちらでも極地方は氷に閉ざされているんでしょうか?」


 以前、見せて貰った世界白地図は、ほんとに海岸線が描かれていて、海と陸地が区別できるだけだったから、極地方の様子がいまいちわからなかったんだよね。


「はい。まだ船舶による探査は行われていませんが、氷に覆われた広大な地域がある事を確認しています」


さすが街エルフ。伊達に静止衛星と極周回軌道衛星を唯一運用できてる国家だけのことはある。他国の保持情報との比較で言えば、他国は大航海時代前夜くらいの地理情報しか把握できていないところに、現代並みに人工衛星からの探査で惑星全体の地理情報を把握できているという差なのだから、チート国家も甚だしいことこの上ない。


「そうすると、氷山も流れてくる訳ですね」


コップに入れた氷を見ればわかるように、氷は全体の九割が水面下に沈んでいる。だから、小さく見えても実際には巨大な質量を持つ危険極まりない代物だ。


「氷山というとアレか。タイタニック号の悲劇って奴だな」


不沈船と謳われた五万トンもの豪華客船が、処女航海で氷山に激突して、僅か二時間四十分後に沈んでしまったという悲惨な海難事故だ。映画の題材にもよく選ばれているから知っている人も多いと思う。


「あ、ミア姉が紹介していたんですね」


「船乗りの必読本だぞ。当然、俺も読んでる。船の大きさや船員の人数はともかく、置かれた状況の酷さは、よくもまあ、そこまで悪い要素が重なったものだと思ったもんだ」


「新月の夜、波一つない海面、そして巨大な氷山ですからね。船の大きさや人数に何か疑問がありました?」


「流石にビクトリア号の四、五倍程度の船に、二千人を超える乗客、船員がいたというのは、話を盛り過ぎだろ?」


あぁ、船体規模に対して人数が多過ぎる、と。オリンピック級としては確か本来は四千人近く乗せられる設計だから、乗客は実は定員の五割程度と少なめだっただけど、話が変な方向に進みそうだから、そこは触れないようにしよう。


「んー、あの船体規模だと、現在基準だと乗客人数は確かに多い気はします。でも悲劇の豪華客船ではありますけど、百年も前の話ですからね。あ、こちらのように半年、一年と航海するのではなく、一週間程度で航海を終える事を前提にしてたのと、一等客室はともかく、二等、三等と客室ランクが下がると、共同部屋になったりして、一人当たりのスペースは狭くなってたはず。あと、そもそも船の設計がこちらと根本から違うせいだと思いますよ」


「ほお」


「動力船なので、高いマストが不要で、デッキもビクトリア号は最下層の二重底を入れて五層ですが、タイタニック号は九層ありますからね。あと何と言ってもタイタニック号は客船であり、地球あちらには海竜もいないので、軍艦のように分厚い装甲なんかもありません。それだけ違いがあれば、乗員数が多くなるのも当然でしょう」


「デカイだけの箱物って訳か」


プラモデルとかで、第二次大戦時の日本海軍の空母と戦艦を比較してみると、そのサイズの違いがよくわかる。重たい装甲とでかい大砲を抱えた戦艦はできるだけ船体サイズを小さく作られているのに対して、飛行甲板という横幅三十メートル×長さ二百五十メートルもあるバカでかいものを抱えている空母は航行機能を持った巨大倉庫といった感じで、ボリューム感が全然違う。


「客船は荷物を運搬する船と違い、中身がスカスカの空き部屋だらけですからね。見た目が巨大でも実は軽くてトップヘビーにはなりにくく、航行時の燃費も悪くないんです」


「――なるほどな。航海における前提条件が違い過ぎる訳か」


「あと、目的も、ですね。現代において、地球あちらでは船舶での移動は荷物運搬を除くと、娯楽と化しているんですよ」


「娯楽だと!?」


 そう。海の向こうに人を運び、物を持ち帰ることが目的で、そのために暇つぶしの娯楽にも力を入れているビクトリア号とは在り方が全く違う。


「飛行機なら、大陸間でも半日から一日ちょいで到着できるのに、なぜ、わざわざゆっくり波に揺られて航海するのか。それは海を眺めて、星空を楽しみ、巨大な船内にカジノ、バー、映画館、図書館、ダンスホールにプール、公園というようにありとあらゆる娯楽施設を積み込んで、他では味わえない特別なひと時を過ごす為なんです」


「まるで、街を丸ごと運んでるかのようだな。……そんな船を娯楽のためだけに運用するとは、贅沢というか無駄というか」


「一流の船員、一流の料理、お酒、音楽など、言われてみれば贅沢ですよね」


「竜族がいないというだけで、人はそこまでタガが外れしまうものなんでしょうか。あちらの話を聞いていると、欲の果てしなさに恐ろしさすら感じます」


「同感だ。そんな船で娯楽ってことは、決められたコースを、ゆっくり上品に航行して、乗員の皆様には、快適なひと時を過ごして頂くってことか。何とも面白みに欠けるじゃねーか」


「安心、安全に、非日常を体験するためですからね。航海自体にハプニングは不要ですよ」


「そりゃ、客船というならそうだろうよ」


 こちらでは、河川や湖に船を浮かべる場合でも、常に天空竜の襲撃を想定しなくてはならない。それが常識の世界において、云わば、御伽の国とも言えそうな『地球あちら』の客船の話をイメージできるのだから、ファウスト船長はかなり想像力豊かで有能なのだと思う。


「っと、話が横道に逸れましたが、その氷山って、こちらでも実際に航行の障害になったりしているんでしょうか?」


「何回か観測してるぜ。もっとも夜間でも微光暗視機器スターライトスコープや、赤外線観測機器サーマルビジョンのおかげで、遠距離で発見して、余裕で回避している」


「ふむふむ、いいですね。では、濃霧で視界が悪化した場合や、海が時化ている時は何か対策はあるのでしょうか?」


「視界不良に応じて船足を落とし、衝突を回避する運用だな」


 外洋船を運用している国がほとんどない、という話だから、海上で停止するというのは衝突事故を確実に回避できる手堅い選択だと思う。


「霧を見通すような魔導具はないんですか?」


「魔力反応を感知する魔導具ならあるが、そいつで氷山の検知は厳しいだろう。何せただの氷だからな」


「熱源探査も霧には弱いんですよね。そうすると、濃霧の中、海竜や天空竜と遭遇したら、かなり不味い状況でしょうね」


「濃霧の中、飛び回るような酔狂な天空竜はいないと考えていいが、海中から海竜に襲われるなんてのは勘弁して欲しいところだ」


「今までにそんな経験はどの船長も経験されてないのでしょうか? 海底とか岩場で横になっていた海竜が動き出す、とかはありそうで、彼らは空が濃霧でも気にしないと思います」


「……そうそう悪い事が重なる事はない、と言いたいとこだが、嬢ちゃんはタイタニック号の例もある、とそう言いたいんだな?」


「はい。せっかく立派な船なのですから、やはり濃霧程度、気にせず航行できた方が、他国に対しても優位に立てると思うんですよね」


「そりゃ、できればそれに越した事はないが。……何かいいアイデアでもあるのか?」


 話続けて、ちょっと喉が渇いたなと思ったらベリルさんがすかさずお茶を淹れてくれた。

 ちょっと一口飲む間に、何を提案すればいいか考えを纏める。やっぱりこういう場に飲み物は必要だよね。

 話し合いのテンポを調整するのにちょうどいい。


地球あちらの例で行けば、やはり電磁波を用いた索敵、レーダーが最適でしょう」


「ですが、アキ様。電磁波は魔力濃度の違う層で偏向してしまい、こちらでは実用的ではありません」


「そうなんですよね。ところで、その電磁波ですが、波長が長いほど貫通力があり、逆に短いほど対象の動きを詳しく捉えられる利点があります。様々な波長を試したんでしょうか? それに偏向は魔力濃度や波長によってどの程度起きるのでしょう? あと、電磁波の出力はどの程度まで試したんでしょうか?」


「偏向されるとは聞いてますが、何をどれだけ確認したのかは、問い合わせないとわかりません」


ケイティさんが済まなそうに教えてくれた。


地球あちらだと、水平線までの距離の十倍、二十倍という遠距離の飛行する敵を捉えるために、レーダーアンテナの前に人が立つと、こんがり焼いてしまうほどの出力を投入しています」


「レーダーで、ですか?」


ケイティさんの驚き具合からすると、こちらの世界で試作されたレーダーは、せいぜい小型船舶用の小さな出力の水上レーダー程度なんだろう。


「アキ様。なぜそのような大出力を必要とするのでしょウカ?」


ベリルさんが質問してきた。


「レーダーはやまびこのようなものなので、相手に向けて照射して、跳ね返ってきた電磁波を受信して解析します。往復の時間の半分が相手までの到達時間を示すので、それと電磁波の速度を掛け合わせれば距離が出るわけです」


電磁波の速度は秒速約三十万キロメートル、だから例えば三千分の一秒で返ってくれば、五十キロ離れているとわかる。

……よく第二次世界大戦時のアナログコンピュータで、三百メートル単位という精度で距離測定できていたものだよね。


「つまり、遠いほど往復距離が伸びるので、電磁波も強く発信する必要がアルと」


「その通りです。あと、電磁波が偏向されるというのは、発信源に戻ってくる電磁波が減るということですよね。それは地球あちらでのステルス機と同じと言えそうです」


「ステルス機? というか、そいつは飛行機か?」


 電磁波があまり効果的ではないこちらでは、ステルス機の話を聞いてもピンとこなかったに違いない。


「はい。レーダーが発達した地球あちらでは、接近する敵機をかなり遠い位置で捉えて対応できるようになりました。そこで登場したのがステルス機です。飛んできたレーダー波を偏向して、発信元に返る分を極端に少なくするよう工夫した飛行機です。ステルス機相手だとかなり近くに接近されるまでレーダー探知できないので、襲う側のステルス機は圧倒的に優位に立ちます」


「小鬼族の暗殺者みたいなもんだな。気が付いた時にはもう至近距離で、そうなったらもうお手上げって奴だ」


「ですね。あと、濃霧の中、敵側はレーダーで位置を特定して砲弾の雨を一方的に降らせてくるのに、自軍のほうは相手の位置さえ把握できず、逃げ惑うしかなかった、なんて事例もあったくらいです」


「そっちは、森エルフの狙撃手みたいなもんか。撃たれる側は矢が突き刺さるまで、森エルフに気付きもしない」


「互いの認知能力差からすると、良い例えと思います。という訳で、レーダーに頼る状況は限られるかもしれませんが、あるとだいぶ安心できると思うので、技術検証をしてみてはどうでしょうか? うまくすれば、天空竜の方位や高度、速度の詳細情報も取れるようになるかもしれません。あまり迎撃戦なんて考えたくもないとこですけど、光学観測だと点にしか見えないような位置では飛んでる方向や速度を割り出すだけでも大変でしょう? それがわかるだけでも状況はかなり変わると思うんですよね」


 そもそも超遠距離にいる対象を、揺れる船から光学観測し続けるだけでも技術的にも大変そうだ。それに対象が増えたら双眼鏡のような光学式の魔導具だって数が足りなくなってくると思う。それこそ、イージス艦みたいに半径数百キロ内の飛行物体二百程度までを捉えて優先順位の高い十個程度の目標を選んで迎撃、なんて真似をするなら、やはり全周囲レーダーが必要と思う。

……流石にそんなに天空竜が飛んでいるような黙示録の世界は見たくないけど。


「実現できれば嬉しい話だが、あれだ。嬢ちゃんの感覚だと、そいつはどれくらい手間だと思うんだ?」


 良さそうな話なんだが、どうにも手間がかかりそうに思えてなぁ、とファウスト船長がボヤく。


「そうですね、まずレーダーで何を捉えるか、目的を限定したほうが良いと思います。例えば氷山や島影のように大きくて魔力感知では捉えにくい存在を対象として、視界不良時に周辺の地理を把握するあたりで、まずは手を打つのはどうでしょうか。それなら、音紋ライブラリよりは多分、手間はかからないんじゃないかと思います」


「ほぉ」


「音紋ライブラリのほうは、ファウストさんも指摘した通り、海竜の音を集めるのに手間と時間がかかりますからね。レーダーのほうはその点、技術的な難度はともかく、動かない物体相手ならいくらでも試験はできるので、計画を進める上で、待ち時間が発生するようなことは少ないかなと」


 まぁ、レーダーの開発というのに、いきなりスタートラインが対ステルス機用レーダーもどきってあたり、大変そうではあるけど。

 こちらの技術力はかなりのものがあるし、まぁ、なんとかなるんじゃないかな。


「限定された状況設定にはなりますが、海霧により視界が極端に悪化している状況下で、こちらはレーダーを装備していて帆走できる場合、周囲の地形を把握した上で、魔導推進を使わず、帆走のみに限定することで魔力反応を出さずに航行できるというのは、敵に対してかなりの優位性を発揮できるのではないでしょうか」


「そんな想定なら、もはや勝負にならん。――ところで、レーダーだが、照射された電磁波を検知するのは、距離を測るより簡単じゃないか?」


 ファウスト船長がふと思いついたように、質問してきた。なかなか鋭い。


「レーダー技術を持っていれば、照射されたかどうかを認識することは容易です。ただ、その場合、方位分解能は高くても、距離分解能はボロボロ、つまりどっちからレーダー照射されたかはわかっても距離がわからない状況になります。知らないよりはマシでしょうけど、それが有効な反撃に繋がるか、というと微妙でしょう。先ほど話したレーダー射撃された軍の例では、逃げ惑うばかりで反撃どころではなかったそうですから」


「島を把握するレーダーと、敵船を捉えるレーダーは違うもんなのか?」


「かなり違いますね。ほら、レーダーの波長の話をしたでしょう? 相手の位置や移動方向、速度を計測するには波長の短い電磁波が必要なので、照射された電磁波の波長で、相手が地理状況を探索しているのか、敵船の詳細な動きを捉えようとしているのか区別できるでしょう。あ、それと地球あちらでの話ですが、波長が短い電磁波ほど偏向されやすいんですよ。こちらでも同じとすれば、レーダーを使った砲撃は難しいかもしれませんね」


「遠距離攻撃には、誘導術式の付いた飛行杖を使うからそこまで精度はいらんよ。まぁ、有意義な話を聞けたぜ。ちょいと俺のほうから航行補助用レーダーの研究について打診してみよう」


 ファウスト船長も、かなりやる気を見せてくれたようで良かった。

 持ち時間はあとどれくらいかな、と思ったら、ケイティさんが懐中時計を取り出して見せてくれた。

 口に出す前に、さりげなく対応してくれるなんて凄い。


 あとちょっとか。





「ファウスト船長、そろそろ時間もなくなってきたので、長期航海をする上で気になることがあるんですが、質問いいですか?」


「いいとも。で、何が聞きたいんだ?」


地球あちらだと、色々手を尽くしても、長期航海から帰ってくるたびに、何組も婚姻関係が破綻しちゃってましたが、こちらでもそうなんですか?」


「……また、最後に答えにくい話題に踏み込んでくるな」


 ファウスト船長は渋い表情を浮かべて、直接的な言及を避けた。


「やっぱり、同じですか」


「こちらでは、女性も迎撃戦に参加するなど、逞しいですからね。ファウストのところのようにいつまでも新婚のように熱々という家庭ばかりではないんですよ」


 ケイティさんが意地の悪い表情を浮かべて説明してくれた。


「というか、ファウストさん、ご結婚されてたんですか!?」


「そりゃしてるさ。これでも船長っていうのは高給取りで紳士と、婦女子から人気なんだぜ」


 ファウストさんが呆れるように補足してくれた。家庭的な雰囲気が薄かっただけに意外だった。でもまぁ、確かに外交ができるくらい理性的で、優れた能力もあって、高給取りとくれば人気があるのもわかる。


「彼は三男三女の子宝に恵まれた一家の大黒柱ですよ」


「おー。それは奥さん、大変だったでしょう」


「それはもう。というかですね、ファウストの妻は、結構幼い見た目で、美少女と野獣などと称されて、散々揶揄われたんですよ」


「それはそれは……」


 こんな大男なのに、お嫁さんが小柄とは、まぁ恋愛は自由ではあるけど……ねぇ。より取り見取りな立場でありながら、わざわざそういう女性を選ぶっていうのは、つまり、それは、そういう趣味だとか?


「嬢ちゃん、言っとくが、俺は幼女趣味とかじゃねーからな。そもそも――」


 ファウストさんが心外だと言わんばかりに、口火を切ろうとしたところを、ケイティさんが止める。


「貴方の愛妻自慢を聞いていたら、時間がいくらあって足りないので、自重してください。ちなみに二人の結婚式は、二人の職場であった大型帆船を初めて貸し切って、船上で行ったんですよ。それはもう大盛況で、翌日の新聞一面を大きく飾るほどの騒ぎになったほどでした。今でも希望者がいれば、船上結婚式は行われているくらいです」


「素敵ですね~。……二人の職場って、奥さんも船乗りだったんですか?」


「いや。嫁さんはコックをやってたんだ」


「男を落とすなら胃袋を掴め。熱烈に迫って愛を勝ち取ったのはお嫁さんのほうなんですよ、アキ様」


 ケイティさんの言葉に、ファウストさんはお手上げのポーズをしてみせた。


「写真とかあったりします?」


「ロングヒルの邸宅についたらお見せしましょう」


 というか、ケイティさんも結婚式に参列してたんだね。可愛いとはいうけど、狭い船の揺れるキッチンで大人数相手の料理を作るだけの体力があるのだから、結構逞しさもあるはず。どんな人なのかなー。


「最後に、ファウストさん。奥さん、可愛いですか?」


「……そりゃあな」


 ぼそっと呟いたファウスト船長は、大きな体を居心地悪そうに縮めていて、なんだか、かわいいと思ってしまった。

船といえば怖いのは氷山。航行している海域によりますが、遭遇したら万全の対策をとって回避しないと、どれだけ大型船であっても酷い目にあいます。それが例え何百ミリもの厚い装甲を持つ戦艦であっても、船体構造自体は数十ミリの厚さしかないので衝突したら、氷山とぶつかればただでは済みません。

(分厚い装甲版は構造材としての役目は果たしていません)

とりあえず、船長の個人的なエピソードも聞けたし、アキとしてはまずまずの成果と言えるでしょう。


レーダーやステルス技術など、ちょっと専門的な話題ですが、良く知らない人相手に話す感じで書いてみましたが、どうだったでしょうか? どこまで説明させるか結構悩ましいところですよね。

次回の投稿は、十二月五日(水)二十一時五分です。

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